急速な普及に伴い、テロ目的の利用が懸念されているドローン(無人機)。しかし、自然災害や遭難事故では行方不明者の捜索などに大活躍しそうだ。
アメリカ赤十字の委嘱を受け、ドローン活用支援会社メジャーが実施した調査で、崩壊した建物内に閉じ込められた人の捜索にドローンが役立つことが実証された。早期の発見は早期の救出につながり、多くの人命を救えると、調査チームは結論付けている。
ドローンは海難事故でも威力を発揮すると、メジャーのブランドン・デクレットCEOはみる。このところ地中海ではアフリカからヨーロッパに向かう移民や難民を乗せた船の遭難が相次ぎ、今年に入ってすでに1700人以上の死者が出たとみられている。うちおよそ800人は、先週リビア沖で起きた密航船の転覆事故の犠牲者だ。
世界的な人の移動の問題を専門に扱う国際機関、国際移住機関(IOM)は、地中海での移民船の事故による死者は年末までに3万人を超える可能性があると警告している。
「地中海にドローンを飛ばし、パトロールを行えば、こうした移民船を早期に発見でき、多くの人命を救える」と、デクレットは言う。「ドローンは万能ではないが、低コスト・低リスクで海洋上の広い範囲を捜索し、情報を収集するにはこれほど優れた機器はない」
メジャーの調査では、ハリケーンや津波など自然災害でのドローンの活用法もテストされた。調査チームは、テキサスA&M大学構内にある広大な研究・訓練用施設「ディザスター・シティー(被災都市)」で赤外線カメラを搭載したドローンを飛ばし、性能をテストした。ドローンは瓦礫の下に閉じ込められた人を見つけ、撮影した画像を救助チームに送信。救助に要する時間の大幅な短縮に役立つことが確認された。
ドローンを使った撮影で、建物の構造上の損傷も把握できる。こうした画像は被災者の保険請求や地域の再建計画の立案に役立ちそうだ。
この調査で、人命救助にドローンを活用するためには、災害発生後24時間以内に飛ばす必要があることも分かった。
ドローンの商業利用にはさまざまな規制がかけられている。アメリカでは、ドローンを飛ばすには、連邦航空局(FAA)の許可が必要で、許可が下りるには最高60日かかる。
ヨーロッパでは、飛行目的などに応じて欧州航空安全庁(EASA)、国際民間航空機関(ICAO)、さらには各国の民間航空規制当局の許可が必要な場合があり、一律のルールはない。
メジャーの調査チームは、緊急時に人道支援や救助活動を行う非営利組織(NPO)に即座に許可が下りるよう特例的な措置が必要だと提言している。
近年では、ドローンに限らず、災害時に遠隔操作のレスキューロボットの活躍が目立つようになった。9・11同時多発テロや11年に東南アジアで6000人以上の死者を出した台風「ハイヤン」など、すでに35件の災害や事故対応に航空、海洋、地上用ロボットが投入されている。
10年に起きたハイチ地震では、救援船が接岸できるよう、海底の瓦礫の撤去に小型の無人水中探査機が利用された。
海上の石油プラットフォームで作業員の転落事故を監視するため、ドローンを活用するアイデアもあり、メジャーはテストを行っている。
アメリカ赤十字は引き続き人道支援活動におけるドローンの用途を調査し、導入を検討する意向だ。「災害の予防と対応で赤十字の活動を改善するドローンの活用法を探ること」が調査の目的だと、広報担当は語った。「ドローンに限らず、災害対応チームにより正確な情報を提供し、より多くの人を、より迅速に援助できるようにする手段であれば何であれ、さらに詳しく調査する価値がある」
コナー・ギャフィー
アメリカ赤十字の委嘱を受け、ドローン活用支援会社メジャーが実施した調査で、崩壊した建物内に閉じ込められた人の捜索にドローンが役立つことが実証された。早期の発見は早期の救出につながり、多くの人命を救えると、調査チームは結論付けている。
ドローンは海難事故でも威力を発揮すると、メジャーのブランドン・デクレットCEOはみる。このところ地中海ではアフリカからヨーロッパに向かう移民や難民を乗せた船の遭難が相次ぎ、今年に入ってすでに1700人以上の死者が出たとみられている。うちおよそ800人は、先週リビア沖で起きた密航船の転覆事故の犠牲者だ。
世界的な人の移動の問題を専門に扱う国際機関、国際移住機関(IOM)は、地中海での移民船の事故による死者は年末までに3万人を超える可能性があると警告している。
「地中海にドローンを飛ばし、パトロールを行えば、こうした移民船を早期に発見でき、多くの人命を救える」と、デクレットは言う。「ドローンは万能ではないが、低コスト・低リスクで海洋上の広い範囲を捜索し、情報を収集するにはこれほど優れた機器はない」
メジャーの調査では、ハリケーンや津波など自然災害でのドローンの活用法もテストされた。調査チームは、テキサスA&M大学構内にある広大な研究・訓練用施設「ディザスター・シティー(被災都市)」で赤外線カメラを搭載したドローンを飛ばし、性能をテストした。ドローンは瓦礫の下に閉じ込められた人を見つけ、撮影した画像を救助チームに送信。救助に要する時間の大幅な短縮に役立つことが確認された。
ドローンを使った撮影で、建物の構造上の損傷も把握できる。こうした画像は被災者の保険請求や地域の再建計画の立案に役立ちそうだ。
この調査で、人命救助にドローンを活用するためには、災害発生後24時間以内に飛ばす必要があることも分かった。
ドローンの商業利用にはさまざまな規制がかけられている。アメリカでは、ドローンを飛ばすには、連邦航空局(FAA)の許可が必要で、許可が下りるには最高60日かかる。
ヨーロッパでは、飛行目的などに応じて欧州航空安全庁(EASA)、国際民間航空機関(ICAO)、さらには各国の民間航空規制当局の許可が必要な場合があり、一律のルールはない。
メジャーの調査チームは、緊急時に人道支援や救助活動を行う非営利組織(NPO)に即座に許可が下りるよう特例的な措置が必要だと提言している。
近年では、ドローンに限らず、災害時に遠隔操作のレスキューロボットの活躍が目立つようになった。9・11同時多発テロや11年に東南アジアで6000人以上の死者を出した台風「ハイヤン」など、すでに35件の災害や事故対応に航空、海洋、地上用ロボットが投入されている。
10年に起きたハイチ地震では、救援船が接岸できるよう、海底の瓦礫の撤去に小型の無人水中探査機が利用された。
海上の石油プラットフォームで作業員の転落事故を監視するため、ドローンを活用するアイデアもあり、メジャーはテストを行っている。
アメリカ赤十字は引き続き人道支援活動におけるドローンの用途を調査し、導入を検討する意向だ。「災害の予防と対応で赤十字の活動を改善するドローンの活用法を探ること」が調査の目的だと、広報担当は語った。「ドローンに限らず、災害対応チームにより正確な情報を提供し、より多くの人を、より迅速に援助できるようにする手段であれば何であれ、さらに詳しく調査する価値がある」
コナー・ギャフィー