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ここまでやる、グーグルのスター・ウォーズ祭り

ニューズウィーク日本版 2015年12月12日 18時35分

 12月18日の公開まであとわずかに迫っている『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』だが、これまで何カ月もの間、マーケティング・キャンペーンがまさに「フォース」全開で行われてきた。このキャンペーンに終始、燃料を供給してきたのがシリコンバレーのテクノロジー企業だ。

 テクノロジー企業とスター・ウォーズとのタイアップ企画は、ほとんど毎日のように発表されてきた。なかでもグーグルは、新しいガジェットや機能を次々に投下。スター・ウォーズのファンを自社製品に引きつけ、メディアが嬉々として書き立てるネタを提供することで、『フォースの覚醒』への熱狂を生み出してきた。

 米通信大手ベライゾンとグーグルは12月2日、スター・ウォーズ版「Google Cardboard」(ダンボール製の仮想現実[VR]ヘッドセット)をリリースした。手持ちのスマートフォンを段ボール製のヘッドセットの中に設置するだけという、グーグルが提供する安価で手軽なVRシステムの特別版だ。

.@starwars-themed @googlecardboard viewers available exclusively at Verizon stores today. https://t.co/aNvzLZq7jP https://t.co/S0ctk4sMDm— Verizon News (@VerizonNews) 2015, 12月 2


 スター・ウォーズ版Google Cardboardは、ベライゾン加入者のみがベライゾン店舗で無料で手に入れられる(その後、米国のグーグルストアでも提供され始めた)。ストームトルーパー、R2-D2、それから新作のキャラクターであるカイロ・レン、BB-8と、デザインは合計4種類。スター・ウォーズ公式アプリをダウンロードし、Google Cardboard(スター・ウォーズ版でなくても構わない)を使えば、独自のVRコンテンツを体験できる。

 他の企業からも、スター・ウォーズ絵文字がリリースされたり、PS4のダース・ベイダー限定モデルが発売されたりしてきた(日本での販売はなし)が、シリコンバレー企業によるキャンペーンで最も「オタク」なのは、圧倒的大差でグーグルだ。Google Cardboardに加えて、劇中で使われている銀河標準語「オーラベッシュ」をグーグル翻訳に追加したり、「a long time ago in a galaxy far far away(遠い昔、はるか彼方の銀河系で)」というフレーズをグーグル検索すると、ページが黒と黄色のあのオープニングクロールに切り替わるようにしたりと、さまざまな隠れ機能を投下してきた。

 なかでもグーグルの熱中ぶりを最もあからさまに表しているのが、11月にリリースされた「内なるフォースの覚醒」という銀河級のカスタマイズ機能だろう。ユーザーが「ライトサイド」か「ダークサイド」のどちらか一方を選ぶと、その選択が反映されて、Gmailやグーグルマップなどのアプリでデザインが微妙に変更される。例えば、ライトサイドを選んだユーザーは、グーグルマップのマーカーが戦闘機「Xウイング・スターファイター」になり、YouTube動画のプログレスバーが「ライトセーバー」風になる。

 グーグルのプロダクト・マネジメント担当副社長クレイ・ベイバーは、「内なるフォースの覚醒」のローンチに際して、これはスター・ウォーズに対する純粋な情熱に基づくものだと説明。「お察しの通り、Google には私のような『スター・ウォーズ』ファンがたくさんいます」とグーグルの公式ブログに書いている。「この壮大な物語に Google として、どうやって最大の敬意を表することができるか」を、『フォースの覚醒』の公開について初めて聞いたときに考え始めたという。

 グーグルは本誌の取材に、同社はベライゾンとは異なり、『フォースの覚醒』の公式スポンサーではないと答えた。しかし、だからといって、金儲けとまったく無関係というわけではない。たくさんのスター・ウォーズ・ファンを引きつけて、グーグルのアプリを試してもらう――それ自体が広告機会なのだ。

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リー・スン

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