ビリオネア(富豪)になりたかったら、まずはその実像を知るべし――。そうして彼らと同じように考え行動することが、自らもお金持ちになる近道だと、評論家であり、億単位の資産を運用する個人投資家でもある加谷珪一氏は言う。
住む場所から友達の選び方、移動手段、見栄の張り方まで、加谷氏は著書『お金持ちの教科書』と『図解 お金持ちの教科書』(ともにCCCメディアハウス)で、お金持ちの実像を明らかにしている。
ここでは『図解 お金持ちの教科書』の「第1章 お金持ちってどんな人?」から一部を抜粋し、6回に分けて掲載する。今回がシリーズ第2回。富豪や資産家といってもタイプがいくつかあること、また国による特徴の違いもあり、日本では資産が土地に偏っていることを知っておこう。
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『お金持ちの教科書』
加谷珪一 著
CCCメディアハウス
『図解 お金持ちの教科書』
加谷珪一 著
CCCメディアハウス
※第1回:【図解】そもそもお金持ちって? はこちら
◇ ◇ ◇
かなりの資産家のはずなのに、お世辞にも高級とは言えない服(いや、実際にはかなり貧乏くさい服)を着て、スーパーの安売りに並んでいるというタイプのお金持ちも存在している。
この人たちはどのような人種なのだろうか? このようなタイプのお金持ちはズバリ、以下の2つの人種に集約される。
1.主な資産が土地で活用できない
2.貯金が目的となっている
日本のお金持ちの資産は土地に偏っている
日本のお金持ちたちの資産は、土地に大きく偏っているのが特徴だ。土地は都心の一等地なら高値で売れるだろうが、そうでないところの土地は、そうそう簡単に売却できるものではない。
また日本は、東京などの都市部にほとんどすべての機能が集中しているので、土地をたくさん持っていても、それを活用してお金を稼ぐことは実は結構難しい。アパート経営が関の山だ。
しかも、日本の相続税はかなり重い(最大55%)ので、孫の代になると相続税を払うために土地をすべて手放すはめになる。資産のほとんどが土地というお金持ちは、資産を持っていてもそれで十分に稼ぐことができないのである。
これが欧米のように資産の多くが金融資産になっていれば、株に投資したり、会社に出資したりと、いろいろな運用方法があり、資産からお金を生み出すことができる。だが、有効活用しにくい土地しかない資産家は、そこから得られる収入は小さく、固定資産税を支払ってしまうとほとんど残らない、という状況が十分にあり得るのだ。
そうなると望むと望まざるとにかかわらず、質素な生活をしないと赤字になってしまう。スーパーの安売りに並ぶはめになるわけだ。
お金を貯めること自体が、目的になっている
お金を貯めることが自己目的化しているお金持ちも、その原因の多くは不動産絡みだ。
埼玉県に住むR子さんは、現在75歳。旦那さんはすでに亡くなっていて、現在は一人暮らし。R子さんの家は、旦那さんが親から相続した土地に30年前に建てた。他に相続した小さな土地を売って資金を得たため、ローンを組むことなく土地と家を手に入れることができた。
夫婦は両方とも公務員(教師)だったため給料も安定しており、退職金も2人分。年金も厚生年金や国民年金と比べると手厚い。しかも2人の子供たちは小学校から公立で、大学は国立大学に通ったので、学費も比較的かからなかった。つまり、2人分の稼ぎのほとんどが可処分所得だったのである。
だが、R子さん夫婦は老後が心配と、外食や海外旅行もせず、一生懸命貯金に励んでいた。このため、家を含めるとR子さんの資産は優に1億を超えることとなった。
R子さんは、多くの人がイメージする資産家とはほど遠い生活をしている。だが、まぎれもなく億単位の資産を持つ富裕層なのだ。
手厚い年金で、老後に土地を手放す必要がない
土地の所有者は高齢者に偏っている。高齢者は手厚い年金で生活が保障されており、土地を手放す必要がない。
首都圏の郊外でちょっとした土地を親から引き継いだ人であれば、見かけ上の資産が8000万円に達するケースは少なくない。本来そのような人は引退後は土地を売却し、貯金を取り崩しながら生活をするものだ。しかし今の日本の高齢者には、その必要がない。こういった人たちの生活は庶民そのものだが、統計上は富裕層にカウントされるわけである。
※第3回:【図解】土地を持っているお金持ちと、お金を持っているお金持ち はこちら
住む場所から友達の選び方、移動手段、見栄の張り方まで、加谷氏は著書『お金持ちの教科書』と『図解 お金持ちの教科書』(ともにCCCメディアハウス)で、お金持ちの実像を明らかにしている。
ここでは『図解 お金持ちの教科書』の「第1章 お金持ちってどんな人?」から一部を抜粋し、6回に分けて掲載する。今回がシリーズ第2回。富豪や資産家といってもタイプがいくつかあること、また国による特徴の違いもあり、日本では資産が土地に偏っていることを知っておこう。
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加谷珪一 著
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『図解 お金持ちの教科書』
加谷珪一 著
CCCメディアハウス
※第1回:【図解】そもそもお金持ちって? はこちら
◇ ◇ ◇
かなりの資産家のはずなのに、お世辞にも高級とは言えない服(いや、実際にはかなり貧乏くさい服)を着て、スーパーの安売りに並んでいるというタイプのお金持ちも存在している。
この人たちはどのような人種なのだろうか? このようなタイプのお金持ちはズバリ、以下の2つの人種に集約される。
1.主な資産が土地で活用できない
2.貯金が目的となっている
日本のお金持ちの資産は土地に偏っている
日本のお金持ちたちの資産は、土地に大きく偏っているのが特徴だ。土地は都心の一等地なら高値で売れるだろうが、そうでないところの土地は、そうそう簡単に売却できるものではない。
また日本は、東京などの都市部にほとんどすべての機能が集中しているので、土地をたくさん持っていても、それを活用してお金を稼ぐことは実は結構難しい。アパート経営が関の山だ。
しかも、日本の相続税はかなり重い(最大55%)ので、孫の代になると相続税を払うために土地をすべて手放すはめになる。資産のほとんどが土地というお金持ちは、資産を持っていてもそれで十分に稼ぐことができないのである。
これが欧米のように資産の多くが金融資産になっていれば、株に投資したり、会社に出資したりと、いろいろな運用方法があり、資産からお金を生み出すことができる。だが、有効活用しにくい土地しかない資産家は、そこから得られる収入は小さく、固定資産税を支払ってしまうとほとんど残らない、という状況が十分にあり得るのだ。
そうなると望むと望まざるとにかかわらず、質素な生活をしないと赤字になってしまう。スーパーの安売りに並ぶはめになるわけだ。
お金を貯めること自体が、目的になっている
お金を貯めることが自己目的化しているお金持ちも、その原因の多くは不動産絡みだ。
埼玉県に住むR子さんは、現在75歳。旦那さんはすでに亡くなっていて、現在は一人暮らし。R子さんの家は、旦那さんが親から相続した土地に30年前に建てた。他に相続した小さな土地を売って資金を得たため、ローンを組むことなく土地と家を手に入れることができた。
夫婦は両方とも公務員(教師)だったため給料も安定しており、退職金も2人分。年金も厚生年金や国民年金と比べると手厚い。しかも2人の子供たちは小学校から公立で、大学は国立大学に通ったので、学費も比較的かからなかった。つまり、2人分の稼ぎのほとんどが可処分所得だったのである。
だが、R子さん夫婦は老後が心配と、外食や海外旅行もせず、一生懸命貯金に励んでいた。このため、家を含めるとR子さんの資産は優に1億を超えることとなった。
R子さんは、多くの人がイメージする資産家とはほど遠い生活をしている。だが、まぎれもなく億単位の資産を持つ富裕層なのだ。
手厚い年金で、老後に土地を手放す必要がない
土地の所有者は高齢者に偏っている。高齢者は手厚い年金で生活が保障されており、土地を手放す必要がない。
首都圏の郊外でちょっとした土地を親から引き継いだ人であれば、見かけ上の資産が8000万円に達するケースは少なくない。本来そのような人は引退後は土地を売却し、貯金を取り崩しながら生活をするものだ。しかし今の日本の高齢者には、その必要がない。こういった人たちの生活は庶民そのものだが、統計上は富裕層にカウントされるわけである。
※第3回:【図解】土地を持っているお金持ちと、お金を持っているお金持ち はこちら