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次のジェームズ・ボンドは誰だ

ニューズウィーク日本版 2016年3月25日 16時30分

 昨年10月から公開され、大ヒットを記録したシリーズ最新作『007 スぺクター』。世界での興行収入は9億ドル近くに達し、製作陣も胸をなで下ろしているだろう。しかし彼らは新たな頭痛のタネに悩まされている。主人公ジェームズ・ボンド役のダニエル・クレイグの降板が噂されているからだ。

『007 カジノ・ロワイヤル』から4作に出演しているクレイグは昨年、ボンドをまた演じるぐらいなら「手首を切ったほうがましだ」と語り、物議を醸した。彼は後にこの発言を訂正。きつい撮影を終えたばかりで次を考える余裕なんてない、という意味だったと主張した。

【参考記事】ジェームズ・ボンドへの愛憎入り混じる想い

 とはいえ、爆弾発言だったのは確か。以来、映画業界では次のボンド役は誰になるのか、さまざまな噂や臆測が飛び交い、イギリスのブックメーカー各社が「候補者」たちの予想オッズを出すありさまだ。

 最近になって有力候補に挙がっているのが、英BBCの新スパイドラマ『ナイト・マネジャー』で主役の元軍人を演じるトム・ヒドルストン。正体を隠して諜報活動を行う演技が絶賛され、ファンやメディアはボンド役にぴったりだと騒ぎ始めた。

初の黒人ボンドも?

 本人も「声が掛かったら、すごいチャンスだ」と、英紙サンデー・タイムズに語っている。「アクションが多い役だから軽い気持ちで臨んだりはしない」

 次期ボンド役の予測でも、ヒドルストンのオッズは急降下。「『ナイト・マネジャー』にはかなりボンド的な要素があり、『007』の製作陣は間違いなく注目しているはずだ」と、英ブックメーカー、ウィリアム・ヒルの広報ジョー・クライリーは言う。「彼のオッズは2週間で半分以下になった。まだ低くなり得る」

【参考記事】無敵のスパイ007の新たな試練

 もちろん、クレイグの後継を狙える俳優はほかにもたくさんいる。現在トップを走るのは、『レヴェナント:蘇えりし者』でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされたトム・ハーディ。次点にヒドルストン、14年にソニー・ピクチャーズの社内メールが流出した際に会長の一押しだと判明したイドリス・エルバ、米ドラマ『HOMELAND/ホームランド』で知られるダミアン・ルイスが並ぶ。

 4人ともロンドン出身の俳優で、エルバの場合は「黒人初のボンド」と期待される。ただし、予想はあくまでも予想。クレイグ続投という大どんでん返しもあるかもしれない。

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《次のボンド候補たちとそのオッズ》
■ダミアン・ルイス(45)  6倍

米ドラマ『HOMELAND/ホームランド』で、イラクで8年間捕虜になっていた海兵隊員ニコラス・ブロディ役を演じ、エミー賞とゴールデングローブ賞の主演男優賞を受賞。昨年9月には、ルイスが次期ボンド役に内定したと、複数の英紙が一斉に報じた。

■トム・ヒドルストン(35) 6倍

『マイティ・ソー』でハリウッド進出し、主人公ソーの弟ロキ役を演じる。同じ役で『アベンジャーズ』にも出演。現在は英スパイドラマ『ナイト・マネジャー』で主役を演じ、好評を得ている。その他の代表作は『クリムゾン・ピーク』など。

■イドリス・エルバ(43) 6倍

米ドラマ『THE WIRE/ザ・ワイヤー』でブレイクし、『28週後...』『アメリカン・ギャングスター』など映画でも脚光を浴びるようになる。『マンデラ 自由への長い道』では南アフリカのマンデラ元大統領を熱演。英ドラマ『刑事ジョン・ルーサー』でもおなじみだ。

■トム・ハーディ(38) 2.37倍

『インセプション』の偽装師イームス役で注目され、『ダークナイト ライジング』で悪役ベインに抜擢される。昨年は『マッドマックス 怒りのデス・ロード』『レヴェナント:蘇えりし者』と続けて話題作に出演し、名実ともにハリウッドスターに。

[2016.3.29号掲載]
トゥファイエル・アーメド

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