<反トランプ派が指摘を続けていたのにこれまで大きな争点にならなかった「トランプ大学」詐欺疑惑。先週末、集団訴訟の判事が6月2日までに売り込みマニュアルも含む「大学」の内部書類の公開をトランプ側に命じたことで、不正の証拠が晒されてしまう可能性が出てきた>
米連邦地裁のゴンザロ・クリエル判事は27日、米紙ワシントンポストの要請を受けて、カリフォルニア州で詐欺罪で集団訴訟を受けている「トランプ大学」の内部文書を公開するよう命じた。
トランプ大学は、不動産投資を指南することを売りにドナルド・トランプが投資、設立し、2005年~11年にかけて運営されていた営利目的の教育機関。そこで授業料や教材費をだまし取られたというのが原告の訴えだ。
今回公開の対象となるのは、不動産投資に関するセミナーを売り込むためのマニュアルや経営戦略などを記録した1000ページ相当の内部文書のうち、個人情報を除いた部分。公開期限は6月2日とされた。
【参考記事】ヒラリー対トランプの「ゴシップ合戦」に突入した大統領選
クリエル判事は公開を命じた理由として、トランプが共和党の大統領選候補の座をほぼ確実にしたことでこの件についても有権者の関心が高まっていることを挙げた。またトランプが一連の裁判を公然と批判し、司法制度を侮辱してきたことも理由に挙げた。
トランプは、同じ日にカリフォルニア州サンディエゴで開かれた選挙集会で、裁判とクリエル判事について愚痴をまくしたてた。「裁判沙汰にすべきじゃない。この訴訟は略式判決で容易に却下される程度のものだし、誰もがそう言っている。判事はドナルド・トランプを毛嫌いしている。とにかく憎悪に満ちている。彼の名はゴンザロ・クリエル」
12分間も愚痴り続けたトランプ
「あの判事はきっとメキシコ系だ。そのこと自体は素晴らしいし、問題は全然ない。メキシコ人は仕事さえ与えれば、最終的にドナルド・トランプが大好きになる」
トランプはこの問題について12分間しゃべり続けた。米メディアのポリティコによると、トランプは「司法によって不当に追い込まれて」おり「非常に不公平な扱いを受けている」と主張。自分が「不法移民を国外退去にする」と主張しているから、判事は自分に偏見を持っているのだと非難した。
【参考記事】トランプ旋風を生んだ低俗リアリティ番組「アプレンティス」
カリフォルニア州で行われるこの連邦訴訟は、大統領選の本選が終わってすぐの11月28日に初公判が開かれる予定だ。
だが、現在閉鎖中のトランプ大学を待ち構える訴訟はこれだけではない。2013年にはニューヨーク州のエリック・シュナイダーマン司法長官が、トランプ大学は正式な認可を受けておらず学位を与える資格もないのに「大学」の名称を使用して受講者を欺き、5000人以上から受講料をだまし取ったとして、詐欺罪で訴追した。被害総額は4000万ドルという。
設立直後の2005年から「大学」という名称を止めるようニューヨーク州教育局から指導を受けていたトランプ大学は、2010年に組織名を「トランプ・アントレプレナーシップ・イニシアティブ」に改称、2011年に事業の運営を中止した。
営利目的の同大学は、3日間のセミナーで1495ドル、メンター制度を含む「トランプ・エリート」コースは1コースにつき3万5000ドルという高額の授業料を徴収していた。
トランプの弁護士は、将来事業活動を再開する可能性があり、内部文書を開示するのは企業秘密を流出させるに等しいと反発。だがクリエル判事は命令の中で「トランプ大学が運営を再開するという根拠は乏しく、開示対象となった文書に商業的な価値があるというのは憶測にすぎない」と述べた。
スタブ・ジブ
米連邦地裁のゴンザロ・クリエル判事は27日、米紙ワシントンポストの要請を受けて、カリフォルニア州で詐欺罪で集団訴訟を受けている「トランプ大学」の内部文書を公開するよう命じた。
トランプ大学は、不動産投資を指南することを売りにドナルド・トランプが投資、設立し、2005年~11年にかけて運営されていた営利目的の教育機関。そこで授業料や教材費をだまし取られたというのが原告の訴えだ。
今回公開の対象となるのは、不動産投資に関するセミナーを売り込むためのマニュアルや経営戦略などを記録した1000ページ相当の内部文書のうち、個人情報を除いた部分。公開期限は6月2日とされた。
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クリエル判事は公開を命じた理由として、トランプが共和党の大統領選候補の座をほぼ確実にしたことでこの件についても有権者の関心が高まっていることを挙げた。またトランプが一連の裁判を公然と批判し、司法制度を侮辱してきたことも理由に挙げた。
トランプは、同じ日にカリフォルニア州サンディエゴで開かれた選挙集会で、裁判とクリエル判事について愚痴をまくしたてた。「裁判沙汰にすべきじゃない。この訴訟は略式判決で容易に却下される程度のものだし、誰もがそう言っている。判事はドナルド・トランプを毛嫌いしている。とにかく憎悪に満ちている。彼の名はゴンザロ・クリエル」
12分間も愚痴り続けたトランプ
「あの判事はきっとメキシコ系だ。そのこと自体は素晴らしいし、問題は全然ない。メキシコ人は仕事さえ与えれば、最終的にドナルド・トランプが大好きになる」
トランプはこの問題について12分間しゃべり続けた。米メディアのポリティコによると、トランプは「司法によって不当に追い込まれて」おり「非常に不公平な扱いを受けている」と主張。自分が「不法移民を国外退去にする」と主張しているから、判事は自分に偏見を持っているのだと非難した。
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カリフォルニア州で行われるこの連邦訴訟は、大統領選の本選が終わってすぐの11月28日に初公判が開かれる予定だ。
だが、現在閉鎖中のトランプ大学を待ち構える訴訟はこれだけではない。2013年にはニューヨーク州のエリック・シュナイダーマン司法長官が、トランプ大学は正式な認可を受けておらず学位を与える資格もないのに「大学」の名称を使用して受講者を欺き、5000人以上から受講料をだまし取ったとして、詐欺罪で訴追した。被害総額は4000万ドルという。
設立直後の2005年から「大学」という名称を止めるようニューヨーク州教育局から指導を受けていたトランプ大学は、2010年に組織名を「トランプ・アントレプレナーシップ・イニシアティブ」に改称、2011年に事業の運営を中止した。
営利目的の同大学は、3日間のセミナーで1495ドル、メンター制度を含む「トランプ・エリート」コースは1コースにつき3万5000ドルという高額の授業料を徴収していた。
トランプの弁護士は、将来事業活動を再開する可能性があり、内部文書を開示するのは企業秘密を流出させるに等しいと反発。だがクリエル判事は命令の中で「トランプ大学が運営を再開するという根拠は乏しく、開示対象となった文書に商業的な価値があるというのは憶測にすぎない」と述べた。
スタブ・ジブ