<観客動員数がリーグ随一という日本の人気バスケットボール・チーム、千葉ジェッツ。しかし、実はわずか4年前には経営不振で存続の危機に瀕していた。再建を担ったのは、スポーツは門外漢だった経営コンサルタントの島田慎二氏。一体どんな再建計画を立て、いかにそれを実行していったのか>
千葉ジェッツを運営する株式会社ASPEの社長に就任したのは2012年のことです。
当時、ジェッツは経営不振で存続が危ぶまれていました。そこで経営コンサルタントをしていた私に、再建計画を立ててほしいと道永幸治取締役会長から依頼があったんです。リサーチと分析の結果、膨大な数の小口債権者を整理してガバナンスを再構成すること、資金調達力を強化すること、社内の士気を高めることなど、ヒト、モノ、カネに渡る再建計画を40ページくらいのペーパーにまとめて提出しました。
本来ならそこで私の仕事は終わるはずでしたが、さらに社長として再建を実行してくれないかと指名を受けたんです。バスケットはもとよりスポーツチームの経営に携わったこともありませんし、いばらの道であることも重々承知していましたが、道永会長にはかつて別の事業でお世話になっていましたし、他の支援者の方からも島田が引き受けないなら手を引くとまで言われて、これはもう腹をくくってやるしかないと社長を引き受けることにしました。
全てのステークホルダーと共にハッピーになるために
再建は計画に沿って粛々と進めるわけですが、それにはまず自分たちが何のために活動し、何を拠り所とするかを明確にする必要があると考えました。そこで社員みんなの意見も聞きながら、活動理念と13項目からなるミッションを次のように決めたんです。
<活動理念>
千葉ジェッツを取り巻く全ての人たちと共にハッピーになる
<ミッション>
1. ブースター* の皆様にとって身近で愛着のある存在になります。
2. ブースターの皆様の声に真摯に耳を傾けます。
3. ブースターの皆様と喜び、感動し、一体感を共に味わうことを大切にします。
4. パートナーの皆様の協賛価値を共に向上させます。
5. ボランティアの皆様・フライトクルー* と共に試合興行、イベントなどを作りあげていることを忘れません。
6. 地域の皆様の誇れる存在になります。
7. 子供たちの夢見る舞台を継続的に提供していきます。
8. プロスポーツチームだからこそできる社会貢献を果たします。
9. 地域を盛り上げるために積極的にイベントに参加します。
10. 共にサービスを提供する取引業者との絆を深めます。
11. 選手はチームワークを大切に、愛され、そして勝てるチームになります。
12. スタッフは一致団結し、働きがいのある職場環境を皆で創ります。
13. スタッフ・株主が成果に対するリターンを享受できる組織になります。
何のために千葉ジェッツが存在しているのかといえば、関係する"全て"の人たちと一緒に幸せや楽しさ、充実感を味わうため。それを具体的に示したのがミッションで、ブースターの方々、パートナーの団体・企業、興行を支えてくれる業者、自治体、地域の方々や子どもたち、さらに選手やスタッフ、株主に対して、ジェッツというチームが何を提供できるか、どのようにつながりあえるかを明らかにしました。
"負け組"の意識を変えて稼げる体制を築く
財政がひっ迫している以上、最大の課題が資金調達であることは確かなんです。それも金融機関からの借入に頼ってばかりでは経営の独立性が保てませんから、試合の観客動員を増やしてチケットやグッズの販売による営業収益を上げる、スポンサーを獲得する、寄付を募るといった施策が絶対に欠かせません。
一方で、財政再建を果たすには組織の再建も必要です。貧すれば鈍するで、資金不足に陥ると出てくるはずの知恵も浮かばないし、モチベーションも維持できません。
要は、当時の社員の意識は"負け組"だったわけですよ。バスケットはマイナーでお客さんが入らない、チケットも売れない、スポンサーもつかない、だから儲からないという、ないない尽くしですね。薄給で昼夜休みなく働いて、しかも人が雇えないから1人で何役もこなす、結果として何をしているかわからない、疲れる、さらに発想も乏しくなって自信も失う、成果は出ない――という悪循環です。
そこでまずははっきりと活動理念とミッションを掲げて、自分たちが目指す道筋を明らかにすることで、資金調達に弾みをつけると同時に社内の風土改革も狙ったわけです。
経営的には苦しかったですけど、あえてスタッフも補充しましたし、チーム体制を組んで効率よく動けるようにしたりして成果を確実に挙げていく仕組みを作っていきました。稼げる体制を築いたということですね。
ステークホルダーの多様さにひるまず、スポンサーの獲得に注力して活路を開く
ミッションはさまざまなステークホルダーに配慮した内容になっています。このステークホルダーの多様さこそ、再建を難しくしている1つの要因といえるでしょう。
これは日本のスポーツクラブの運営について回る課題だと思います。ファンや選手のみならず、地域の方々、スポンサー、行政などと密接に連携していくことが望まれますからね。ともすると、どこから手を付けたらいいのか分からなくなってしまう。手をこまねいているうちに資金がなくなり、人も減らして、気が付けば崖っぷちに追いやられていたというケースは少なくありません。
我々はまずスポンサーの獲得に着手しました。事業が軌道に乗るまでの"執行猶予期間"も設備やスタッフ、機材などへの戦略的な投資が必要です。しかし、先ほども申し上げたように金融機関からの借入は自前の収入ではありませんし、かといって営業収益を上げるには時間がかかります。大きな収入が得られて、しかも自分たちの資源として自由に使えるのは何かといえばスポンサーからの資金提供となるわけです。
【参考記事】NBAが巻き起こすビッグデータ革命
とはいえ、マイナーで観客も少ないバスケットというスポーツに、何百万円、何千万円とお金を出してくれる企業はそうそうありません。特に千葉県には野球やサッカーの球団もあって**、どこもうちより集客力は圧倒的に高い。そこと戦ってスポンサーを獲得しなきゃいけないわけです。
そこで武器となったのが、私が社長を引き受ける前からジェッツが行っていた地域活動でした。地域のイベントやお祭りなどに選手がこまめに顔を出して、地域の皆さんと交流していたんです。***
野球やサッカーのようなメジャースポーツは地域のお祭りにまで選手が来ることはほとんどありません。その点、我々は言ってみればAKB48と同じ(笑)。手の届く背の高いお兄ちゃんとして、身近で親しみが持てる存在になれるように活動してきたことが、地域への貢献として評価されたように思います。
県のスポーツ施策に合致した球団であることを自治体に訴求
ただ、ここで間違えてはいけないのは地道な活動が人気に直結したわけではないということです。お祭りでジェッツの選手と会っただけで、わざわざチケットを買って試合を観に来る方はそういないでしょう。だから、ただ地域の催しに参加するだけでは成果は得にくいわけです。
しかし一方で、千葉は県としてスポーツを通じた青少年育成や地域創成に積極的に取り組んでいます。ジェッツの活動は草の根活動で子どもたちに触れ合う機会も多いですし、これほど県の理念に合致している球団は他にないと自治体に訴求しました。その結果が、例えば船橋市や千葉市との連携**** といった大きな支援につながったのだと思います。その大きな力のおかげで地元で認知が広がって、観客やスポンサーの増加という恩恵が得られているわけです。
いくら地道な地域活動を続けても、大きな力を引き出すファクターに変えていかない限り結果にはつながりません。汗をかいたものを"商品"に変えていったところが我々の活動の特徴かなと思っています。
そうやってスポンサーを見つけて資金を得られるようになってから、優秀な選手を獲得したりスタッフを増やしたりできるようになり、さらに地域活動やボランティアへのケアもより丁寧にできるようになっていきました。再建に勢いがついて、今はそれぞれのステークホルダーに対して包括的なケアができる体制も整ってきました。
【参考記事】再録:マイケル・ジョーダンは私を抱きしめて言った
スポンサーの7割が船橋の企業や団体で占める地域球団
試合でもファンサービスを徹底するようにしました。選手との交流はもちろん、ハーフタイムにはチアリーダーやお笑い芸人のパフォーマンスがありますし、MCも応援を盛り立てます。試合自体も激しくダイナミックなプレーや1点をめぐる攻防に息をつめたりと、すごくエキサイティングです。最初は興味がなかったお客さんも試合が終わるころにはすっかりファンになっているということもありますね。
「バスケットって面白い」「千葉ジェッツを応援したい」という声が徐々に広がっていって、2015年12月にはリーグ史上最多の観客動員(6,236人)を記録するまでになりました。
今、スポンサーの7割が船橋の企業や団体を占めています。会社の売上も増加し、2015年度の売上高は3億7800万円と、前年比1.5倍の伸びとなったほか、売上、利益ともに増収増益となり過去最高を記録することができました。同年度で過去の累積損失も消滅させることができたのは喜ばしいことです。
しかし、再建はまだ道半ばに過ぎません。新たに発足する日本プロバスケットボールの新リーグ「Bリーグ」でいっそうの飛躍を目指します。
WEB限定コンテンツ
(2016.3.29 千葉県船橋市の千葉ジェッツ本社にて取材)
text: Yoshie Kaneko
photo: Tomoyo Yamazaki
※インタビュー後編:「打倒トヨタ」を掲げ、地域が共に闘う空気を意図的につくる
千葉ジェッツ
2010年11月発足。加盟リーグは2012年度までbjリーグ、2015年度までNBL、2016年9月からBリーグ(B1カテゴリ)。日本代表メンバーも務める小野龍猛選手や富樫勇樹選手らを抱え、2015年度は8位の成績でプレーオフ進出を果たす。観客動員数はリーグ随一で、2015年12月にはNBLリーグ史上最多の6,236人を記録した。ホームタウンは船橋市、フレンドリータウンは千葉市。メインアリーナは船橋市総合体育館(船橋アリーナ)。
http://www.chibajets.jp/
株式会社ASPE(エーエスピーイー)
千葉ジェッツの運営会社として2010年9月に設立。社名はArena Sports Promotion & Educationの略。本社は千葉県船橋市。社員数13名(2016年6月現在)。
* ブースターはファン、フライトクルーはホームゲームでMCやチアパフォーマンスを行うメンバーのこと。
** 野球では千葉ロッテマリーンズ、サッカーではジェフユナイテッド市原・千葉、柏レイソルがある。
*** 千葉ジェッツでは「JETS HAPPY ACTION」と銘打ち、年間110回を超える地域貢献活動を実施している。
**** 2015年5月に船橋市とホームタウン協定、同年12月に千葉市とフレンドリータウン協定を締結。
島田慎二(しまだ・しんじ)株式会社ASPE 代表取締役。1970年新潟県生まれ。日本大学卒業。1992年株式会社マップインターナショナル(現・株式会社エイチアイエス)入社。95年に退職後、法人向け海外旅行を扱う株式会社ウエストシップを設立。2001年同社取締役を退任。同年、海外出張専門の旅行を扱う株式会社ハルインターナショナルを設立。10年に同社売却、同年にコンサルティング事業を展開する株式会社リカオンを設立。12年より現職。株式会社ジェッツインターナショナル 代表取締役、特定非営利活動法人ドリームヴィレッジ 理事長、公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ 理事。
※当記事はWORKSIGHTの提供記事です
WORKSIGHT
千葉ジェッツを運営する株式会社ASPEの社長に就任したのは2012年のことです。
当時、ジェッツは経営不振で存続が危ぶまれていました。そこで経営コンサルタントをしていた私に、再建計画を立ててほしいと道永幸治取締役会長から依頼があったんです。リサーチと分析の結果、膨大な数の小口債権者を整理してガバナンスを再構成すること、資金調達力を強化すること、社内の士気を高めることなど、ヒト、モノ、カネに渡る再建計画を40ページくらいのペーパーにまとめて提出しました。
本来ならそこで私の仕事は終わるはずでしたが、さらに社長として再建を実行してくれないかと指名を受けたんです。バスケットはもとよりスポーツチームの経営に携わったこともありませんし、いばらの道であることも重々承知していましたが、道永会長にはかつて別の事業でお世話になっていましたし、他の支援者の方からも島田が引き受けないなら手を引くとまで言われて、これはもう腹をくくってやるしかないと社長を引き受けることにしました。
全てのステークホルダーと共にハッピーになるために
再建は計画に沿って粛々と進めるわけですが、それにはまず自分たちが何のために活動し、何を拠り所とするかを明確にする必要があると考えました。そこで社員みんなの意見も聞きながら、活動理念と13項目からなるミッションを次のように決めたんです。
<活動理念>
千葉ジェッツを取り巻く全ての人たちと共にハッピーになる
<ミッション>
1. ブースター* の皆様にとって身近で愛着のある存在になります。
2. ブースターの皆様の声に真摯に耳を傾けます。
3. ブースターの皆様と喜び、感動し、一体感を共に味わうことを大切にします。
4. パートナーの皆様の協賛価値を共に向上させます。
5. ボランティアの皆様・フライトクルー* と共に試合興行、イベントなどを作りあげていることを忘れません。
6. 地域の皆様の誇れる存在になります。
7. 子供たちの夢見る舞台を継続的に提供していきます。
8. プロスポーツチームだからこそできる社会貢献を果たします。
9. 地域を盛り上げるために積極的にイベントに参加します。
10. 共にサービスを提供する取引業者との絆を深めます。
11. 選手はチームワークを大切に、愛され、そして勝てるチームになります。
12. スタッフは一致団結し、働きがいのある職場環境を皆で創ります。
13. スタッフ・株主が成果に対するリターンを享受できる組織になります。
何のために千葉ジェッツが存在しているのかといえば、関係する"全て"の人たちと一緒に幸せや楽しさ、充実感を味わうため。それを具体的に示したのがミッションで、ブースターの方々、パートナーの団体・企業、興行を支えてくれる業者、自治体、地域の方々や子どもたち、さらに選手やスタッフ、株主に対して、ジェッツというチームが何を提供できるか、どのようにつながりあえるかを明らかにしました。
"負け組"の意識を変えて稼げる体制を築く
財政がひっ迫している以上、最大の課題が資金調達であることは確かなんです。それも金融機関からの借入に頼ってばかりでは経営の独立性が保てませんから、試合の観客動員を増やしてチケットやグッズの販売による営業収益を上げる、スポンサーを獲得する、寄付を募るといった施策が絶対に欠かせません。
一方で、財政再建を果たすには組織の再建も必要です。貧すれば鈍するで、資金不足に陥ると出てくるはずの知恵も浮かばないし、モチベーションも維持できません。
要は、当時の社員の意識は"負け組"だったわけですよ。バスケットはマイナーでお客さんが入らない、チケットも売れない、スポンサーもつかない、だから儲からないという、ないない尽くしですね。薄給で昼夜休みなく働いて、しかも人が雇えないから1人で何役もこなす、結果として何をしているかわからない、疲れる、さらに発想も乏しくなって自信も失う、成果は出ない――という悪循環です。
そこでまずははっきりと活動理念とミッションを掲げて、自分たちが目指す道筋を明らかにすることで、資金調達に弾みをつけると同時に社内の風土改革も狙ったわけです。
経営的には苦しかったですけど、あえてスタッフも補充しましたし、チーム体制を組んで効率よく動けるようにしたりして成果を確実に挙げていく仕組みを作っていきました。稼げる体制を築いたということですね。
ステークホルダーの多様さにひるまず、スポンサーの獲得に注力して活路を開く
ミッションはさまざまなステークホルダーに配慮した内容になっています。このステークホルダーの多様さこそ、再建を難しくしている1つの要因といえるでしょう。
これは日本のスポーツクラブの運営について回る課題だと思います。ファンや選手のみならず、地域の方々、スポンサー、行政などと密接に連携していくことが望まれますからね。ともすると、どこから手を付けたらいいのか分からなくなってしまう。手をこまねいているうちに資金がなくなり、人も減らして、気が付けば崖っぷちに追いやられていたというケースは少なくありません。
我々はまずスポンサーの獲得に着手しました。事業が軌道に乗るまでの"執行猶予期間"も設備やスタッフ、機材などへの戦略的な投資が必要です。しかし、先ほども申し上げたように金融機関からの借入は自前の収入ではありませんし、かといって営業収益を上げるには時間がかかります。大きな収入が得られて、しかも自分たちの資源として自由に使えるのは何かといえばスポンサーからの資金提供となるわけです。
【参考記事】NBAが巻き起こすビッグデータ革命
とはいえ、マイナーで観客も少ないバスケットというスポーツに、何百万円、何千万円とお金を出してくれる企業はそうそうありません。特に千葉県には野球やサッカーの球団もあって**、どこもうちより集客力は圧倒的に高い。そこと戦ってスポンサーを獲得しなきゃいけないわけです。
そこで武器となったのが、私が社長を引き受ける前からジェッツが行っていた地域活動でした。地域のイベントやお祭りなどに選手がこまめに顔を出して、地域の皆さんと交流していたんです。***
野球やサッカーのようなメジャースポーツは地域のお祭りにまで選手が来ることはほとんどありません。その点、我々は言ってみればAKB48と同じ(笑)。手の届く背の高いお兄ちゃんとして、身近で親しみが持てる存在になれるように活動してきたことが、地域への貢献として評価されたように思います。
県のスポーツ施策に合致した球団であることを自治体に訴求
ただ、ここで間違えてはいけないのは地道な活動が人気に直結したわけではないということです。お祭りでジェッツの選手と会っただけで、わざわざチケットを買って試合を観に来る方はそういないでしょう。だから、ただ地域の催しに参加するだけでは成果は得にくいわけです。
しかし一方で、千葉は県としてスポーツを通じた青少年育成や地域創成に積極的に取り組んでいます。ジェッツの活動は草の根活動で子どもたちに触れ合う機会も多いですし、これほど県の理念に合致している球団は他にないと自治体に訴求しました。その結果が、例えば船橋市や千葉市との連携**** といった大きな支援につながったのだと思います。その大きな力のおかげで地元で認知が広がって、観客やスポンサーの増加という恩恵が得られているわけです。
いくら地道な地域活動を続けても、大きな力を引き出すファクターに変えていかない限り結果にはつながりません。汗をかいたものを"商品"に変えていったところが我々の活動の特徴かなと思っています。
そうやってスポンサーを見つけて資金を得られるようになってから、優秀な選手を獲得したりスタッフを増やしたりできるようになり、さらに地域活動やボランティアへのケアもより丁寧にできるようになっていきました。再建に勢いがついて、今はそれぞれのステークホルダーに対して包括的なケアができる体制も整ってきました。
【参考記事】再録:マイケル・ジョーダンは私を抱きしめて言った
スポンサーの7割が船橋の企業や団体で占める地域球団
試合でもファンサービスを徹底するようにしました。選手との交流はもちろん、ハーフタイムにはチアリーダーやお笑い芸人のパフォーマンスがありますし、MCも応援を盛り立てます。試合自体も激しくダイナミックなプレーや1点をめぐる攻防に息をつめたりと、すごくエキサイティングです。最初は興味がなかったお客さんも試合が終わるころにはすっかりファンになっているということもありますね。
「バスケットって面白い」「千葉ジェッツを応援したい」という声が徐々に広がっていって、2015年12月にはリーグ史上最多の観客動員(6,236人)を記録するまでになりました。
今、スポンサーの7割が船橋の企業や団体を占めています。会社の売上も増加し、2015年度の売上高は3億7800万円と、前年比1.5倍の伸びとなったほか、売上、利益ともに増収増益となり過去最高を記録することができました。同年度で過去の累積損失も消滅させることができたのは喜ばしいことです。
しかし、再建はまだ道半ばに過ぎません。新たに発足する日本プロバスケットボールの新リーグ「Bリーグ」でいっそうの飛躍を目指します。
WEB限定コンテンツ
(2016.3.29 千葉県船橋市の千葉ジェッツ本社にて取材)
text: Yoshie Kaneko
photo: Tomoyo Yamazaki
※インタビュー後編:「打倒トヨタ」を掲げ、地域が共に闘う空気を意図的につくる
千葉ジェッツ
2010年11月発足。加盟リーグは2012年度までbjリーグ、2015年度までNBL、2016年9月からBリーグ(B1カテゴリ)。日本代表メンバーも務める小野龍猛選手や富樫勇樹選手らを抱え、2015年度は8位の成績でプレーオフ進出を果たす。観客動員数はリーグ随一で、2015年12月にはNBLリーグ史上最多の6,236人を記録した。ホームタウンは船橋市、フレンドリータウンは千葉市。メインアリーナは船橋市総合体育館(船橋アリーナ)。
http://www.chibajets.jp/
株式会社ASPE(エーエスピーイー)
千葉ジェッツの運営会社として2010年9月に設立。社名はArena Sports Promotion & Educationの略。本社は千葉県船橋市。社員数13名(2016年6月現在)。
* ブースターはファン、フライトクルーはホームゲームでMCやチアパフォーマンスを行うメンバーのこと。
** 野球では千葉ロッテマリーンズ、サッカーではジェフユナイテッド市原・千葉、柏レイソルがある。
*** 千葉ジェッツでは「JETS HAPPY ACTION」と銘打ち、年間110回を超える地域貢献活動を実施している。
**** 2015年5月に船橋市とホームタウン協定、同年12月に千葉市とフレンドリータウン協定を締結。
島田慎二(しまだ・しんじ)株式会社ASPE 代表取締役。1970年新潟県生まれ。日本大学卒業。1992年株式会社マップインターナショナル(現・株式会社エイチアイエス)入社。95年に退職後、法人向け海外旅行を扱う株式会社ウエストシップを設立。2001年同社取締役を退任。同年、海外出張専門の旅行を扱う株式会社ハルインターナショナルを設立。10年に同社売却、同年にコンサルティング事業を展開する株式会社リカオンを設立。12年より現職。株式会社ジェッツインターナショナル 代表取締役、特定非営利活動法人ドリームヴィレッジ 理事長、公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ 理事。
※当記事はWORKSIGHTの提供記事です
WORKSIGHT