<オーストリアの憲法裁が大統領選のやり直しを命じ、この秋再選挙が実施される。前回5月の決選投票では僅差で敗北した極右政党の候補者がいま支持率を伸ばしていて、EU初の極右政権が誕生する可能性が高まってきた>(写真は支持率を伸ばす自由党の大統領候補ホーファー)
今年5月に決選投票が行われたオーストリアの大統領選挙では、反EUを掲げる極右政党の候補者が僅差で敗れた。だがEUに安堵が広がったのもつかのま、憲法裁判所が選挙のやり直しを命じ、極右の候補が再び支持を拡大している。
移民排斥や反EUを掲げる極右ポピュリズム政党「自由党」のノルベルト・ホーファー国民議会(下院)第3議長は、5月22日に行われた大統領選の決選投票で、リベラル政党「緑の党」の前党首で、無所属で出馬したアレクサンダー・ファン・デア・ベレンに約3万1000票の僅差で敗れた。
自由党はこの結果を不服として憲法裁に提訴。憲法裁は7月1日、故意の不正は認められないものの、開票手続きに不備があり、選挙結果に影響した可能性があるとして、投票のやり直しを命じた。再選挙はこの秋、実施される見通しだ。
【参考記事】オーストリアが紙一重で「極右」大統領を阻止 右翼ポピュリズムが欧州を徘徊する
世論調査会社のギャラップが今週発表した調査結果によると、ホーファーの支持率は52%で、7月初めの前回調査と比べて1ポイント上昇。ベレンの支持率48%を4ポイント上回っていた。
5月にホーファー敗退が伝えられたときには、EU全域に安堵が広がった。ホーファーが当選すれば、EU各国で勢力を拡大しつつある極右ポピュリズム政党に大きな弾みがつく。オーストリアの大統領は政治的な実権は小さいものの、これまで極右政党の候補がEU加盟国の国家元首になったことはない。ホーファーがこの前例を破れば、EUの政治指導者はイギリスのEU離脱に続いて、またもや手痛い敗北を喫することになる。
5月の決選投票後の分析では、オーストリアの有権者を二分する対立の構図が明らかになっている。教育レベルの高い都市部の有権者はベルンを支持し、単純労働の従事者や地方在住の有権者の多くはホーファーを支持している。
ジョシュ・ロウ
今年5月に決選投票が行われたオーストリアの大統領選挙では、反EUを掲げる極右政党の候補者が僅差で敗れた。だがEUに安堵が広がったのもつかのま、憲法裁判所が選挙のやり直しを命じ、極右の候補が再び支持を拡大している。
移民排斥や反EUを掲げる極右ポピュリズム政党「自由党」のノルベルト・ホーファー国民議会(下院)第3議長は、5月22日に行われた大統領選の決選投票で、リベラル政党「緑の党」の前党首で、無所属で出馬したアレクサンダー・ファン・デア・ベレンに約3万1000票の僅差で敗れた。
自由党はこの結果を不服として憲法裁に提訴。憲法裁は7月1日、故意の不正は認められないものの、開票手続きに不備があり、選挙結果に影響した可能性があるとして、投票のやり直しを命じた。再選挙はこの秋、実施される見通しだ。
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世論調査会社のギャラップが今週発表した調査結果によると、ホーファーの支持率は52%で、7月初めの前回調査と比べて1ポイント上昇。ベレンの支持率48%を4ポイント上回っていた。
5月にホーファー敗退が伝えられたときには、EU全域に安堵が広がった。ホーファーが当選すれば、EU各国で勢力を拡大しつつある極右ポピュリズム政党に大きな弾みがつく。オーストリアの大統領は政治的な実権は小さいものの、これまで極右政党の候補がEU加盟国の国家元首になったことはない。ホーファーがこの前例を破れば、EUの政治指導者はイギリスのEU離脱に続いて、またもや手痛い敗北を喫することになる。
5月の決選投票後の分析では、オーストリアの有権者を二分する対立の構図が明らかになっている。教育レベルの高い都市部の有権者はベルンを支持し、単純労働の従事者や地方在住の有権者の多くはホーファーを支持している。
ジョシュ・ロウ