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銃乱射上位、スイスやフィンランドとアメリカの共通点

ニューズウィーク日本版 2015年8月24日 18時0分

 学校や映画館などで多くの人の命を突然奪う銃乱射事件が、激増しているようにみえる。そしてその圧倒的多数がアメリカで起こっている。

 アラバマ大学教授(刑事司法)のアダム・ランクフォードは「銃乱射犯と武器と社会のひずみ」と題する新しい研究で、「アメリカは他の国とは違う」という例外論の暗部のほうに目を向けた。1966~2012年の間に起きた世界の銃乱射事件の数を比較することで、なぜアメリカで銃乱射による大量殺人が圧倒的に多いのかを調査した。ここでの大量殺人の定義は、4人以上が殺害された場合とするFBI(米連邦調査局)の定義に準じた。

 調査対象とした171カ国のうち、公共の場所で大量殺人を行う銃乱射事件は、46年間で90件とアメリカが最も多く、18件で2位のフィリピンの5倍になる(ちなみに3位以下は、ロシア15件、イエメン11件、フランス10件と続く)。つまりアメリカは、人口では世界の5%にも満たないのに銃乱射による大量殺人事件の30%を占めているのだ。

 銃乱射と最も相関性が高かったのは、銃火器の保有比率だ。民間人の銃保有比率のトップ5はアメリカ、イエメン、スイス、フィンランド、セルビアだが、これらの国はすべて銃乱射による大量殺人件数で上位15位以内に入っている。

 このことは、「銃の所有比率が高ければ乱射事件は回避できない」ことを示していると、ランクフォードは言う。殺人や自殺全体の件数からみると比較的平和なスイスやフィンランドでも銃乱射が多いのはそのためだという。

夢と現実のギャップが大き過ぎる

 ランクフォードはまた、アメリカ文化のなかに銃乱射犯を生みやすい何かが存在するのかどうかにも注目した。

 それによればアメリカでは、夢や野心を実現するのに必要な能力と、人々の実際の能力とのギャップが大きいところに暴力が生まれやすいという。アメリカではとくに成功と名声が重視されすぎてるために「星を掴もうとして滑ったり落ちたりする人が外国より多いのだろう」と、ランクフォードは言う。

 公共の場所で銃を乱射した犯人がしばしば、退学になったり解雇されたり、いじめに合っていたことも、アメリカではしばしば学校や職場が銃乱射の選ばれるのも、このギャップと無縁ではないだろう。

スタブ・ジブ

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