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思わず寄付したくなる5つの注目キャンペーン

ニューズウィーク日本版 2015年7月15日 19時30分

 寄付にこそアイデアが求められる時代。世界では、共感を集め、お金まで集まってくる多様な寄付のスタイルが百花繚乱だ。

 今回は、実際に行われた世界の寄付キャンペーンから5つを厳選してお届けする。最新テクノロジーを利用したものからアナログなものまで、思わず寄付したくなる取り組みは、多くの人の目を引き、心までも奪っていく。

市民の目を惹く人形型募金箱

 韓国ソウルで行われたUNICEFによるキャンペーン。女の子が描かれている起き上がり人形は、コインが入れられると徐々に立ち上がっていく。

貯金箱のような人形で、お金が溜まっていくとだんだん起き上がる UNICEF-ROLY POLY - YouTube

 これが街中に置かれ、市民が寄付をしていく。

 こちらのキャンペーンでは、人形が市内10ヵ所に設置され、結果として10,000人が寄付。同時にメディアにも大々的に取り上げられている。




カードを切る行為が、寄付の実感を上げる

 発展途上国を支援している「Misereor」は、ヨーロッパではクレジットカードによる寄付が全体の40%を占めていることに目を付け、電子広告板とクレジットカードを使った寄付システムを導入している。

クレジットカードを切る動作に合わせて、映像の中でパンが切れる Misereor "PlaCard"-The Social Swipe - YouTube

 方法はいたってシンプル。クレジットカードを電子広告板で切るだけ。それにより、2ユーロの寄付がなされる。

 映像は、パンを切るパターンと手錠を切るパターンの2つあり、そのアニメーションが寄付の実感を上げている。

 気軽でちょっとした遊び心もある。小さな行動1つが世界を変える一歩となる。




洗濯機に寄付機能を付けるという驚きの発想

 家電メーカーの「Whirlpool」が新たに開発した洗濯機には、なんと寄付機能がついている。毎日の洗濯の際に、自動で寄付が行われていくというもので、寄付先は、住まいを専門とする国際NGO「ハビタット・フォー・ヒューマニティ」。

 こちらが実際の洗濯機。スマート家電であり、タッチパネル式で操作が可能。専用のアプリに接続し、寄付額を10セントから設定できる。

自宅で家事をする行為が、そのまま募金活動になる Whirlpool USA - YouTube

 シニアカテゴリーマネージャーのBen Arits氏はこう語る。「このスマート洗濯機のおかげで、子供達に、洗濯が自分の家族だけでなく、他の家族も同時に助けていると説明できるのです」

 家電メーカーと非営利団体の興味深いコラボレーションだ。

献血率を回復させるテキストメッセージの仕組み

 スウェーデンでは、献血した血が使われた際に、テキストメッセージが送られる仕組みを導入している。結果、献血率は回復傾向にある。単純な仕組みではあるが、献血した血が使われた事を知ることで、次の献血にも繋がる。

 実は3年前から徐々に首都ストックホルムで開始され、ソーシャルメディアを中心に拡散されていた。

 イギリスを始めとするヨーロッパ諸国では10年前と比べ40%も献血率が下がる中、非常に期待される仕組みだ。

集めるのではなく循環させる「お金掲示板」

 アメリカ、ロサンゼルスのユニオン駅に「お金の掲示板」と題して、1ドル札を40枚設置するという実験的な試みが行われた。

多くの人が立ち止まり、スマートフォンで写真を取り、お金を貼り付けたり持ち帰ったりした The Toolbox - YouTube

「できる分だけ寄付してください、必要な分だけ持って帰って下さい」と書いてあるこちらの掲示板に、こどもから大人まで、様々な人がお金を貼り付けた。そして必要な人は、お金を持ち帰っていった。

 この実験では、貰う人より、寄付した人のほうが多かったという。人を信じ、性善説でまわる寄付システムの事例は様々な教訓を与えてくれる。

※当記事はSocial Design Newsの提供記事です




小檜山 諒(Social Design News)

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