「インターネットで政治を変える」− そんな謳い文句が新書のタイトルに並ぶようになってから、どれくらいがすぎただろうか。ネット選挙やネットを活用した政治は、日本ではときに流行りの兆しを見せながらもいまいち本格的な運動にならない、そんな現象であり続けてきたように思う。
いっぽうで、海を越えたヨーロッパでは、「インターネットをつかった政治のあたらしいあり方」がさまざまな形で実験されてきた。その代表的な例のひとつが、「海賊党」という新政党による「液体民主主義」というシステムだ。
海賊党は2006年にスウェーデンで生まれ、「デジタルテクノロジーをつかって政治を変える」ことを標榜し、ヨーロッパじゅうに議席を獲得してきた、あたらしい政党だ。2016年現在、海賊党はアイスランドで与党を抑え支持率一位をとっており、次の選挙で初めて国政与党になることが期待されている。
【参考記事】パナマ文書に激怒するアイスランド国民の希望? アイスランド海賊党とは
8月24日、そんな海賊党から選ばれた唯一の欧州議会議員、ジュリア・レダ議員をゲストに迎え、海賊党が生み出したあたらしい政治の仕組み「液体民主主義」をかんがえるパネルディスカッションがおこなわれた。現在レダ議員は欧州議会でEUの著作権法改正を担当しており、欧州議会から提出された著作権法改正提言レポート(レダ・レポート)の責任者でもある。
液体民主主義とは?
そもそも液体民主主義とはなんなのだろうか?これは、2010年、ドイツ海賊党によって最初に提唱された、インターネットをつかった政治的意思決定のしくみだ。
ギリシャのポリスでおこなわれていたような、共同体の構成員全員がすべてのイシューに直接投票して政策を決める「直接民主制」は話し合いや意思決定に時間がかかりすぎるし、イシューの答えがYES/NOに二極化してしまう。逆に、いまほとんどの民主主義国家で行われている、有権者が数年に一回選んだ代表者にすべての政策の意思決定を委任する「間接民主制」は、この複雑化した現代社会においては十分に市民の声を代弁し得ない。
そのようなジレンマのなかで、直接民主制と間接民主制双方の長所を組み合わせてあらたな民主政治の形をつくろうとしたのが、液体民主主義のはじまりだった。
「液体民主主義」は間接民主制と直接民主制をデジタルテクノロジーによって止揚する試みだ (photo: CC0 1.0 Julia Reda)
液体民主主義は、オンラインプラットフォームをつかって有権者の直接的・間接的な政治参加と熟議を可能にする。どのプラットフォームをつかうかによってプロセスの詳細は異なるが、大体のしくみは以下のようなものだ。
まず、参加者はだれでも平等に法案を起草し、提案することができる。そして、提案された法案は参加者全体に共有され、参加者は自由に草案の改正案や代替案を提出することができる。この点で、液体民主主義はつねにイシュー・ベースで、えらばれた代表者が任期中にほとんどの政策決定をする、間接民主制とは大きく違う。
次に液体民主主義のユニークなポイントとして、「どの程度意思決定に参加したいか」を参加者自身が自由に決められる、というところがある。参加者は自分で草案を起草したり、その改正案を自分で書くこともできるし、その最終案に賛成か反対か、投票することもできる。もし自分で決められないという場合は、自分の票を誰かに「委任」して自分が信用するひとに自分の票の分を代理で投票してもらうこともできる。さらにおもしろいことに、-そしてここが間接民主制とのもうひとつのおおきな違いだが-票を「委任」されたその人も、自分の票をだれかに委任することができる。
液体民主主義における投票の委任モデルの一例。オピニオンリーダーなどは委任される票数が多い有権者となる仕組み(photo: CC-BY @hdready, @pudo, @twitgeridoo)
プロセスとしては、ほとんどの液体民主主義ソフトウェアは、意思決定のプロセスをいくつかのフェーズに分けることによって、意思決定のなかに熟議を担保しようと試みている。たとえば、ドイツ海賊党によって開発された世界初の液体民主主義ソフトウェア「Liquid Feedback」では、あらゆる意思決定に4つのフェーズを必要とする。
第一フェーズで、提案された草案はある一定の支持を集めなければならない(○人以上、参加者全体の○%など)。第二フェーズでは、一定の支持を集めたその草案は参加者全員の話し合いによって改訂されたり修正が加えられたりする。話し合いと修正が終わった後の第三フェーズでは草案は凍結し、参加者は自分の票をどのようにつかうか、考える時間が与えられる。第四フェーズではついに投票が行われる。
従来型の民主主義のプロセス(左)と、熟議と合意を可能にする液体民主主義のプロセス(右) (CC0 1.0 Julia Reda)
これまでの説明を見ればわかるように、「意思決定」は必ずしも投票行動によってのみ行われるのではなく、4つのフェーズを通して草案はたえず変化し、ブラッシュアップされ、合意が形成されていく。この、プロセスを通じた合意形成のダイナミズムが、液体民主主義が「液体(Liquid,「流体」とも訳せる)」と呼ばれる所以なのである。
(参照: アイスランド海賊党で今じっさいにつかわれている「オンラインプラットフォームをつかった政策決定プロセス」の詳細な説明はこちらから)
日本で液体民主主義は可能なのか
ブロックチェーンのモデルを参考にし、分散型ネットワークを政治的意思決定の場に応用させることをめざした「液体民主主義」。このような政治のあり方は、日本で可能なのか?液体民主主義を実現させるための課題は?さまざまなポイントがパネリストからあげられた。
まず、教育の問題。「民主主義は学ばれなければならない(Democracy has to be learned)」という言葉があるが、多くの人が集まって公共善を追求していくプロセスは、共同体構成員の論理的思考力や社会問題への関心の高さなど、さまざまな前提が必要とされる。それらの前提を抜きにして形式だけ導入された民主主義は容易にポピュリズムになってしまったり政策とは無関係の個人的な諍いに陥ってしまうため、注意が必要だ。その点で日本ではまだ、自分が属するコミュニティのなかで民主的に物事を決めたり、熟議を重ねるという教育が行き届いていない。それどころか、論理的に自分の考えを主張し、交渉し、合意を形成するという教育とは真逆の教育方針が敷かれている。この教育システムをまず第一に変える必要がある、という強い声が上がった(実際に、2020年のセンター試験廃止・記号式テスト廃止など、この教育システム改革の動きはすでに始まっているそうだ)。
次に、共同体のサイズが液体民主主義の成功におおきく関係する、という意見。トクヴィルの古典「アメリカの民主政治」によれば、1830年のアメリカがなぜ理想的な民主主義を実現させていたかというと、小さな市町村レベルで熟議・掛け合いによる民主主義の実践が多数行われており(タウンシップ・デモクラシー)、その小さな成功例が多数集まった結果として連邦政府が存在していたからなのだという。考えてみれば、液体民主主義が最初に成功したドイツも連邦制だし、いま海賊党が趨勢を誇るアイスランドも、人口が30万人の小国だ。このように、小さなコミュニティにおいて「参加者の顔が見える状態」で民主主義を実行していくことは液体民主主義成功の重要なファクターになりそうだ。
さらに斬新なアイデアとしては、政策決定のシステムだけではなく行政システムにもイノベーションが必要である、との意見。自分が共同体の一員だという自覚をもつためには、自分が決定にかかわった政策がちゃんと遂行されたという実感をもつことが重要である。それを現代社会で実現させるために、ビットコインなどでいまつかわれている「スマートコントラクト」(自力執行権のある契約)のテクノロジーが有効だ。これを二つ目の課題とかけ合わせて、民主主義の実験都市のような小さな町をいちからつくり、「契約の自動執行」「法の自動実行」のインフラをオープンソースで導入し、その上で液体民主主義を政策決定につかうことが、次世代の民主主義の形なのではないかーという非常に未来志向の意見もあった。
このほかにも、ここでは書ききれないほど様々なアイデア、意見、問題意識があがった。
ひとつ、このシンポジウムを通してレダ議員が強調していたことは、「液体民主主義」の実現には、小手先の手法や技術ではなく、もっと根元的なシステムづくりと参加者の意識づくりが必要なのだ、ということだ。
たとえばレダ議員の話によれば、液体民主主義発祥の地であるドイツ海賊党では「透明性」と「プライバシー」の両立の問題が折り合わなかった(だれがどのように投票・意見表明したか、というプロセスの透明性と個人のプライバシーの保護は完全に両立させることは不可能であるため)。このためドイツ海賊党では液体民主主義の活用をすでに取りやめている。その意味で、液体民主主義を最初に導入したヨーロッパにおいてすらも液体民主主義は「成功している」とは言えないし、まだまだ根本的に改善しなければならない課題が多くある。
ただ、液体民主主義というヨーロッパで起こった現象から、そしてレダ議員のメッセージから、日本が学べることがあるとすれば、「液体民主主義」のような民主主義の実験、失敗、検証をくりかえしながら、民主主義のクオリティを向上させていくこと。市民ひとりひとりが自分が属する社会のあり方、制度に関心を持ち、自らの手でそれを良くしていくこと、良くすることができると考えること、という姿勢そのものなのかもしれない。
Brexitの衝撃的なニュースや、世界的なポピュリズム政治の傾向から、「液体民主主義」のような試みは窮地に立たされている。そのような情勢の中で、私たちはつねに、「テクノロジーがすべてを解決する」と楽観視するのではなく、テクノロジーを使うことによって私たちはなにができるのか、社会をどう良くすることができるのか、考えていかなければならない。そしてそれを私たちに考えさせることこそが、テクノロジーが生み出した「液体民主主義」というムーブメントの最大の意義であり、そして私たちへの最大のチャレンジなのだ、と、レダ議員は教えてくれた。
[筆者]
Rio Nishiyama
元・欧州議会インターン。1991年生まれ。早稲田大学社会科学部・政治経済学部中退。オランダ・マーストリヒト大学卒業。2011年、スウェーデンのルンド大学に留学時海賊党を知りその後活動に関わることになる。大学卒業後、ブリュッセルの欧州議会にてドイツ海賊党議員のもとで半年間のインターンを経験。その後帰国。専攻はEU政治とEU著作権法改正プロセス。(Twitter: @ld4jp, Website:https://ldjp.wordpress.com/)
Rio Nishiyama
いっぽうで、海を越えたヨーロッパでは、「インターネットをつかった政治のあたらしいあり方」がさまざまな形で実験されてきた。その代表的な例のひとつが、「海賊党」という新政党による「液体民主主義」というシステムだ。
海賊党は2006年にスウェーデンで生まれ、「デジタルテクノロジーをつかって政治を変える」ことを標榜し、ヨーロッパじゅうに議席を獲得してきた、あたらしい政党だ。2016年現在、海賊党はアイスランドで与党を抑え支持率一位をとっており、次の選挙で初めて国政与党になることが期待されている。
【参考記事】パナマ文書に激怒するアイスランド国民の希望? アイスランド海賊党とは
8月24日、そんな海賊党から選ばれた唯一の欧州議会議員、ジュリア・レダ議員をゲストに迎え、海賊党が生み出したあたらしい政治の仕組み「液体民主主義」をかんがえるパネルディスカッションがおこなわれた。現在レダ議員は欧州議会でEUの著作権法改正を担当しており、欧州議会から提出された著作権法改正提言レポート(レダ・レポート)の責任者でもある。
液体民主主義とは?
そもそも液体民主主義とはなんなのだろうか?これは、2010年、ドイツ海賊党によって最初に提唱された、インターネットをつかった政治的意思決定のしくみだ。
ギリシャのポリスでおこなわれていたような、共同体の構成員全員がすべてのイシューに直接投票して政策を決める「直接民主制」は話し合いや意思決定に時間がかかりすぎるし、イシューの答えがYES/NOに二極化してしまう。逆に、いまほとんどの民主主義国家で行われている、有権者が数年に一回選んだ代表者にすべての政策の意思決定を委任する「間接民主制」は、この複雑化した現代社会においては十分に市民の声を代弁し得ない。
そのようなジレンマのなかで、直接民主制と間接民主制双方の長所を組み合わせてあらたな民主政治の形をつくろうとしたのが、液体民主主義のはじまりだった。
「液体民主主義」は間接民主制と直接民主制をデジタルテクノロジーによって止揚する試みだ (photo: CC0 1.0 Julia Reda)
液体民主主義は、オンラインプラットフォームをつかって有権者の直接的・間接的な政治参加と熟議を可能にする。どのプラットフォームをつかうかによってプロセスの詳細は異なるが、大体のしくみは以下のようなものだ。
まず、参加者はだれでも平等に法案を起草し、提案することができる。そして、提案された法案は参加者全体に共有され、参加者は自由に草案の改正案や代替案を提出することができる。この点で、液体民主主義はつねにイシュー・ベースで、えらばれた代表者が任期中にほとんどの政策決定をする、間接民主制とは大きく違う。
次に液体民主主義のユニークなポイントとして、「どの程度意思決定に参加したいか」を参加者自身が自由に決められる、というところがある。参加者は自分で草案を起草したり、その改正案を自分で書くこともできるし、その最終案に賛成か反対か、投票することもできる。もし自分で決められないという場合は、自分の票を誰かに「委任」して自分が信用するひとに自分の票の分を代理で投票してもらうこともできる。さらにおもしろいことに、-そしてここが間接民主制とのもうひとつのおおきな違いだが-票を「委任」されたその人も、自分の票をだれかに委任することができる。
液体民主主義における投票の委任モデルの一例。オピニオンリーダーなどは委任される票数が多い有権者となる仕組み(photo: CC-BY @hdready, @pudo, @twitgeridoo)
プロセスとしては、ほとんどの液体民主主義ソフトウェアは、意思決定のプロセスをいくつかのフェーズに分けることによって、意思決定のなかに熟議を担保しようと試みている。たとえば、ドイツ海賊党によって開発された世界初の液体民主主義ソフトウェア「Liquid Feedback」では、あらゆる意思決定に4つのフェーズを必要とする。
第一フェーズで、提案された草案はある一定の支持を集めなければならない(○人以上、参加者全体の○%など)。第二フェーズでは、一定の支持を集めたその草案は参加者全員の話し合いによって改訂されたり修正が加えられたりする。話し合いと修正が終わった後の第三フェーズでは草案は凍結し、参加者は自分の票をどのようにつかうか、考える時間が与えられる。第四フェーズではついに投票が行われる。
従来型の民主主義のプロセス(左)と、熟議と合意を可能にする液体民主主義のプロセス(右) (CC0 1.0 Julia Reda)
これまでの説明を見ればわかるように、「意思決定」は必ずしも投票行動によってのみ行われるのではなく、4つのフェーズを通して草案はたえず変化し、ブラッシュアップされ、合意が形成されていく。この、プロセスを通じた合意形成のダイナミズムが、液体民主主義が「液体(Liquid,「流体」とも訳せる)」と呼ばれる所以なのである。
(参照: アイスランド海賊党で今じっさいにつかわれている「オンラインプラットフォームをつかった政策決定プロセス」の詳細な説明はこちらから)
日本で液体民主主義は可能なのか
ブロックチェーンのモデルを参考にし、分散型ネットワークを政治的意思決定の場に応用させることをめざした「液体民主主義」。このような政治のあり方は、日本で可能なのか?液体民主主義を実現させるための課題は?さまざまなポイントがパネリストからあげられた。
まず、教育の問題。「民主主義は学ばれなければならない(Democracy has to be learned)」という言葉があるが、多くの人が集まって公共善を追求していくプロセスは、共同体構成員の論理的思考力や社会問題への関心の高さなど、さまざまな前提が必要とされる。それらの前提を抜きにして形式だけ導入された民主主義は容易にポピュリズムになってしまったり政策とは無関係の個人的な諍いに陥ってしまうため、注意が必要だ。その点で日本ではまだ、自分が属するコミュニティのなかで民主的に物事を決めたり、熟議を重ねるという教育が行き届いていない。それどころか、論理的に自分の考えを主張し、交渉し、合意を形成するという教育とは真逆の教育方針が敷かれている。この教育システムをまず第一に変える必要がある、という強い声が上がった(実際に、2020年のセンター試験廃止・記号式テスト廃止など、この教育システム改革の動きはすでに始まっているそうだ)。
次に、共同体のサイズが液体民主主義の成功におおきく関係する、という意見。トクヴィルの古典「アメリカの民主政治」によれば、1830年のアメリカがなぜ理想的な民主主義を実現させていたかというと、小さな市町村レベルで熟議・掛け合いによる民主主義の実践が多数行われており(タウンシップ・デモクラシー)、その小さな成功例が多数集まった結果として連邦政府が存在していたからなのだという。考えてみれば、液体民主主義が最初に成功したドイツも連邦制だし、いま海賊党が趨勢を誇るアイスランドも、人口が30万人の小国だ。このように、小さなコミュニティにおいて「参加者の顔が見える状態」で民主主義を実行していくことは液体民主主義成功の重要なファクターになりそうだ。
さらに斬新なアイデアとしては、政策決定のシステムだけではなく行政システムにもイノベーションが必要である、との意見。自分が共同体の一員だという自覚をもつためには、自分が決定にかかわった政策がちゃんと遂行されたという実感をもつことが重要である。それを現代社会で実現させるために、ビットコインなどでいまつかわれている「スマートコントラクト」(自力執行権のある契約)のテクノロジーが有効だ。これを二つ目の課題とかけ合わせて、民主主義の実験都市のような小さな町をいちからつくり、「契約の自動執行」「法の自動実行」のインフラをオープンソースで導入し、その上で液体民主主義を政策決定につかうことが、次世代の民主主義の形なのではないかーという非常に未来志向の意見もあった。
このほかにも、ここでは書ききれないほど様々なアイデア、意見、問題意識があがった。
ひとつ、このシンポジウムを通してレダ議員が強調していたことは、「液体民主主義」の実現には、小手先の手法や技術ではなく、もっと根元的なシステムづくりと参加者の意識づくりが必要なのだ、ということだ。
たとえばレダ議員の話によれば、液体民主主義発祥の地であるドイツ海賊党では「透明性」と「プライバシー」の両立の問題が折り合わなかった(だれがどのように投票・意見表明したか、というプロセスの透明性と個人のプライバシーの保護は完全に両立させることは不可能であるため)。このためドイツ海賊党では液体民主主義の活用をすでに取りやめている。その意味で、液体民主主義を最初に導入したヨーロッパにおいてすらも液体民主主義は「成功している」とは言えないし、まだまだ根本的に改善しなければならない課題が多くある。
ただ、液体民主主義というヨーロッパで起こった現象から、そしてレダ議員のメッセージから、日本が学べることがあるとすれば、「液体民主主義」のような民主主義の実験、失敗、検証をくりかえしながら、民主主義のクオリティを向上させていくこと。市民ひとりひとりが自分が属する社会のあり方、制度に関心を持ち、自らの手でそれを良くしていくこと、良くすることができると考えること、という姿勢そのものなのかもしれない。
Brexitの衝撃的なニュースや、世界的なポピュリズム政治の傾向から、「液体民主主義」のような試みは窮地に立たされている。そのような情勢の中で、私たちはつねに、「テクノロジーがすべてを解決する」と楽観視するのではなく、テクノロジーを使うことによって私たちはなにができるのか、社会をどう良くすることができるのか、考えていかなければならない。そしてそれを私たちに考えさせることこそが、テクノロジーが生み出した「液体民主主義」というムーブメントの最大の意義であり、そして私たちへの最大のチャレンジなのだ、と、レダ議員は教えてくれた。
[筆者]
Rio Nishiyama
元・欧州議会インターン。1991年生まれ。早稲田大学社会科学部・政治経済学部中退。オランダ・マーストリヒト大学卒業。2011年、スウェーデンのルンド大学に留学時海賊党を知りその後活動に関わることになる。大学卒業後、ブリュッセルの欧州議会にてドイツ海賊党議員のもとで半年間のインターンを経験。その後帰国。専攻はEU政治とEU著作権法改正プロセス。(Twitter: @ld4jp, Website:https://ldjp.wordpress.com/)
Rio Nishiyama