アメリカには「モーターバイク族」、つまりハーレーなどの「自動二輪」マニアが、集団で走行したり、集会を開いたりするカルチャーがあります。団塊の世代を中心とした比較的平均年齢の高い集団で、デニムや革ジャンなどにバッチを沢山つけたり、赤や黄のバンダナを巻いたりというファッションが特徴です。私の住んでいるニュージャージー州でも、季節が良くなるとハミルトンという町の大きな公園で、そうした「バイク族」の大集会があり、その前後は集会に参加するバイク族で、高速道路が混雑することがあります。
こうしたバイク族は、俗に言う「草の根保守」のカルチャーを持っており、ブッシュ大統領によるイラク戦争の時代には、戦争に参加しなかったフランスを非難したり、あるいは星条旗を振りかざしたりなどの行動が見られました。ちなみに、この「バイク族」に関しては、ほぼ99%が白人のカルチャーだと言われています。
いわゆる「バイク族」に関しては、そのような理解がされていました。ところで、集団で走行するとはいえ、「暴走族」というのは彼等の形容としてはあまり適切ではありません。制限速度や交通法規は比較的よく守る傾向があり、カルチャーとしては目立っていても「人様に迷惑をかける」存在ではないからです。
ところが、5月17日にテキサス州のウェーコ市で発生した「抗争事件」は、こうした「バイク族」のイメージを一変させてしまいました。
テキサスで勢力を張っていた「アウトロー」のバイク集団である「バンディードズ」と、これに対抗してテキサスでの勢力拡大を続けていた「コザックス」が、スポーツバー的なチェーン・レストランで「遭遇」してしまい、小競り合いから始まって、駐車場での相手の車両を倒すという行為からどんどんエスカレートしてしまったのです。
やがて、双方は銃火器やナイフなどでの「果たし合い」という状況となりました。そこへウェーコ市の市警察が急行して銃撃戦となり、バイク集団には9人の死者と18人の重軽傷が出る中、その場にいた双方のグループはほぼ全員に近い171人が逮捕されて現在取り調べが続いています。
今回の事件で明るみに出たのは、アメリカの「バイク族」には「AMA協会員」と「アウトロー」という2種類があるということです。AMAというのは「アメリカン・モーターサイクリスト・アソシエーション」の略で、全米のバイク乗りが加入する正規団体です。これに加入していない「アウトロー」もしくは「1%」と言われるグループの中から、今回の事件が起きたのです。
この「アウトロー」に関して言えば、かなりのレベルで反社会的な犯罪集団と言ってよく、今回の抗争も、相当に根が深いもののようです。テキサスで主導権を持っていた「バンディードズ」は長年テキサス州で「コザックス」が集会を行う際には「縄張り料」を徴収していたのが、勢力拡大に伴って「コザックス」は支払いを拒否するようになり、一触即発の中で今回の抗争劇に至ったというのですから穏やかではありません。要するに「バイク乗り」とは言っても、ほとんど「ギャング」としか言いようがない集団というわけです。
その一方で、両グループ共に「警官が不当な攻撃をして来て仲間が殺された」こと、そして「大勢の仲間が逮捕されている」ことには怒りを爆発させており、ウェーコ市警に対する報復攻撃を匂わせる気配もあるそうです。ウェーコ市警は現場に残された80台ほどの車両と135台のバイクを「違法行為の手段となる物品」だとして「強制差し押さえ」を行っていますが、これに対しても全米の「アウトロー」グループが激怒しているそうです。
そんな中、8月上旬にはサウスダコタ州で全米規模の大規模なバイク乗りの大会が計画されており、そこには合法な「AMA協会系」だけでなく、「アウトロー系」の参加も予想されることから、同州はテキサス州警察との間で、治安維持活動に関する情報交換を行っているそうです。
ところで、今回の事件については、メリーランド州のボルティモアや、ミズーリ州のファーガソンにおける黒人暴動の問題と比較するような論調が見られます。例えば、黒人暴動に関しては「都市機能がマヒ」だとか「略奪・放火などの不祥事続発」といった形で、暴動を起こした側に対するネガティブな報道がされるのに、白人主体の「バイク・ギャング」の犯罪にはメディアは甘いという批判が1つあります。
一方で、黒人が絡んだ人種暴動には連邦政府や司法省、FBIが介入してくるのに、今回の事件は傍観しているだけという批判もあります。
この点に関しては、この種の「バンク・ギャング」はアメリカの「極右カルチャー」を代表していることから、FBIなどの「連邦政府」に対しては激しい敵愾心を持っているグループです。そのために、FBIや司法省は捜査や治安維持活動の前面に出ることは避けているということはあると思います。
今回の不祥事が起きたテキサス州のウェーコ市は、22年前に新興宗教団体の「ブランチ・ダビディアン」が立てこもり事件を起こし、連邦政府の司法省管轄の部隊と銃撃戦となって建物に放火し、ほぼ全員の81人が死亡する事件が起きた因縁のある土地でもあります。オバマ大統領とリンチ司法長官としては、人種的な問題もありますし、白人カルチャーの暗部とも言えるこの種の事件には安易には手は出せないでいます。
こうしたバイク族は、俗に言う「草の根保守」のカルチャーを持っており、ブッシュ大統領によるイラク戦争の時代には、戦争に参加しなかったフランスを非難したり、あるいは星条旗を振りかざしたりなどの行動が見られました。ちなみに、この「バイク族」に関しては、ほぼ99%が白人のカルチャーだと言われています。
いわゆる「バイク族」に関しては、そのような理解がされていました。ところで、集団で走行するとはいえ、「暴走族」というのは彼等の形容としてはあまり適切ではありません。制限速度や交通法規は比較的よく守る傾向があり、カルチャーとしては目立っていても「人様に迷惑をかける」存在ではないからです。
ところが、5月17日にテキサス州のウェーコ市で発生した「抗争事件」は、こうした「バイク族」のイメージを一変させてしまいました。
テキサスで勢力を張っていた「アウトロー」のバイク集団である「バンディードズ」と、これに対抗してテキサスでの勢力拡大を続けていた「コザックス」が、スポーツバー的なチェーン・レストランで「遭遇」してしまい、小競り合いから始まって、駐車場での相手の車両を倒すという行為からどんどんエスカレートしてしまったのです。
やがて、双方は銃火器やナイフなどでの「果たし合い」という状況となりました。そこへウェーコ市の市警察が急行して銃撃戦となり、バイク集団には9人の死者と18人の重軽傷が出る中、その場にいた双方のグループはほぼ全員に近い171人が逮捕されて現在取り調べが続いています。
今回の事件で明るみに出たのは、アメリカの「バイク族」には「AMA協会員」と「アウトロー」という2種類があるということです。AMAというのは「アメリカン・モーターサイクリスト・アソシエーション」の略で、全米のバイク乗りが加入する正規団体です。これに加入していない「アウトロー」もしくは「1%」と言われるグループの中から、今回の事件が起きたのです。
この「アウトロー」に関して言えば、かなりのレベルで反社会的な犯罪集団と言ってよく、今回の抗争も、相当に根が深いもののようです。テキサスで主導権を持っていた「バンディードズ」は長年テキサス州で「コザックス」が集会を行う際には「縄張り料」を徴収していたのが、勢力拡大に伴って「コザックス」は支払いを拒否するようになり、一触即発の中で今回の抗争劇に至ったというのですから穏やかではありません。要するに「バイク乗り」とは言っても、ほとんど「ギャング」としか言いようがない集団というわけです。
その一方で、両グループ共に「警官が不当な攻撃をして来て仲間が殺された」こと、そして「大勢の仲間が逮捕されている」ことには怒りを爆発させており、ウェーコ市警に対する報復攻撃を匂わせる気配もあるそうです。ウェーコ市警は現場に残された80台ほどの車両と135台のバイクを「違法行為の手段となる物品」だとして「強制差し押さえ」を行っていますが、これに対しても全米の「アウトロー」グループが激怒しているそうです。
そんな中、8月上旬にはサウスダコタ州で全米規模の大規模なバイク乗りの大会が計画されており、そこには合法な「AMA協会系」だけでなく、「アウトロー系」の参加も予想されることから、同州はテキサス州警察との間で、治安維持活動に関する情報交換を行っているそうです。
ところで、今回の事件については、メリーランド州のボルティモアや、ミズーリ州のファーガソンにおける黒人暴動の問題と比較するような論調が見られます。例えば、黒人暴動に関しては「都市機能がマヒ」だとか「略奪・放火などの不祥事続発」といった形で、暴動を起こした側に対するネガティブな報道がされるのに、白人主体の「バイク・ギャング」の犯罪にはメディアは甘いという批判が1つあります。
一方で、黒人が絡んだ人種暴動には連邦政府や司法省、FBIが介入してくるのに、今回の事件は傍観しているだけという批判もあります。
この点に関しては、この種の「バンク・ギャング」はアメリカの「極右カルチャー」を代表していることから、FBIなどの「連邦政府」に対しては激しい敵愾心を持っているグループです。そのために、FBIや司法省は捜査や治安維持活動の前面に出ることは避けているということはあると思います。
今回の不祥事が起きたテキサス州のウェーコ市は、22年前に新興宗教団体の「ブランチ・ダビディアン」が立てこもり事件を起こし、連邦政府の司法省管轄の部隊と銃撃戦となって建物に放火し、ほぼ全員の81人が死亡する事件が起きた因縁のある土地でもあります。オバマ大統領とリンチ司法長官としては、人種的な問題もありますし、白人カルチャーの暗部とも言えるこの種の事件には安易には手は出せないでいます。