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ムハンマド伝記映画が許される不思議

ニューズウィーク日本版 2015年4月10日 11時54分

 イスラム教で偶像崇拝は厳禁。1月にフランスの風刺週刊紙シャルリ・エブドが襲撃されたのも、同紙が預言者ムハンマドの風刺画を掲載したからだ──そう考えている人は少なくない。

 だが神権政治(統治者が神の代理人として絶対権力を有する政治形態)を実践するイランで、ムハンマドの幼少期を描いた映画『預言者ムハンマド』が公開されようとしている。それも最高指導者ハメネイ師自らが撮影現場を訪れたという「お上公認映画」だ。

 どうやらイスラム教シーア派の国イランは、ムハンマドの描写について寛容らしい。一方、エジプトのスンニ派教育機関は、映画を上映禁止処分にするようイラン政府に呼び掛けている。

 ところが同じスンニ派の国でもカタールでは、ムハンマドの伝記映画製作が進んでいる。しかもこちらはハリウッド映画『ロード・オブ・ザ・リング』の製作者を迎えて、世界公開を目指す10億ドルプロジェクトだ。

 さすがにムハンマドの姿は登場しないとみられるが、同じイスラム教国でもムハンマドの扱いはこれほど違う。


[2015.4. 7号掲載]
ローラ・モフタ

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