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【動画】ISISに蹂躙された魂がさまよう町シンジャール

ニューズウィーク日本版 2016年6月6日 17時30分

<ISIS「ジェノサイド(虐殺)」の現場を行く>

 2013年、イラク北部のシンジャールには8万8000人以上の住民が暮らしていた。今は一人も残っていない。

 ISIS(自称「イスラム国」、別名ISIL)の支配下で地獄を見た後、昨年11月にようやく解放されたシンジャールを記者が訪ねた。

【参考記事】IS敗走後に集団墓地と数100人の遺体

 ISISがシンジャールを制圧したのは2014年8月。ほとんどの住民が町を逃れ、難民になった。ISISは逃げ遅れた住民を捕え、クルド系少数宗派のヤジディ教徒を始め、キリスト教徒やイスラム教シーア派住民を次々に殺害。5000人以上が犠牲になり、後に集団殺戮の跡がいくつも発見される。今年3月、米国務省はISISによる虐殺を「ジェノサイド(民族大虐殺)」と認定。犠牲者の年齢層は1~70歳だった。



 町が解放されたのは2015年11月。2日間の猛攻の末、米軍の空爆による支援を受けたクルド人民兵組織ペシュメルガがシンジャールを奪還した。

 作戦に参加したペシュメルガ民兵はおよそ7000人、うち1500人が町中心部に突撃し、地下に潜んでいた約200人のISIS戦闘員と戦った。

 仕掛け爆弾や遠隔操作の手製爆弾(IED)によって約15人のペシュメルガ民兵が死亡し、30人が負傷した。ペシュメルガの司令官によると、戦闘によるISIS側の死者は35人で、瓦礫の中には更に多くの遺体が埋もれている可能性が高いという。

 空爆や戦闘で町は廃墟と化し、建物はことごとく破壊された。

 それでもシンジャールの支配権をめぐる戦闘はまだ終わらない。周囲3~5キロの地点に拠点をもつISISは、毎日のように大砲やロケット弾を撃ち込んでくるからだ。

 難民となった住民や犠牲者の魂が戻る場所はない。

This article and video below first appeared on The Daily Signal.

ノーラン・ピーターソン(デイリー・シグナル)

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