救急車の椅子に座り、血まみれの顔でぼうぜんと前を見つめる5歳のシリアの子供の映像が、世界に衝撃を与えている。昨年9月にトルコの砂浜に漂着したシリア難民のアイラン・クルディ(3)の遺体写真に続き、罪のない子供を巻き添えにするシリア内戦の残酷さを象徴するものとして、インターネット上で拡散している。
【参考記事】難民の子供の水死、2カ月で90人
映像には、全身が白く覆われ頭部が血だらけのオムラン・ダクニシュ(5)が映っている。
ぼろぼろで見分けがつかなくなったアニメキャラクターのTシャツを着て、遠くの一点をただ見つめ、ショックで泣きもしない。額を触ってついた血を座面になすり付け、戸惑いを見せた。
シリアのバシャル・アサド政権に抵抗するメディア団体アレッポ・メディアセンターが17日、インターネット上に映像を公開した。政府軍によるとみられる空爆を受けたとき、ダクニシュは両親と兄弟を含む家族6人はシリア北部アレッポの自宅にいた。ダクニシュは瓦礫のなかから約5時間後に救出され、救急車に乗せられた。
自国政府による無差別攻撃
ぼうぜんと前を見つめるダクニシュの静止画像は、ソーシャルメディアで何千回もシェアされた。反政府活動家からは、ダクニシュは政権側がもたらした惨禍を世に問う代弁者だという声も上がった。
シリアで内戦が勃発して6年。反政府勢力の拠点だったアレッポは、アサドのシリア軍とロシア軍の巻き返しで激戦地と化している。市民はアサド政権軍に包囲されて逃げることもできず、巻き添えで多数の死傷者が出ている。
【参考記事】シリア反体制派の拠点アレッポに迫る人道危機
【参考記事】1万7000人が殺され、今も殺され続けているシリアの刑務所はこんなところ
ダクニシュを救出したのは、非武装中立の一般市民によるボランティア組織「ホワイト・ヘルメッツ」。シリアで空爆などによる負傷者を命がけで救出し、今年のノーベル平和賞候補にも挙がっている。治療にあたったのは米の非営利組織「シリア・アメリカ医療協会」の医師たちだった。
ダクニシュはその後病院へ運ばれて治療を受け、2時間後に親戚の家へ引き取られた。両親も負傷し別の施設に運ばれたが、命は助かったという。
シリアの内戦ではこれまでに30万人以上が命を落とし、戦火を逃れた何百万人が国内や周辺諸国で難民となっている。
ジャック・ムーア
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映像には、全身が白く覆われ頭部が血だらけのオムラン・ダクニシュ(5)が映っている。
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シリアのバシャル・アサド政権に抵抗するメディア団体アレッポ・メディアセンターが17日、インターネット上に映像を公開した。政府軍によるとみられる空爆を受けたとき、ダクニシュは両親と兄弟を含む家族6人はシリア北部アレッポの自宅にいた。ダクニシュは瓦礫のなかから約5時間後に救出され、救急車に乗せられた。
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ダクニシュはその後病院へ運ばれて治療を受け、2時間後に親戚の家へ引き取られた。両親も負傷し別の施設に運ばれたが、命は助かったという。
シリアの内戦ではこれまでに30万人以上が命を落とし、戦火を逃れた何百万人が国内や周辺諸国で難民となっている。
ジャック・ムーア