<性とジェンダーの多様性をテーマにした国際写真コンテストに寄せられた作品から浮かび上がるのは、世界の様々な場所でありのままの自分を生きる人々の多様で自由な姿だ>
米最高裁による同性婚の容認に象徴されるように、近年LGBT(同性愛者などの性的少数者)の権利向上は劇的に進んでいる。だが一方で、米フロリダ州でLGBTが集まるナイトクラブを狙った銃乱射事件が起きるなど、反発の動きも激しい。
そんななか、性とジェンダーの多様性をテーマにした国際写真コンテスト「プライド・フォト・アワード」が7月にオランダで開催され、70カ国398人のフォトグラファーから3600点の作品が寄せられた。
【参考記事】世界に広がるLGBT迫害戦争
同性愛が禁じられているウガンダのLGBT活動家、日本のトランスジェンダーカップルの食卓――バラエティー豊かな受賞作から浮かび上がるのは、男か女かの二分法に基づく伝統的な考え方ではとうてい説明できない、多様で自由なLGBTの姿だ。そこには、世間の偏見に振り回されることなく、あるがままの自分で生きればいいというメッセージが込められている。
受賞作は9月10日から10月16日まで、アムステルダム最古の教会として知られる「旧教会」で展示されている。会場に足を運ぶ人はきっと感じるはずだ。結局のところ、LGBTもそうでない人もさほど変わらないのだ、と。
<「インサイダーズ・アウトサイダーズ」の部(組写真)1位 ラナ・ヤノスカ>同じ人物でも服装や髪形を変えるだけで男性にも女性にも見える。男か女かの二者択一を前提とするステレオタイプ的な意識を揺さぶる LANA YANOVSKA
<「オープン」の部(組写真)1位 ローワン・レネー>ジェンダーアイデンティティーの曖昧さをヌード写真で表現。19世紀生まれの湿板写真の技法と極めて現代的なテーマの組み合わせが異色 ROWAN RENEE
<「インサイダーズ・アウトサイダーズ」の部(組写真)3位 フレデリック・ノイ>同性愛者への厳しい弾圧で知られるウガンダのLGBT活動家たち。同性間の性交渉が違法とされる国は世界中で70カ国以上に上る FREDERIC NOY
<「ストーリーズ」の部(組写真)2位 ビアネー・ルケア>レバノンのベイルート・アメリカン大学内のビーチは水着を着たイスラム教徒の男性たちでにぎわっている。女性の姿はない VIANNEY LE CAER
<「ストーリーズ」の部(組写真)1位 ベネディクト・デルース>83歳のトランスジェンダー女性、サマンサ・フロレスはメキシコでのLGBT運動のパイオニア的存在。家族から見捨てられることが多い高齢のLGBT向けシェルターを設立するなど情熱的に活動を続けている BENEDICTE DESRUS
<「単写真」の部2位 白井伸洋>心と体の性が一致せず、性別適合手術を受けた日本のトランスジェンダーカップルの食卓。2人は互いに戸籍上の性別を変えて08年に結婚した NOBUHIRO SHIRAI
<審査員特別賞(組写真) リチャード・レナルディ>ニューヨークのナイトライフを切り取った組写真。LGBTコミュニティーにはナイトクラブの退廃的な空気に居場所を見いだす人も多い RICHARD RENALDI
<「ストーリーズ」の部(組写真)3位 エリナ・アノソワ>閉ざされた環境での女性の生き方に注目する3部作の一部としてシベリアの女子刑務所に密着。刑務所内の人間関係は実社会の映し鏡だ ELENA ANOSOVA
<本誌2016年8月30日号掲載>
≪「Picture Power」の記事一覧はこちら≫
PRIDE PHOTO AWARD
米最高裁による同性婚の容認に象徴されるように、近年LGBT(同性愛者などの性的少数者)の権利向上は劇的に進んでいる。だが一方で、米フロリダ州でLGBTが集まるナイトクラブを狙った銃乱射事件が起きるなど、反発の動きも激しい。
そんななか、性とジェンダーの多様性をテーマにした国際写真コンテスト「プライド・フォト・アワード」が7月にオランダで開催され、70カ国398人のフォトグラファーから3600点の作品が寄せられた。
【参考記事】世界に広がるLGBT迫害戦争
同性愛が禁じられているウガンダのLGBT活動家、日本のトランスジェンダーカップルの食卓――バラエティー豊かな受賞作から浮かび上がるのは、男か女かの二分法に基づく伝統的な考え方ではとうてい説明できない、多様で自由なLGBTの姿だ。そこには、世間の偏見に振り回されることなく、あるがままの自分で生きればいいというメッセージが込められている。
受賞作は9月10日から10月16日まで、アムステルダム最古の教会として知られる「旧教会」で展示されている。会場に足を運ぶ人はきっと感じるはずだ。結局のところ、LGBTもそうでない人もさほど変わらないのだ、と。
<「インサイダーズ・アウトサイダーズ」の部(組写真)1位 ラナ・ヤノスカ>同じ人物でも服装や髪形を変えるだけで男性にも女性にも見える。男か女かの二者択一を前提とするステレオタイプ的な意識を揺さぶる LANA YANOVSKA
<「オープン」の部(組写真)1位 ローワン・レネー>ジェンダーアイデンティティーの曖昧さをヌード写真で表現。19世紀生まれの湿板写真の技法と極めて現代的なテーマの組み合わせが異色 ROWAN RENEE
<「インサイダーズ・アウトサイダーズ」の部(組写真)3位 フレデリック・ノイ>同性愛者への厳しい弾圧で知られるウガンダのLGBT活動家たち。同性間の性交渉が違法とされる国は世界中で70カ国以上に上る FREDERIC NOY
<「ストーリーズ」の部(組写真)2位 ビアネー・ルケア>レバノンのベイルート・アメリカン大学内のビーチは水着を着たイスラム教徒の男性たちでにぎわっている。女性の姿はない VIANNEY LE CAER
<「ストーリーズ」の部(組写真)1位 ベネディクト・デルース>83歳のトランスジェンダー女性、サマンサ・フロレスはメキシコでのLGBT運動のパイオニア的存在。家族から見捨てられることが多い高齢のLGBT向けシェルターを設立するなど情熱的に活動を続けている BENEDICTE DESRUS
<「単写真」の部2位 白井伸洋>心と体の性が一致せず、性別適合手術を受けた日本のトランスジェンダーカップルの食卓。2人は互いに戸籍上の性別を変えて08年に結婚した NOBUHIRO SHIRAI
<審査員特別賞(組写真) リチャード・レナルディ>ニューヨークのナイトライフを切り取った組写真。LGBTコミュニティーにはナイトクラブの退廃的な空気に居場所を見いだす人も多い RICHARD RENALDI
<「ストーリーズ」の部(組写真)3位 エリナ・アノソワ>閉ざされた環境での女性の生き方に注目する3部作の一部としてシベリアの女子刑務所に密着。刑務所内の人間関係は実社会の映し鏡だ ELENA ANOSOVA
<本誌2016年8月30日号掲載>
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PRIDE PHOTO AWARD