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【図解】年収1000万円はお金持ちではない

ニューズウィーク日本版 2015年9月29日 14時0分

 ビリオネア(富豪)になりたかったら、まずはその実像を知るべし――。そうして彼らと同じように考え行動することが、自らもお金持ちになる近道だと、評論家であり、億単位の資産を運用する個人投資家でもある加谷珪一氏は言う。

 住む場所から友達の選び方、移動手段、見栄の張り方まで、加谷氏は著書『お金持ちの教科書』と『図解 お金持ちの教科書』(ともにCCCメディアハウス)で、お金持ちの実像を明らかにしている。

 ここでは『図解 お金持ちの教科書』の「第1章 お金持ちってどんな人?」から一部を抜粋し、6回に分けて掲載する。今回がシリーズ最終回。なぜ年収1000万円なのに年収400万円よりエンゲル係数が高く、生活が苦しいケースがあるのかを知っておこう。

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『お金持ちの教科書』
 加谷珪一 著
 CCCメディアハウス




『図解 お金持ちの教科書』
 加谷珪一 著
 CCCメディアハウス



※第1回:【図解】そもそもお金持ちって? はこちら
※第2回:【図解】あの人はお金持ちなのに、なぜ貧乏そうなのか? はこちら
※第3回:【図解】土地を持っているお金持ちと、お金を持っているお金持ち はこちら
※第4回:【図解】タワマンに住む人はお金持ちではない? はこちら
※第5回:【図解】働かずに生活できるのは、資産1億円 はこちら

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 イメージしやすいリッチな生活の基準と言うと、やはり年収1000万円ではないだろうか? だが年収1000万円は決してお金持ちとは言えない。実は年収1500万円までは、年収500万円の人と基本的な生活スタイルは変わらないことが多い。収入が絶たれてしまうと生活が成り立たなくなるという意味においても条件は同じだ。

 これが3000万円を超えると、生活のレベルが変わる。たとえばレストランの話題でも、「行った」という話ではなく、レストランのオーナーになっていたりする。生活の質が根本的に変わるというのは、こういうことを指すのだ。

年収1000万円の人が一番キツい

 実は、年収1000万円の人の家計は、収入が低い人よりもずっと苦しいというのである。

 ある経済誌が組んだ富裕層の特集で紹介された、年収1000万円のプチ(ニセ?)富裕層の悲惨な日常生活によると、年収1000万円の人は、400万〜600万円の人に比べて富裕層への憧れが強く、過剰な消費に走っているというのだ。年収1000万円世帯のエンゲル係数が、400万円世帯よりも高いというデータも明らかにされている。

 特に40代で大企業に勤め、妻は専業主婦というパターンが一番危ないそうだ。このタイプの家庭の必須アイテムは、海外製ベビーカー、高級鍋、ウォーターサーバー、こだわり家電など。これらが積み重なると相当な出費となる。



日本は終身雇用の国ではなかった

 戦前の日本には諸外国と同じく終身雇用という概念はなかった。その状況を大きく変えたのは太平洋戦争である。戦争遂行を最優先するため、国家が経営に介入し、従業員の雇用も保障させた。戦後、大企業を中心にその慣行が残り、最近までそれが続いていただけなのだ。

 いまだに終身雇用が成立していると信じている一部大企業のサラリーマンは、全収入を消費に回したりしている。1000万円の収入がありながら生活が苦しい世帯というのは、このようにして出来上がっている。

 インターネットという強い味方がいる現在、情報収集能力を駆使すれば、500万円くらいの収入差は容易にカバーすることができる時代になった。たとえば不動産は、エリアを慎重に選んで中古でもよしとすれば築浅の物件が格安で手に入る。

 夫婦共働きで年収350万円ずつであれば世帯年収は700万円である。堅実に中古マンションを購入し、貯蓄を進めていけば、最終的には1000万円浪費世帯よりリッチになることも夢ではない。そして共働きなら、万が一どちらかがリストラにあったり、病気になっても何とかやっていける。破綻することはないだろう。


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