いまアメリカを騒がせている富豪といえば、不動産王のドナルド・トランプ。共和党の大統領選候補として名乗りを上げている。その言動が賛否を呼んでいるが、お金持ちであることは間違いない。フォーブス誌によれば、2015年のビリオネア・ランキング405位で、総資産額は41億ドルだ。
405位ですら、日本円にして4800億円以上。途方もない金額だ。ちなみに同ランキングの1位はビル・ゲイツで、総資産額は792億ドル。日本人1位は柳井正・ファーストリテイリング創業者兼社長で、総資産額は211 億ドル(約2 兆5109 億円、親族分も含む)である。
一体どうすれば、これほどのお金持ちになれるのだろうか。天文学的な資産を築きたいかどうかはともかく、豊かで不自由のない生活を送りたいというのは誰もが考えることだろう。しかし、評論家であり、億単位の資産を運用する個人投資家でもある加谷珪一氏は「お金持ちになりやすいタイプや、絶対的な儲けのテクニックなどない」と言う。
それでも、落胆することはない。加谷氏によれば、お金持ちに特有の思考パターンや行動原理は確かに存在する。それらを知り、お金持ちのように考え、行動することが、お金持ちへの近道というわけだ。
加谷氏がお金持ちの"実像"をつまびらかにした『お金持ちの教科書』と『図解 お金持ちの教科書』(ともにCCCメディアハウス)。ここでは『図解 お金持ちの教科書』の「第1章 お金持ちってどんな人?」から一部を抜粋し、6回に分けて掲載する。
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『お金持ちの教科書』
加谷珪一 著
CCCメディアハウス
『図解 お金持ちの教科書』
加谷珪一 著
CCCメディアハウス
◇ ◇ ◇
皆さんは「お金持ち」と言うと、どんなイメージを持つだろうか? 会社の社長さん? ブランド物で身を固めてベンツやフェラーリを乗り回す人? それとも豪華なディナーやため息が出るようなパーティだろうか?
一方で、「本当のお金持ちは地味で慎ましい」という話もよく聞く。代々続く資産家の家は、上品だが質素な身なりをしていて、決してお金を持っていることを鼻にかけないらしい。また、こんな会話もよく耳にする。「××の旦那さんは上場企業の役員なんだって。やっぱり上流階級のお金持ちは違うわよね」
一体どんな人が、本当のお金持ちなのだろうか。
同じお金持ちでも、資産家と高給取りは違う
実は、世の中のほとんどの人が、お金持ちのことをよく理解していない。最大の間違いが、
・「毎年の収入が多いこと」
・「資産をたくさん持っていること」
・「社会的地位が高いこと」
を混同していることだ。
フェラーリに乗っているちょいワル風のオヤジは、年収は高額かもしれないが、その裏には多額の借金があるかもしれない。一方、代々の土地持ち一家は、資産の額は莫大であっても、年収は普通のサラリーマンと変わらないかもしれない。では、フェラーリオヤジと土地持ち一家では、どちらがお金持ちだろうか? 答えは、どちらもお金持ちである。ただし重要なことは、フェラーリオヤジは資産家ではないが、土地持ち一家は資産家だということ。少し難しい話をすると、フローとストックの違いなのだ(このあたりは追って説明する)。
つまり、フロー(毎年の収入)が極めて大きい人、もしくはストック(持っている資産)が極めて大きい人のことを、世の中ではお金持ちと呼んでいる。だから、例にあげた2人はどちらもお金持ちだ。
一方、収入や資産が多いことと、会社での地位は必ずしも一致するわけではない。大企業の部長や役員であっても、日本企業の場合、1年間の収入は大した額ではない。大企業のお偉いさんは、社会的な地位が高いことは間違いないが、お金持ちなのかどうかは、それだけでは判断できないのだ。
わかりやすい例が、「ユニクロ」を展開するファーストリテイリング会長兼社長の柳井正氏と、日本マクドナルド元会長の原田泳幸氏だ。2人の最大の違いは、柳井氏はハンパではない資産家であるということ。ファーストリテイリングは柳井氏自身がオーナーとなっており、株式の2割強を保有している。資産総額は1兆円を超える。柳井氏の役員報酬は億を超えているだろうが、株の配当だけで数十億円の収入があることを考えると、給料などタダ同然だ。
これに対して日本マクドナルドは、原田氏がオーナーだったわけではない。原田氏の年俸も庶民から見たらすごい額ではあったが、柳井氏と比べると、特別お金持ちというわけではない。原田氏は高給で雇われるプロの経営者なのだ。
さらに状況を複雑にしているのが、いわゆる社会的なステータスだ。日本の一般的な上場企業の社長の年収は、数千万円が標準的。たしかに庶民から見たらお金持ちだが、ちょっと前まではふつうの給料だったことを考えれば、彼らの生活は庶民と何も変わらない。
三者の生活レベルは、あまりにもかけ離れている。だが社会的地位という意味では、皆同じなのである。
「年収」「資産」「社会的地位」に注目して考える
お金持ちと思える人に出会ったら、年収が高い人なのか、資産を持っている人なのか、地位が高いだけでお金は持っていないのか、このあたりに注意を払ってみると、いろいろなことがわかってくるはずである。
※第2回:【図解】あの人はお金持ちなのに、なぜ貧乏そうなのか? はこちら
405位ですら、日本円にして4800億円以上。途方もない金額だ。ちなみに同ランキングの1位はビル・ゲイツで、総資産額は792億ドル。日本人1位は柳井正・ファーストリテイリング創業者兼社長で、総資産額は211 億ドル(約2 兆5109 億円、親族分も含む)である。
一体どうすれば、これほどのお金持ちになれるのだろうか。天文学的な資産を築きたいかどうかはともかく、豊かで不自由のない生活を送りたいというのは誰もが考えることだろう。しかし、評論家であり、億単位の資産を運用する個人投資家でもある加谷珪一氏は「お金持ちになりやすいタイプや、絶対的な儲けのテクニックなどない」と言う。
それでも、落胆することはない。加谷氏によれば、お金持ちに特有の思考パターンや行動原理は確かに存在する。それらを知り、お金持ちのように考え、行動することが、お金持ちへの近道というわけだ。
加谷氏がお金持ちの"実像"をつまびらかにした『お金持ちの教科書』と『図解 お金持ちの教科書』(ともにCCCメディアハウス)。ここでは『図解 お金持ちの教科書』の「第1章 お金持ちってどんな人?」から一部を抜粋し、6回に分けて掲載する。
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◇ ◇ ◇
皆さんは「お金持ち」と言うと、どんなイメージを持つだろうか? 会社の社長さん? ブランド物で身を固めてベンツやフェラーリを乗り回す人? それとも豪華なディナーやため息が出るようなパーティだろうか?
一方で、「本当のお金持ちは地味で慎ましい」という話もよく聞く。代々続く資産家の家は、上品だが質素な身なりをしていて、決してお金を持っていることを鼻にかけないらしい。また、こんな会話もよく耳にする。「××の旦那さんは上場企業の役員なんだって。やっぱり上流階級のお金持ちは違うわよね」
一体どんな人が、本当のお金持ちなのだろうか。
同じお金持ちでも、資産家と高給取りは違う
実は、世の中のほとんどの人が、お金持ちのことをよく理解していない。最大の間違いが、
・「毎年の収入が多いこと」
・「資産をたくさん持っていること」
・「社会的地位が高いこと」
を混同していることだ。
フェラーリに乗っているちょいワル風のオヤジは、年収は高額かもしれないが、その裏には多額の借金があるかもしれない。一方、代々の土地持ち一家は、資産の額は莫大であっても、年収は普通のサラリーマンと変わらないかもしれない。では、フェラーリオヤジと土地持ち一家では、どちらがお金持ちだろうか? 答えは、どちらもお金持ちである。ただし重要なことは、フェラーリオヤジは資産家ではないが、土地持ち一家は資産家だということ。少し難しい話をすると、フローとストックの違いなのだ(このあたりは追って説明する)。
つまり、フロー(毎年の収入)が極めて大きい人、もしくはストック(持っている資産)が極めて大きい人のことを、世の中ではお金持ちと呼んでいる。だから、例にあげた2人はどちらもお金持ちだ。
一方、収入や資産が多いことと、会社での地位は必ずしも一致するわけではない。大企業の部長や役員であっても、日本企業の場合、1年間の収入は大した額ではない。大企業のお偉いさんは、社会的な地位が高いことは間違いないが、お金持ちなのかどうかは、それだけでは判断できないのだ。
わかりやすい例が、「ユニクロ」を展開するファーストリテイリング会長兼社長の柳井正氏と、日本マクドナルド元会長の原田泳幸氏だ。2人の最大の違いは、柳井氏はハンパではない資産家であるということ。ファーストリテイリングは柳井氏自身がオーナーとなっており、株式の2割強を保有している。資産総額は1兆円を超える。柳井氏の役員報酬は億を超えているだろうが、株の配当だけで数十億円の収入があることを考えると、給料などタダ同然だ。
これに対して日本マクドナルドは、原田氏がオーナーだったわけではない。原田氏の年俸も庶民から見たらすごい額ではあったが、柳井氏と比べると、特別お金持ちというわけではない。原田氏は高給で雇われるプロの経営者なのだ。
さらに状況を複雑にしているのが、いわゆる社会的なステータスだ。日本の一般的な上場企業の社長の年収は、数千万円が標準的。たしかに庶民から見たらお金持ちだが、ちょっと前まではふつうの給料だったことを考えれば、彼らの生活は庶民と何も変わらない。
三者の生活レベルは、あまりにもかけ離れている。だが社会的地位という意味では、皆同じなのである。
「年収」「資産」「社会的地位」に注目して考える
お金持ちと思える人に出会ったら、年収が高い人なのか、資産を持っている人なのか、地位が高いだけでお金は持っていないのか、このあたりに注意を払ってみると、いろいろなことがわかってくるはずである。
※第2回:【図解】あの人はお金持ちなのに、なぜ貧乏そうなのか? はこちら