<昨日、ソウルで行われた朴槿惠大統領の即時退陣を求める100万人のデモ行進は、大統領府にもその声が届いていたという。こうしたなか、検察は一連の疑惑の真相を解き明かすべく、週明けにいよいよ朴大統領本人への聴取を行うことを決定した──>
韓国の朴槿惠大統領の友人チェ・スンシルによる一連の国政介入疑惑に対し、昨日ソウル市中心部の光化門とソウル市庁前広場一帯で朴大統領退陣を求める大規模デモが開かれ、与党セヌリ党の若手議員も含め、主催者発表で100万人の参加者が集まったとソウル経済など韓国メディアが報じた。
朴槿惠大統領の退陣を求める大規模デモ もっとも近いところは大統領府まで800メートル。朴槿惠は退陣コールを聴きながら何を思ったか?
12日のデモにはソウル市内の労働組合員をはじめ、学生、主婦など一般の市民も参加したほか、釜山、大邱、済州など地方からもチャーターバスなどで駆けつけた人びとが合流し、主催者発表で100万人、警察発表で26万人が集まった。これだけの人が参加したデモは、1987年の全斗煥政権当時に大統領の直接選挙制度を求めた民主化運動「6月民主抗争」以来となった。
100万人による大規模デモで逮捕者1名という平和行進
しかし、今回のデモでは、かつてのような混乱は見られず、逮捕者はわずか1名だけに留まった。大統領府に最も近い800メートルという位置にいたデモ隊の中には、さらに先へ進もうと警察の警備車両によじ登る者もいたが、デモ参加者側から「平和なデモを行おう」「警察も市民もけがをしないでくれ」という声があがり、警察もデモ隊を刺激しないように落ち着いた声で「申請したように整然と行進してほしい」と呼びかけた。
昨年11月にあったデモの際には、デモ参加者が警察車両をロープで移動させようとしたり、レンガや鉄パイプで窓ガラスを壊し、警察の方も放水車や催涙弾で鎮圧にかかり、デモ参加者の1人が重体(317日後に死亡)、29人が負傷、51人が連行されるという過激な闘争が繰り広げられたのとは一転して、今回のデモは平和な市民参加型のデモとなった。
これは、これまでが「成果年俸制廃止」「独裁政権打倒」といったスローガンで政府や政府の政策批判などをする労組主導のデモだったのに対し、今回は一連の疑惑を引き起こした朴大統領への怒りが市民を動かし、「박근혜퇴진(朴槿恵は退陣せよ)」と朴大統領の辞任に焦点に絞った形で行われたことが、100万人による平和なデモという奇跡を実現したと見られている。
100만 시민들의 청와대 포위 행진 [밀어서 더보기] https://t.co/UKqviYmO4H #민중총궐기 #박근혜퇴진 #박근혜하야 #내려와라박근혜 #청와대포위행진 pic.twitter.com/8l7JeikuEg— 오마이뉴스 사진부 (@OhmyNews_PHOTO) 2016年11月12日朝鮮王朝時代の王宮だった景福宮をデモ隊が包囲した。この1キロ先に朴槿惠のいる大統領府がある。
こうした市民の声に押されるように、検察が朴大統領自身から聴取する方針を固めたと、SBSが報じた。
チェ・スンシル容疑者による国政介入事件の検察側捜査責任者であるイ・ヨウンリョル特別捜査本部長は、12日午前捜査幹部を集めて、朴大統領を週明けにも聴取することに決めた。検察関係者は「チェ容疑者の国政介入の事実を最終確認するため、朴大統領からの調査が避けられない」と語った。チェ容疑者の拘留期限が20日までのため、それまでに大統領の聴取が必要となったもようだ。
朴大統領は、既に国民への謝罪談話を通じて、大統領府文書の流出を一部認めているが、チェ容疑者が関与したミール財団とKスポーツ財団の資金調達とロッテからの70億ウォンの資金供与を受けたことにも大統領が関与していたという証言が出てきているという。
検察は、朴大統領に対する聴取の日程と方法について、大統領府と調整を行うことにしており、今のところ週明けの水曜日か木曜日が有力になっている。検察関係者は「現職の大統領が犯罪容疑で検察庁舎に出向いて調査を受けるのは適切でない」と召喚に否定的な立場を表明したが、しかし、大統領退陣を求める国民世論を考慮して召喚調査が可能かどうかも検討しているという。
検察の取り調べが始まることが伝えられ、12日に大規模デモを主催した民衆総決起闘争本部は「19日にまた集まろう」と来週もデモの開催を決定した。朴大統領がこの危機的状況をどうやって乗り切るつもりか、この1週間あまりが正念場になることは間違いない。
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
韓国の朴槿惠大統領の友人チェ・スンシルによる一連の国政介入疑惑に対し、昨日ソウル市中心部の光化門とソウル市庁前広場一帯で朴大統領退陣を求める大規模デモが開かれ、与党セヌリ党の若手議員も含め、主催者発表で100万人の参加者が集まったとソウル経済など韓国メディアが報じた。
朴槿惠大統領の退陣を求める大規模デモ もっとも近いところは大統領府まで800メートル。朴槿惠は退陣コールを聴きながら何を思ったか?
12日のデモにはソウル市内の労働組合員をはじめ、学生、主婦など一般の市民も参加したほか、釜山、大邱、済州など地方からもチャーターバスなどで駆けつけた人びとが合流し、主催者発表で100万人、警察発表で26万人が集まった。これだけの人が参加したデモは、1987年の全斗煥政権当時に大統領の直接選挙制度を求めた民主化運動「6月民主抗争」以来となった。
100万人による大規模デモで逮捕者1名という平和行進
しかし、今回のデモでは、かつてのような混乱は見られず、逮捕者はわずか1名だけに留まった。大統領府に最も近い800メートルという位置にいたデモ隊の中には、さらに先へ進もうと警察の警備車両によじ登る者もいたが、デモ参加者側から「平和なデモを行おう」「警察も市民もけがをしないでくれ」という声があがり、警察もデモ隊を刺激しないように落ち着いた声で「申請したように整然と行進してほしい」と呼びかけた。
昨年11月にあったデモの際には、デモ参加者が警察車両をロープで移動させようとしたり、レンガや鉄パイプで窓ガラスを壊し、警察の方も放水車や催涙弾で鎮圧にかかり、デモ参加者の1人が重体(317日後に死亡)、29人が負傷、51人が連行されるという過激な闘争が繰り広げられたのとは一転して、今回のデモは平和な市民参加型のデモとなった。
これは、これまでが「成果年俸制廃止」「独裁政権打倒」といったスローガンで政府や政府の政策批判などをする労組主導のデモだったのに対し、今回は一連の疑惑を引き起こした朴大統領への怒りが市民を動かし、「박근혜퇴진(朴槿恵は退陣せよ)」と朴大統領の辞任に焦点に絞った形で行われたことが、100万人による平和なデモという奇跡を実現したと見られている。
100만 시민들의 청와대 포위 행진 [밀어서 더보기] https://t.co/UKqviYmO4H #민중총궐기 #박근혜퇴진 #박근혜하야 #내려와라박근혜 #청와대포위행진 pic.twitter.com/8l7JeikuEg— 오마이뉴스 사진부 (@OhmyNews_PHOTO) 2016年11月12日朝鮮王朝時代の王宮だった景福宮をデモ隊が包囲した。この1キロ先に朴槿惠のいる大統領府がある。
こうした市民の声に押されるように、検察が朴大統領自身から聴取する方針を固めたと、SBSが報じた。
チェ・スンシル容疑者による国政介入事件の検察側捜査責任者であるイ・ヨウンリョル特別捜査本部長は、12日午前捜査幹部を集めて、朴大統領を週明けにも聴取することに決めた。検察関係者は「チェ容疑者の国政介入の事実を最終確認するため、朴大統領からの調査が避けられない」と語った。チェ容疑者の拘留期限が20日までのため、それまでに大統領の聴取が必要となったもようだ。
朴大統領は、既に国民への謝罪談話を通じて、大統領府文書の流出を一部認めているが、チェ容疑者が関与したミール財団とKスポーツ財団の資金調達とロッテからの70億ウォンの資金供与を受けたことにも大統領が関与していたという証言が出てきているという。
検察は、朴大統領に対する聴取の日程と方法について、大統領府と調整を行うことにしており、今のところ週明けの水曜日か木曜日が有力になっている。検察関係者は「現職の大統領が犯罪容疑で検察庁舎に出向いて調査を受けるのは適切でない」と召喚に否定的な立場を表明したが、しかし、大統領退陣を求める国民世論を考慮して召喚調査が可能かどうかも検討しているという。
検察の取り調べが始まることが伝えられ、12日に大規模デモを主催した民衆総決起闘争本部は「19日にまた集まろう」と来週もデモの開催を決定した。朴大統領がこの危機的状況をどうやって乗り切るつもりか、この1週間あまりが正念場になることは間違いない。
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部