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【写真特集】美しくも悲しげな国連70周年ライトアップ

ニューズウィーク日本版 2015年10月26日 19時40分

 10月24日、第二次大戦の反省から生まれた国連が、創設70年を迎えた。196カ国が加盟し、各国から集まった約4万人の職員が働く、世界平和と国際協力を目的とした国際機関である。世界各地で名所や文化遺産が、70周年を祝って国連のシンボルカラーである青色にライトアップされたのも、当然のことかもしれない。

 しかし、美しいはずのこの「国連ブルー」は、どこか悲しげに見える。スフィンクスや万里の長城、あるいはシドニーのオペラハウスや東京スカイツリーが青に染まったまさにその瞬間にも、戦火と虐殺を逃れて歩き続け、安全を求めて海を渡ろうとしている難民たちがいたのだ。

 シリア内戦とヨーロッパへの難民流出問題だけではない。エボラ出血熱の感染拡大で対応が遅れたWHO(世界保健機関)に、世界記憶遺産や世界文化遺産への登録が加盟国間で「歴史戦争」を招いているユネスコ(国連教育科学文化機関)......。今ほど国連とその専門機関に対する失望が広がったことはあっただろうか。

 だが、こうした批判が各国で噴出するのは、国連に幻想を抱いているからこそだ。国連はそもそも「万能な世界政府」などではない。

 本誌2015年11月3日号(10月27日発売)では、「国連の限界」という特集を組み、存在感を失った国連の現状を分析。その誤解と現実から、あるべき姿に対する提言、日本人の国連愛までを取り上げている。

 世界を彩る国連ブルーが、もっと尊敬と感謝で迎えられる日は来るだろうか。

難民問題に揺れる欧州。ベルギー・ブリュッセルの市中心部にある大広場グランプラスには大勢の人が集まった(以下、いずれも10月24日) Francois Lenoir - REUTERS

ヨルダンの首都アンマンにあるヘラクレス神殿跡。同国には隣国シリアから60万人以上の難民が逃れている Muhammad Hamed- REUTERS


中国が誇る世界遺産、万里の長城もライトアップ。中国はユネスコを舞台に日本と「歴史戦争」を繰り広げている Li Sanxian- REUTERS


国連職員が「平和と国際協力のために自己犠牲を払う聖人君子」というのは誤解にすぎない(ニューヨークの国連本部) Lucas Jackson- REUTERS


ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

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