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最悪の日には、感情と思考を分けると霧が晴れて問題解決能力も向上する

ニューズウィーク日本版 2015年9月17日 18時57分

 何もかもうまくいかない日は、誰にでもある。

 朝起きた瞬間から不快で、日中もイライラが募るばかり。不機嫌を放置すると、オフィスで日ごろの鬱憤が噴き出しかねない。上司に不服そうな顔をしたり、コピーもまともにできないインターンについ声を荒げたり、取引先に送る資料を間違えたりしたら最悪だ。キャリアを棒に振るほどのミスではなくても、ますます落ち込む。早く立ち直るに越したことはない。

「最悪の一日」から復活して、よりよい明日を迎えるための秘訣をいくつか紹介しよう。

本当の問題を見きわめる

 ついていない日には、「自分はなんてバカなんだろう」「何一つ予定通りにいきやしない」などと、大げさな言葉をつぶやきがちだ。

 そういうありきたりなセリフは脇に置こう。大切なのは、そういうネガティブな言葉の裏にある感情を見極めること。いったい自分は、取引先に対して怒っているのだろうか、上司だろうか、あるいは自分自身に失望したのだろうか?

 そして、自分が抱くその感情を名前をつけてみよう。すると自分を捉えて離さない感情から解き放たれ、否定的な思いを克服する準備ができる。心のなかの思いを言葉で言い表すと、感情的な反応にブレーキがかかってより冷静で合理的なものの見方ができるようになることが研究でわかっている。

 たとえば「仕事でヘマをしてばかりで、自分で自分が嫌になる」という感情は、よく考えてみると、「自分は仕事で全力を尽くしていない」「だからストレスを感じている」という思考に置き換えらえるかもしれない。こうして感情と思考を分けて対処することを覚えると、問題解決能力が改善することも明らかになっている。

いつまでも自分を憐れまない

 調子の出ない1日を送った後は、意志の力も弱くなる。軽はずみな行動は慎もう。お酒で憂さを晴らそうとか、イライラの元凶である仕事のファイルを削除したりしてはいけない。

 それよりも、怒りや悲しみの感情にある程度身を任せたら、前に進もう。たとえば、午前中は問題と感情的に向き合う時間にして、ランチのあとは再び強い人間に戻ると自分に約束する。もっと時間が必要なら、早く寝る。翌朝新たな気持ちでスタートするのが、最悪の日を乗り切る最も有効な手段になる場合もある。

人とのつながりに助けてもらう

 惨めな時は、周囲を遠ざけ、ひとりで沈みがち。そんな気持ちは振り切って、気のおけない友人をお茶を誘うか、メールを送ってみたほうがおそらく気が晴れる。

 友人にも詳しく説明する気になれないなら、匿名で秘密を共有できるサイト「Post Secret」の投稿や、同じような悩みをもつ人のブログを読んでみる。自分はひとりじゃないことがわかる。ほかの人も皆、日々似たような経験をしているのだ。

誰かを助けてみよう

 人助けとは、人を助けることで自分も救われる「ウィン・ウィン」だ。

 身の回りのことでいい。新人のインターンに何かを教えてあげたり、近所に住むお年寄りの荷物を持ってあげたり、前から気になっていた慈善団体に寄付をしてみる。人助けになるばかりか、自分中心の世界と距離を置いて「最悪の一日」を客観的に見られるようになるかもしれない。

 思いやりの姿勢は、成功につながるカギでもある。他の人の成功を後押しする度量は、あなたの評価が上がることや「なくてはならない存在」になることにつながる。だから、同僚の力になれる方法を探そう。もっと心を込めてメールの返信を書こう。頼られる存在になろう。

自分を甘やかしすぎない

 何もかもがうまくいかなかった1日の後には、自分を甘やかしたくなる。しかしこのタイミングはまずい。甘えがついつい度を越しまう危険が大きいからだ。

 自分へのご褒美だと甘いものを食べ過ぎたり、予算をはるかにオーバーする300ドルの靴を買ってしまったり。その瞬間はワクワクするかもしれないが、クレジットカードの請求書が届けば罪悪感にさいなまれ、ますます自己嫌悪に陥ってしまう。

 最悪な気分の時は、うわべだけの癒しを求めずに、自分が抱いた感情から何を学べるのかを自問自答してほしい。そして、自分を変えるべく取り組んでみよう。

 どっぷりと落ち込んでしまったら、誰にでも最悪の日はあることを思い出そう。散々な日があったからといって、人間として、あるいはビジネスパーソンとしての価値が下がるわけではない。広い視野とちょっとした秘訣が、「立ち直る力」を与えてくれるはずだ。

By Melody Wilding of The Muse

メロディ・ウィルディング

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