現地時間で23日深夜のオランダ戦を2対1で勝ち抜いた「なでしこジャパン」は、W杯2連覇の期待がかかる中で、精度の高いサッカーを継続しています。アメリカでは「FOXスポーツ」が全試合を中継していますが、日本代表については「ディフェンディング・チャンピオン」として、終始リスペクトが払われ、各選手のプレースタイルに関して詳しく解説されています。
その「なでしこ」の選手たちですが、活躍、知名度、そこに至る並大抵ではない努力にくらべ、年俸が極めて低いということはよく言われています。多くの選手の年俸が300万円前後だというのも驚きですが、欧州リーグへの参加組には協会の「強化指定選手制度」があり、定期的に「滞在費」が支給されるというのですが、その額も「半年に1回200万円」なのだそうです。
では、日本の女子だけが経済的に厳しい環境に置かれているのかというと、決してそうではありません。
BBCなど米英のメディアによれば、アメリカやイギリスの女子選手の給与水準も高くはありません。もちろん例えばブラジルのスーパースターであるマルタなどは、40万ドル(約4800万円)の年収があり、アメリカのトップFWであるワンバックやモーガンなどは個人に企業スポンサーがついていることもあって、円換算で数千万の収入を得ていると言われています。日本の澤選手も、やはり企業スポンサーからの収入を含めると、この水準に達していると推定されます。
ですが、この4人を除くとアメリカやイングランドの代表選手でも、円換算で300万円から600万円という水準にとどまっています。
一方で、女子スポーツ全体を考えてみると、例えば経済誌『フォーブス(電子版)』による、2014年の「世界の女性スポーツ選手ランキング」では、トップ3は全てテニスプレーヤーで占められていますが、1位のシャラポワが2440万ドル(約30億円)、2位は引退した李娜選手で2360万ドル(約28億円)、3位はセリーナ・ウィリアムズ選手で1630万ドル(約20億円)という状況です。
ちなみに、10億円前後を稼いでいるのはテニス選手ばかりではなく、韓国のキム・ヨナ選手(フィギュアスケート)は4位で1630万ドル(約19.5億円)、5位のダニカ・パトリック選手はアメリカのカーレーサーで、1500万ドル(約18億円)、10位のポーラ・クリーマー選手はLPGAのゴルファーです。テニスだけが突出して高いというわけではありません。
そんな中、女子サッカー選手の「給与水準の低さ」というのは、やはり異常です。もちろん札束が飛び交うことが「ない」というのは、各国のリーグにしても、ワールドカップ大会全体にしても清潔な感じを与えますし、選手の「キャラクター」を市場に売り込む必要がないことから、不必要なレベルまでプライバシーを明かすことにならないのは良いことだと思います。
ですが、それにしても、他のプロスポーツとの格差、またサッカーにおける男女の格差というのは異常です。例えば、W杯カナダ大会の賞金総額は、今回増額されて1500万ドル(約18億円)になりましたが、男子の2014年ブラジル大会では5億7600万ドル(約690億円)ですから、38分の1に過ぎないのです。
これは、やはりFIFAの体質、各国の協会の体質に問題があるとしか言いようがありません。例えば、今回のW杯カナダ大会では、FIFAの公式スポンサーであるコカ・コーラ(アメリカ)やガスプロム(ロシア)の広告が、ピッチ脇の電光掲示板のバナー広告として目立っていました。
こうしたFIFA公式スポンサーからの収入について、(あくまで想定ですが)賞金の分配率を全体に適用して考えるのであれば、39分の38は男子に分配し、女子には39分の1しか分配されないということになるわけです。これは広告の視聴者数などを考えても、差が大きすぎるのではないでしょうか。
テニスやスケートなど個人競技の選手については、女性のキャラクターなどを含めたパッケージとしての「広告塔効果」はあるが、女子サッカーの場合そうした効果は未開拓......そんな見方もあるようです。しかしそれ以前の問題として、FIFAにおける男女の「格差」はやはり問題視すべきではないでしょうか。
少なくとも今回のFIFA本部のスキャンダルが、カナダ大会にほとんど影響を与えなかったという事実は、良く言えば女子W杯がスキャンダルとは無縁ということかもしれません。ですが、スキャンダル以前の問題として、女子サッカーが「お金に縁がない」ということならば、それは是正されるべきでしょう。
その「なでしこ」の選手たちですが、活躍、知名度、そこに至る並大抵ではない努力にくらべ、年俸が極めて低いということはよく言われています。多くの選手の年俸が300万円前後だというのも驚きですが、欧州リーグへの参加組には協会の「強化指定選手制度」があり、定期的に「滞在費」が支給されるというのですが、その額も「半年に1回200万円」なのだそうです。
では、日本の女子だけが経済的に厳しい環境に置かれているのかというと、決してそうではありません。
BBCなど米英のメディアによれば、アメリカやイギリスの女子選手の給与水準も高くはありません。もちろん例えばブラジルのスーパースターであるマルタなどは、40万ドル(約4800万円)の年収があり、アメリカのトップFWであるワンバックやモーガンなどは個人に企業スポンサーがついていることもあって、円換算で数千万の収入を得ていると言われています。日本の澤選手も、やはり企業スポンサーからの収入を含めると、この水準に達していると推定されます。
ですが、この4人を除くとアメリカやイングランドの代表選手でも、円換算で300万円から600万円という水準にとどまっています。
一方で、女子スポーツ全体を考えてみると、例えば経済誌『フォーブス(電子版)』による、2014年の「世界の女性スポーツ選手ランキング」では、トップ3は全てテニスプレーヤーで占められていますが、1位のシャラポワが2440万ドル(約30億円)、2位は引退した李娜選手で2360万ドル(約28億円)、3位はセリーナ・ウィリアムズ選手で1630万ドル(約20億円)という状況です。
ちなみに、10億円前後を稼いでいるのはテニス選手ばかりではなく、韓国のキム・ヨナ選手(フィギュアスケート)は4位で1630万ドル(約19.5億円)、5位のダニカ・パトリック選手はアメリカのカーレーサーで、1500万ドル(約18億円)、10位のポーラ・クリーマー選手はLPGAのゴルファーです。テニスだけが突出して高いというわけではありません。
そんな中、女子サッカー選手の「給与水準の低さ」というのは、やはり異常です。もちろん札束が飛び交うことが「ない」というのは、各国のリーグにしても、ワールドカップ大会全体にしても清潔な感じを与えますし、選手の「キャラクター」を市場に売り込む必要がないことから、不必要なレベルまでプライバシーを明かすことにならないのは良いことだと思います。
ですが、それにしても、他のプロスポーツとの格差、またサッカーにおける男女の格差というのは異常です。例えば、W杯カナダ大会の賞金総額は、今回増額されて1500万ドル(約18億円)になりましたが、男子の2014年ブラジル大会では5億7600万ドル(約690億円)ですから、38分の1に過ぎないのです。
これは、やはりFIFAの体質、各国の協会の体質に問題があるとしか言いようがありません。例えば、今回のW杯カナダ大会では、FIFAの公式スポンサーであるコカ・コーラ(アメリカ)やガスプロム(ロシア)の広告が、ピッチ脇の電光掲示板のバナー広告として目立っていました。
こうしたFIFA公式スポンサーからの収入について、(あくまで想定ですが)賞金の分配率を全体に適用して考えるのであれば、39分の38は男子に分配し、女子には39分の1しか分配されないということになるわけです。これは広告の視聴者数などを考えても、差が大きすぎるのではないでしょうか。
テニスやスケートなど個人競技の選手については、女性のキャラクターなどを含めたパッケージとしての「広告塔効果」はあるが、女子サッカーの場合そうした効果は未開拓......そんな見方もあるようです。しかしそれ以前の問題として、FIFAにおける男女の「格差」はやはり問題視すべきではないでしょうか。
少なくとも今回のFIFA本部のスキャンダルが、カナダ大会にほとんど影響を与えなかったという事実は、良く言えば女子W杯がスキャンダルとは無縁ということかもしれません。ですが、スキャンダル以前の問題として、女子サッカーが「お金に縁がない」ということならば、それは是正されるべきでしょう。