フェイスブックに「集客」を頼っているウェブサイトに悪いニュース。フェイスブックは自分のことしか考えていない(とうにご存じだったかもしれないが)。
デジタルマーケティング情報サイトDigidayのレポートによると、フェイスブック上でフォロワーの多かったウェブメディアへのフェイスブックからのトラフィック(アクセス流入)は、2015年に入って急落している。Digidayのレポートは、同じ分析サービスであるSimpleReachとSimilarWebのデータを使って弾き出したものだ。
例えば、ハフィントンポストへのフェイスブックからのトラフィックは、今年第1四半期~第3四半期に60%も落ち込んだ。Foxニュース、バズフィードも同様で、いずれも同期間に40%以上落ちている。なお、最も落ち込みが急激だったのは今年の初めだ。
フェイスブック社はDigidayに対し、「ウェブメディア全体へのトラフィックを減らしている」ことを否定している。ただし、具体的な数字を挙げて反論したわけではない。
これは一体、何を意味するのだろうか。
ウェブメディアは通常、フェイスブック上にページを設け、自らのサイトないしサイトの記事にリンクを貼ってそこへ投稿する。フェイスブックのリンクをたどって戻ってくるトラフィックにアクセスを頼っているサイトは多く、特にソーシャルメディア(SNS)の情報拡散力を利用して爆発的なアクセスを生むことを目的としたバイラルメディアは、ほとんどがフェイスブックに依存している。
2015年のウェブパブリッシングの世界において、このソーシャルメディアの巨人がどれほど支配的な力を持っているか。今回の一件は、それを示す新たな証拠だ。フェイスブックがニュースフィード(そのユーザーがフォローしている人やページの投稿記事が常時流れてくる場所)のアルゴリズムをちょっといじっただけで、ウェブメディアのビジネスモデルは大きく揺らぎ、場合によっては危機に陥る。
インスタント・アーティクルズへの誘導か
例えば今年1月、フェイスブックはニュースフィードにあふれる偽のニュース記事を取り締まる仕組みを導入した。センセーショナルな見出しの記事で、クリックしてみると偽のニュース記事だった――そんな場合、ユーザーはそれをフェイスブックに報告できるようになった。
かつてはどのウェブサイトも、自社のホームページをわざわざ訪れてくれる読者にアクセスを頼っていた。しかし、その時代は終わり、2015年にはフェイスブック――あるいはツイッターやタンブラー(ブログサービス)、ピンタレスト(写真共有サイト)――こそが、何百万、何千万という読者にとってのホームページとなった。
かわいい犬猫のビデオやヒラリー・クリントンの悪口などユーザーが生み出すコンテンツがフェイスブックでの主役だ。ユーザーを外部サイト(ウェブメディア)へと誘導してしまうリンクは、フェイスブックにとって好ましいものではない。
今回のアクセス急減は、フェイスブック上にニュース記事をそのまま掲載せよというフェイスブックの圧力かもしれない。外部サイトにリンクを貼るのではなく、記事を最後までフェイスブック上で読めるようにするサービス「インスタント・アーティクルズ」も、今春発表している。10月にはフェイスブックのiPhoneアプリでサービスが始まった。
ニューヨーク・タイムズやバズフィードなどの大手メディアも提携した「インスタント・アーティクルズ」は、まったく新しいビジネスモデルだ。フェイスブックがそこで広告を売り、その収益を記事を提供したメディアと分配する。
とはいえ、Digidayが書くように、「フェイスブックはいつでも一方的にルールを変えられる」ことを忘れてはならない。
2014年、ウェブエディターのフェリックス・サーモンがこんな記事をニーマン・ラボに寄稿している。曰く、2015年はフェイスブックが読者を絶え間なく供給してくれる時代の終わりの始まりになるだろう。
「フェイスブックユーザーの関心を引きつける競争の勝者は、ビデオと、フェイスブックアプリ向けに作られたネイティブ広告(記事風の広告)になるだろう」と、サーモンは記事のなかで書いた。「敗者は、フェイスブックからのトラフィックに依存してきた外部サイトだ」
この予言が現実のものとなりつつある。
ザック・ションフェルド
デジタルマーケティング情報サイトDigidayのレポートによると、フェイスブック上でフォロワーの多かったウェブメディアへのフェイスブックからのトラフィック(アクセス流入)は、2015年に入って急落している。Digidayのレポートは、同じ分析サービスであるSimpleReachとSimilarWebのデータを使って弾き出したものだ。
例えば、ハフィントンポストへのフェイスブックからのトラフィックは、今年第1四半期~第3四半期に60%も落ち込んだ。Foxニュース、バズフィードも同様で、いずれも同期間に40%以上落ちている。なお、最も落ち込みが急激だったのは今年の初めだ。
フェイスブック社はDigidayに対し、「ウェブメディア全体へのトラフィックを減らしている」ことを否定している。ただし、具体的な数字を挙げて反論したわけではない。
これは一体、何を意味するのだろうか。
ウェブメディアは通常、フェイスブック上にページを設け、自らのサイトないしサイトの記事にリンクを貼ってそこへ投稿する。フェイスブックのリンクをたどって戻ってくるトラフィックにアクセスを頼っているサイトは多く、特にソーシャルメディア(SNS)の情報拡散力を利用して爆発的なアクセスを生むことを目的としたバイラルメディアは、ほとんどがフェイスブックに依存している。
2015年のウェブパブリッシングの世界において、このソーシャルメディアの巨人がどれほど支配的な力を持っているか。今回の一件は、それを示す新たな証拠だ。フェイスブックがニュースフィード(そのユーザーがフォローしている人やページの投稿記事が常時流れてくる場所)のアルゴリズムをちょっといじっただけで、ウェブメディアのビジネスモデルは大きく揺らぎ、場合によっては危機に陥る。
インスタント・アーティクルズへの誘導か
例えば今年1月、フェイスブックはニュースフィードにあふれる偽のニュース記事を取り締まる仕組みを導入した。センセーショナルな見出しの記事で、クリックしてみると偽のニュース記事だった――そんな場合、ユーザーはそれをフェイスブックに報告できるようになった。
かつてはどのウェブサイトも、自社のホームページをわざわざ訪れてくれる読者にアクセスを頼っていた。しかし、その時代は終わり、2015年にはフェイスブック――あるいはツイッターやタンブラー(ブログサービス)、ピンタレスト(写真共有サイト)――こそが、何百万、何千万という読者にとってのホームページとなった。
かわいい犬猫のビデオやヒラリー・クリントンの悪口などユーザーが生み出すコンテンツがフェイスブックでの主役だ。ユーザーを外部サイト(ウェブメディア)へと誘導してしまうリンクは、フェイスブックにとって好ましいものではない。
今回のアクセス急減は、フェイスブック上にニュース記事をそのまま掲載せよというフェイスブックの圧力かもしれない。外部サイトにリンクを貼るのではなく、記事を最後までフェイスブック上で読めるようにするサービス「インスタント・アーティクルズ」も、今春発表している。10月にはフェイスブックのiPhoneアプリでサービスが始まった。
ニューヨーク・タイムズやバズフィードなどの大手メディアも提携した「インスタント・アーティクルズ」は、まったく新しいビジネスモデルだ。フェイスブックがそこで広告を売り、その収益を記事を提供したメディアと分配する。
とはいえ、Digidayが書くように、「フェイスブックはいつでも一方的にルールを変えられる」ことを忘れてはならない。
2014年、ウェブエディターのフェリックス・サーモンがこんな記事をニーマン・ラボに寄稿している。曰く、2015年はフェイスブックが読者を絶え間なく供給してくれる時代の終わりの始まりになるだろう。
「フェイスブックユーザーの関心を引きつける競争の勝者は、ビデオと、フェイスブックアプリ向けに作られたネイティブ広告(記事風の広告)になるだろう」と、サーモンは記事のなかで書いた。「敗者は、フェイスブックからのトラフィックに依存してきた外部サイトだ」
この予言が現実のものとなりつつある。
ザック・ションフェルド