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クルド人「独立宣言」がシリアの新たな火種に

ニューズウィーク日本版 2016年3月24日 17時40分

 内戦が続くシリアで北部の広い地域を実効支配している少数民族のクルド人勢力。欧米の支援を受けてテロ組織ISIS(自称イスラム国、別名ISIL)を撃退するなど存在感を強めている彼らの「独立宣言」が、新たな混乱を巻き起こしている。

 クルド人勢力は先週、シリア北部の3つの支配地域を統合し、連邦制による自治を始めると宣言した。だが国家の分裂につながりかねない宣言に対し、シリア政府も反政府勢力も猛反発。シリア外務省は「憲法違反で無効である」との声明を出し、反政府勢力の中心的存在であるシリア国民評議会も法的根拠がなく、国土の一体性を損なう主張だと批判している。

<参考記事>【ブリュッセル・テロ】アメリカは地上部隊投入でISISの「本国」を叩け

 さらにシリア北部と国境を接する隣国トルコも、この動きに神経をとがらせている。国内に敵対的なクルド人武装勢力を抱え、分離独立運動を警戒するトルコにとって、国境沿いの「クルド人国家」は安全保障上の大きな脅威だ。トルコ軍は既にシリア国内のクルド人勢力への攻撃に乗り出しており、地域の緊張がさらに高まる恐れもある。

[2016.3.29号掲載]
ジャック・ムーア

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