世界的に知られる中国の現代美術家で社会活動家でもある艾未未(アイ・ウェイウェイ)は、デンマークの議会が26日、難民申請者の財産を没収する権限を当局に与える法案を可決したことに抗議して、デンマークで展示中の作品を撤収すると発表した。
可決された法案は、難民の流入を抑えることを目的としたもの。難民申請者の所持する貴重品や現金を押収して、難民受け入れに必要な費用に充てる措置が含まれる。艾はフォロワー20万4000人のインスタグラムと同31万人ツイッターで展示中止の決断を発表した。
艾のインスタグラムのアカウントには27日、次のようなテキストが投稿された。
「艾未未はデンマークの首都コペンハーゲンのギャラリーで開催中の個展を打ち切ることを決定した。この決断は、難民申請者から貴重品を取り上げ、家族の再会を遅らせる措置を認めたデンマーク議会の決定を受けたものだ」
「ギャラリーのオーナーも艾の決断を支持し、デンマーク議会が今日のヨーロッパと中東における最大の人道危機に対し、人権を尊重するヨーロッパ式解決の先駆けとなる代わりに、非人道的な政策への道を選んだことを遺憾に思う」
ギャラリーのキュレーターは共同通信の取材に応じ、艾がオーナーに電話で決意を伝えたと明かした。艾はデンマーク第2の都市オーフスのアロス美術館に展示されている作品も引き揚げる意向だが、美術館側にはまだ正式な連絡が来ていないという。美術館側はデンマークの難民政策に対する艾の抗議を尊重するとしながらも、「政府の政策のために、国民全員が責めを負うのはいかがなものか」と不満を漏らした。
Ai Weiweiさん(@aiww)が投稿した写真 - 2016 1月 27 1:47午前 PST
デンマークの非人道的な政策に抗議し、デンマークでの作品展示を中止すると発表した艾未未(右)
展示中止の発表のほぼ2時間後、艾は皮肉たっぷりに「世界一幸福な国にようこそ」というコピーが躍るデンマークの代表的なビール「カールスバーグ」の広告写真をインスタグラムにアップした。
Ai Weiweiさん(@aiww)が投稿した写真 - 2016 1月 27 3:52午前 PST
弱者に寄り添うスナップショット
艾はソーシャルメディアなどを通じて先鋭的なメッセージを発信する社会活動家として知られ、作品にも政治的なメッセージを込めてきた。昨秋にはサンフランシスコの有名な元刑務所アルカトラズでインスタレーションを公開。公民権運動に殉じたマーチン・ルーサー・キングや、アメリカ政府のインターネット監視を暴露したエドワード・スノーデンら、自らの信念によって投獄されたり、国外追放になった多数の人々の肖像をレゴブロックで制作した作品などを展示した。
艾自身も中国政府の弾圧のターゲットだ。11年に逮捕され、81日間拘留されて、釈放後もパスポートは取り上げられたまま渡航を禁止されていた。中国政府は4年後にパスポートを返還したが、アルカトラズの展示には立ち会えなかった。
昨年9月には、艾はインドの彫刻家アニッシュ・カプーアと共にロンドン市内を10キロ以上練り歩き、ヨーロッパに流入する難民との連帯をアピールした。艾は難民危機に並々ならぬ関心を寄せている。インスタグラムへの最近の投稿はほとんど、難民の写真や動画などだ。ヨーロッパを目指す難民の主要な玄関口、ギリシャのレスボス島に新しいスタジオを設け、難民たちのスナップショットを撮って、彼らの苦境を人々に知らせている。
「アーティストである以上、人々の苦しみに寄り添わねばならない。今の状況と私のアートは決して切り離せない」と、艾は語っている。「難民の流入を阻む境界線は(ヨーロッパの玄関口の)レスボス島にあるのではなく、我々の意識や心の中にある」
スタブ・ジブ
可決された法案は、難民の流入を抑えることを目的としたもの。難民申請者の所持する貴重品や現金を押収して、難民受け入れに必要な費用に充てる措置が含まれる。艾はフォロワー20万4000人のインスタグラムと同31万人ツイッターで展示中止の決断を発表した。
艾のインスタグラムのアカウントには27日、次のようなテキストが投稿された。
「艾未未はデンマークの首都コペンハーゲンのギャラリーで開催中の個展を打ち切ることを決定した。この決断は、難民申請者から貴重品を取り上げ、家族の再会を遅らせる措置を認めたデンマーク議会の決定を受けたものだ」
「ギャラリーのオーナーも艾の決断を支持し、デンマーク議会が今日のヨーロッパと中東における最大の人道危機に対し、人権を尊重するヨーロッパ式解決の先駆けとなる代わりに、非人道的な政策への道を選んだことを遺憾に思う」
ギャラリーのキュレーターは共同通信の取材に応じ、艾がオーナーに電話で決意を伝えたと明かした。艾はデンマーク第2の都市オーフスのアロス美術館に展示されている作品も引き揚げる意向だが、美術館側にはまだ正式な連絡が来ていないという。美術館側はデンマークの難民政策に対する艾の抗議を尊重するとしながらも、「政府の政策のために、国民全員が責めを負うのはいかがなものか」と不満を漏らした。
Ai Weiweiさん(@aiww)が投稿した写真 - 2016 1月 27 1:47午前 PST
デンマークの非人道的な政策に抗議し、デンマークでの作品展示を中止すると発表した艾未未(右)
展示中止の発表のほぼ2時間後、艾は皮肉たっぷりに「世界一幸福な国にようこそ」というコピーが躍るデンマークの代表的なビール「カールスバーグ」の広告写真をインスタグラムにアップした。
Ai Weiweiさん(@aiww)が投稿した写真 - 2016 1月 27 3:52午前 PST
弱者に寄り添うスナップショット
艾はソーシャルメディアなどを通じて先鋭的なメッセージを発信する社会活動家として知られ、作品にも政治的なメッセージを込めてきた。昨秋にはサンフランシスコの有名な元刑務所アルカトラズでインスタレーションを公開。公民権運動に殉じたマーチン・ルーサー・キングや、アメリカ政府のインターネット監視を暴露したエドワード・スノーデンら、自らの信念によって投獄されたり、国外追放になった多数の人々の肖像をレゴブロックで制作した作品などを展示した。
艾自身も中国政府の弾圧のターゲットだ。11年に逮捕され、81日間拘留されて、釈放後もパスポートは取り上げられたまま渡航を禁止されていた。中国政府は4年後にパスポートを返還したが、アルカトラズの展示には立ち会えなかった。
昨年9月には、艾はインドの彫刻家アニッシュ・カプーアと共にロンドン市内を10キロ以上練り歩き、ヨーロッパに流入する難民との連帯をアピールした。艾は難民危機に並々ならぬ関心を寄せている。インスタグラムへの最近の投稿はほとんど、難民の写真や動画などだ。ヨーロッパを目指す難民の主要な玄関口、ギリシャのレスボス島に新しいスタジオを設け、難民たちのスナップショットを撮って、彼らの苦境を人々に知らせている。
「アーティストである以上、人々の苦しみに寄り添わねばならない。今の状況と私のアートは決して切り離せない」と、艾は語っている。「難民の流入を阻む境界線は(ヨーロッパの玄関口の)レスボス島にあるのではなく、我々の意識や心の中にある」
スタブ・ジブ