12月18日、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』がいよいよ封切られる。今年1月1日に邦題が発表され、9月4日に全世界で関連商品の発売が開始。このSF映画の金字塔の新作公開を待ち望んでいたファンは多いことだろう。
だが、本作は7作目の『スター・ウォーズ』であり、シリーズの最初の作品がアメリカで公開されたのは1977年と、約40年も前だ。関心があっても、過去6作を全部は観ていないから、あるいは覚えていないからと、映画館に足を運ぶのを躊躇する人もいるかもしれない。
その心配は要らない。『スター・ウォーズ』は3つの3部作で構成されており、この『エピソード7』は最後の3部作の最初の物語。つまり、これまでの作品について知らなくても、まったくついていけないということはない。
とはいっても、ちょっとした予習・復習をしておくだけで、新作を何倍も楽しめるのも確か。そこでニューズウィーク日本版では、『スター・ウォーズ』シリーズのエッセンスから、キャラクターや名場面、マーケティング戦略まで、その魅力を1冊に凝縮したSPECIAL EDITIONムックを制作。「STAR WARS 『フォースの覚醒』を導いたスター・ウォーズの伝説」(以下、本誌)として12月9日に発売する。ここでは本誌を元に、基礎知識と過去6作のあらすじを簡単に紹介しよう。
『エピソード4』が最初の作品
1977年に公開された最初の『スター・ウォーズ』が、大ヒットし、後に『エピソード4/新たなる希望』と副題を付けられることになった。80年に『エピソード5/帝国の逆襲』、83年に『エピソード6/ジェダイの帰還』が公開。主人公のルーク・スカイウォーカーが悪役のダース・ベイダーと戦うこの3作が、オリジナルの3部作である。
97年にオリジナル3部作を再編集した「特別篇」シリーズが上映され、その後、この前日譚となる新たな3部作、『エピソード1/ファントム・メナス』(99年)、『エピソード2/クローンの攻撃』(2002年)、『エピソード3/シスの復讐』(2005年)が順に公開されていった。新3部作の主人公は、アナキン・スカイウォーカー。ルークの父である彼が、成長し、やがて悪の道へと堕ちていく物語だ。
新作『エピソード7/フォースの覚醒』は、『エピソード6』の約30年後が舞台とされている。今後4年をかけ、最後の3部作として展開されていく予定だ。「多くは謎のままだが、主役は新キャラクターのレイ(デイジー・リドリー)とフィン(ジョン・ボイエガ)らしい。ファンの間では、レイはスカイウォーカーの娘か血縁者という説が有力視されている」(本誌「最新作の5つの見どころを大胆予測」より)。
ジョージ・ルーカスは純粋そのもの
この壮大な叙事詩を生み出したのは、ジョージ・ルーカス。本誌には『エピソード4』公開時のNewsweekの映画評を再録しているが、そこにはこうある。「『アメリカン・グラフィティ』のジョージ・ルーカス監督(33)は、最初から最後まで純粋に心から楽しめる、実にまれな映画を作り上げた......どうやってこんなにワクワクする娯楽大作を作れたのかまったくの謎だ」(本誌「伝説はここから始まった」より)
97年の「特別篇」公開時にはすでに、『スター・ウォーズ』シリーズは莫大な興行収入を稼ぎ出し、アメリカの文化史にも足跡を残した一大ムーブメントとなっていた。しかし、ルーカス本人は「実際に会ってみるとごく普通の人物だ」と、当時の映画担当記者は評している(本誌「フォースに導かれて新たな冒険が始まる」より)。
「『ミステリアスな男』という評判を立てておけば、作品の宣伝に利用できるという周囲の計算もあるだろう。しかしルーカス本人は、そんな作戦には興味がない。彼は純粋そのもの。作品の魅力は、ルーカスの純粋さがもたらすのだ」
銀河を股に掛けたスカイウォーカー家の物語
ここで、本誌「遠い昔、彼方の銀河系で...」のページを元に、過去6作のあらすじを紹介する。
その前に、かなり(!)簡潔に説明しておくと、「フォース」とは東洋武術における「気」のようなもの。それを自在に操る銀河系の自由と正義の守護者が「ジェダイ」である。
ジェダイ・マスターのクワイ=ガン・ジンとその弟子オビ=ワン・ケノービが、惑星タトゥイーンで奴隷の少年アナキン・スカイウォーカーに会う。アナキンこそが「選ばれし者」と確信したクワイ=ガンは、彼を教育することに。
ナブーの戦いが勃発。クワイ=ガンが命を落とす。10年後、ダークサイドに堕ちた元ジェダイ・マスターのドゥークー伯爵が分離独立運動を扇動し、銀河共和国が存亡の危機に。一方、母親が目の前で死に、怒りに駆られたアナキンが、母を誘拐した原住種族を皆殺しにするという一件があった。
その後、アナキンはジェダイの掟を破り、惑星ナブーの女王パドメ・アミダラと結婚。ドゥークー伯爵率いる独立星系連合軍(ドロイド軍)と、銀河元老院の最高議長パルパティーンが主導するクローン・トルーパー軍とのクローン大戦が始まる。
戦火が荒れ狂うなか、実はパルパティーンこそが、共和国の崩壊をもくろむシスの暗黒卿ダース・シディアスであり、分離派の黒幕だとアナキンは知る。妻の命を救うにはダークサイドに堕ちるしかないと思い詰めたアナキンは、ダース・シディアスの弟子となり、ダース・ベイダーに。
その後、ジェダイ・マスターのヨーダがパルパティーンと、オビ=ワンがダース・ベイダーとそれぞれ対決。パルパティーンは銀河帝国の初代皇帝に即位する。オビ=ワンはパドメを小惑星ポリス・マサに移すが、双子のルークとレイアを出産後、パドメは亡くなった。
恐怖政治を敷く銀河帝国。成長し反乱組織のリーダーとなっていたレイアを、帝国軍が拘束する。レイアは捕まる直前、帝国が開発した軍事要塞デス・スターの設計図をドロイドのR2-D2とC-3POに託し、脱出ポッドに乗せて惑星タトゥイーンに送る。
R2-D2とC-3POは偶然、ルークと養父の元へ。それがきっかけでルークは、父の師だったオビ=ワンに会う。ルークとオビ=ワンは、密輸業者のハン・ソロと相棒チューバッカを雇い、ミレニアム・ファルコン号でレイアの救出へ。うまく救い出してデス・スターを脱出するが、オビ=ワンが犠牲になる。
ルークら反乱同盟軍と帝国軍とのヤヴィンの戦いが勃発。デス・スターの破壊に成功する。その後、ホスの戦いを経て、ルークは謎の惑星ダゴバでヨーダに会い、ジェダイの修行を積む。一方、ハン・ソロは惑星ベスピンで捕らえられ、炭素冷凍されてしまう。ダース・ベイダーと対峙したルークは、戦いの中で、自分の実の父であることをベイダーから聞かされる。
ルーク、レイアらは、犯罪王ジャバ・ザ・ハットの元からハン・ソロを救出。ルークはダゴバに戻ってヨーダの死をみとる。その後、エンドア星系に新しいデス・スターが建造されていることを知った反乱同盟軍は、攻撃を仕掛ける。ダース・ベイダーは息子ルークをダークサイドに誘い込もうとするが、ルークは拒否。皇帝パルパティーンがルークを殺そうとするが、ベイダーが息子をかばって皇帝を殺し、自分も命を落とす。
そして伝説は、新たな3部作へ――。これで『スター・ウォーズ』初心者も、『エピソード7/フォースの覚醒』を存分に楽しめるはずだ。
ニューズウィーク日本版SPECIAL EDITION
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ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
だが、本作は7作目の『スター・ウォーズ』であり、シリーズの最初の作品がアメリカで公開されたのは1977年と、約40年も前だ。関心があっても、過去6作を全部は観ていないから、あるいは覚えていないからと、映画館に足を運ぶのを躊躇する人もいるかもしれない。
その心配は要らない。『スター・ウォーズ』は3つの3部作で構成されており、この『エピソード7』は最後の3部作の最初の物語。つまり、これまでの作品について知らなくても、まったくついていけないということはない。
とはいっても、ちょっとした予習・復習をしておくだけで、新作を何倍も楽しめるのも確か。そこでニューズウィーク日本版では、『スター・ウォーズ』シリーズのエッセンスから、キャラクターや名場面、マーケティング戦略まで、その魅力を1冊に凝縮したSPECIAL EDITIONムックを制作。「STAR WARS 『フォースの覚醒』を導いたスター・ウォーズの伝説」(以下、本誌)として12月9日に発売する。ここでは本誌を元に、基礎知識と過去6作のあらすじを簡単に紹介しよう。
『エピソード4』が最初の作品
1977年に公開された最初の『スター・ウォーズ』が、大ヒットし、後に『エピソード4/新たなる希望』と副題を付けられることになった。80年に『エピソード5/帝国の逆襲』、83年に『エピソード6/ジェダイの帰還』が公開。主人公のルーク・スカイウォーカーが悪役のダース・ベイダーと戦うこの3作が、オリジナルの3部作である。
97年にオリジナル3部作を再編集した「特別篇」シリーズが上映され、その後、この前日譚となる新たな3部作、『エピソード1/ファントム・メナス』(99年)、『エピソード2/クローンの攻撃』(2002年)、『エピソード3/シスの復讐』(2005年)が順に公開されていった。新3部作の主人公は、アナキン・スカイウォーカー。ルークの父である彼が、成長し、やがて悪の道へと堕ちていく物語だ。
新作『エピソード7/フォースの覚醒』は、『エピソード6』の約30年後が舞台とされている。今後4年をかけ、最後の3部作として展開されていく予定だ。「多くは謎のままだが、主役は新キャラクターのレイ(デイジー・リドリー)とフィン(ジョン・ボイエガ)らしい。ファンの間では、レイはスカイウォーカーの娘か血縁者という説が有力視されている」(本誌「最新作の5つの見どころを大胆予測」より)。
ジョージ・ルーカスは純粋そのもの
この壮大な叙事詩を生み出したのは、ジョージ・ルーカス。本誌には『エピソード4』公開時のNewsweekの映画評を再録しているが、そこにはこうある。「『アメリカン・グラフィティ』のジョージ・ルーカス監督(33)は、最初から最後まで純粋に心から楽しめる、実にまれな映画を作り上げた......どうやってこんなにワクワクする娯楽大作を作れたのかまったくの謎だ」(本誌「伝説はここから始まった」より)
97年の「特別篇」公開時にはすでに、『スター・ウォーズ』シリーズは莫大な興行収入を稼ぎ出し、アメリカの文化史にも足跡を残した一大ムーブメントとなっていた。しかし、ルーカス本人は「実際に会ってみるとごく普通の人物だ」と、当時の映画担当記者は評している(本誌「フォースに導かれて新たな冒険が始まる」より)。
「『ミステリアスな男』という評判を立てておけば、作品の宣伝に利用できるという周囲の計算もあるだろう。しかしルーカス本人は、そんな作戦には興味がない。彼は純粋そのもの。作品の魅力は、ルーカスの純粋さがもたらすのだ」
銀河を股に掛けたスカイウォーカー家の物語
ここで、本誌「遠い昔、彼方の銀河系で...」のページを元に、過去6作のあらすじを紹介する。
その前に、かなり(!)簡潔に説明しておくと、「フォース」とは東洋武術における「気」のようなもの。それを自在に操る銀河系の自由と正義の守護者が「ジェダイ」である。
ジェダイ・マスターのクワイ=ガン・ジンとその弟子オビ=ワン・ケノービが、惑星タトゥイーンで奴隷の少年アナキン・スカイウォーカーに会う。アナキンこそが「選ばれし者」と確信したクワイ=ガンは、彼を教育することに。
ナブーの戦いが勃発。クワイ=ガンが命を落とす。10年後、ダークサイドに堕ちた元ジェダイ・マスターのドゥークー伯爵が分離独立運動を扇動し、銀河共和国が存亡の危機に。一方、母親が目の前で死に、怒りに駆られたアナキンが、母を誘拐した原住種族を皆殺しにするという一件があった。
その後、アナキンはジェダイの掟を破り、惑星ナブーの女王パドメ・アミダラと結婚。ドゥークー伯爵率いる独立星系連合軍(ドロイド軍)と、銀河元老院の最高議長パルパティーンが主導するクローン・トルーパー軍とのクローン大戦が始まる。
戦火が荒れ狂うなか、実はパルパティーンこそが、共和国の崩壊をもくろむシスの暗黒卿ダース・シディアスであり、分離派の黒幕だとアナキンは知る。妻の命を救うにはダークサイドに堕ちるしかないと思い詰めたアナキンは、ダース・シディアスの弟子となり、ダース・ベイダーに。
その後、ジェダイ・マスターのヨーダがパルパティーンと、オビ=ワンがダース・ベイダーとそれぞれ対決。パルパティーンは銀河帝国の初代皇帝に即位する。オビ=ワンはパドメを小惑星ポリス・マサに移すが、双子のルークとレイアを出産後、パドメは亡くなった。
恐怖政治を敷く銀河帝国。成長し反乱組織のリーダーとなっていたレイアを、帝国軍が拘束する。レイアは捕まる直前、帝国が開発した軍事要塞デス・スターの設計図をドロイドのR2-D2とC-3POに託し、脱出ポッドに乗せて惑星タトゥイーンに送る。
R2-D2とC-3POは偶然、ルークと養父の元へ。それがきっかけでルークは、父の師だったオビ=ワンに会う。ルークとオビ=ワンは、密輸業者のハン・ソロと相棒チューバッカを雇い、ミレニアム・ファルコン号でレイアの救出へ。うまく救い出してデス・スターを脱出するが、オビ=ワンが犠牲になる。
ルークら反乱同盟軍と帝国軍とのヤヴィンの戦いが勃発。デス・スターの破壊に成功する。その後、ホスの戦いを経て、ルークは謎の惑星ダゴバでヨーダに会い、ジェダイの修行を積む。一方、ハン・ソロは惑星ベスピンで捕らえられ、炭素冷凍されてしまう。ダース・ベイダーと対峙したルークは、戦いの中で、自分の実の父であることをベイダーから聞かされる。
ルーク、レイアらは、犯罪王ジャバ・ザ・ハットの元からハン・ソロを救出。ルークはダゴバに戻ってヨーダの死をみとる。その後、エンドア星系に新しいデス・スターが建造されていることを知った反乱同盟軍は、攻撃を仕掛ける。ダース・ベイダーは息子ルークをダークサイドに誘い込もうとするが、ルークは拒否。皇帝パルパティーンがルークを殺そうとするが、ベイダーが息子をかばって皇帝を殺し、自分も命を落とす。
そして伝説は、新たな3部作へ――。これで『スター・ウォーズ』初心者も、『エピソード7/フォースの覚醒』を存分に楽しめるはずだ。
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