欧州委員会のドムブロフスキス委員(金融サービス担当)は、英国の欧州連合(EU)離脱決定の影響で、イタリアの銀行システムが危機的な状況に陥っているとの見方を否定した。欧州議会の経済委員会で述べた。伊銀の問題は、継続的な収益力の弱さや巨額の不良債権が原因とし、その点は株価下落に反映されていると指摘。「これは新たな動向ではない。年初からすでに起こっていることだ」とし、英国のEU離脱決定が新たなシステミックな問題を引き起こしたとの見方を退けた。イタリア政府は現在、投資家に負担を負わせることなく、ぜい弱な国内銀の資本増強を実施できるよう、欧州委員会と協議している。欧州委は、リスクの高い金融商品を知らずに販売された消費者への補償など、個人投資家の保護措置に反対していない。だが公的資金による救済に関しては民間も損失を負担すべきと主張しており、年金基金など大口投資家に対する負担は免除できないとの立場を示唆している。ドムブロフスキス氏は実施される措置は「イタリア政府の要請による」とした。欧州の現行規定は、ストレステスト(健全性審査)で資本不足が指摘され、国内経済の「深刻な混乱」で銀行が市場での資金調達が困難な場合に限り、公的資金による資本増強を認めている。ドムブロフスキス氏は同規定の制限を重ねて強調、柔軟な対応を求めるイタリア政府と対照的な姿勢を示した。ドムブロフスキス氏は英国のEU離脱決定を受けて辞任したジョナサン・ヒル氏の後任で、正式就任は16日。[ブリュッセル 6日 ロイター] Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます