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主食以外の自分流サプリメントを、毎日必ず食べる

ニューズウィーク日本版 2016年11月20日 8時30分

<最も体にいいのは「昭和の食生活」。しかも、安くて美味く、調理も簡単だ。和食を知り尽くした食文化史研究家の永山久夫氏(85歳)が、自らの若く貧しい時代を支えた「食の知恵」を初公開。サプリメントは自分流でいいという>

 東北大学大学院農学研究科の都筑穀准教授の研究によると、昭和50(1975)年ごろ、日本の一般家庭で採られていた食事が最も健康的だという。あらゆる種類のダイエット法が登場しては消えていく中で、この研究は話題となった。「やはり和食が一番」という通説を裏付けるものでもあった。

 そんな「昭和の食生活」を自ら実践してきたのが、食文化史研究家の永山久夫氏だ。昭和7(1932)年、福島県生まれ。漫画家を目指して上京し、結婚、一児を授かるが、妻が病死。以来、貧乏暮らしをしながら仕事と子育てを続けた。昭和50年に『納豆沿革史』を上梓した永山氏は、以後、食文化史研究家として活躍するようになる。

 現在85歳、和食を知り尽くした永山氏が、自らの貧しかった時代を支えた「食の知恵」を初公開したのが新刊『ひと月1万円!体にやさしい 昭和のシンプル食生活』だ。当時の食生活を振り返るエッセイを織り交ぜながら、基本食材と121のレシピを紹介している。

 ここでは本書から一部を抜粋し、5回に分けて掲載する。第5回は「3章 安い、かんたん、体にいい! 永山流食生活のルール」より。


『ひと月1万円!体にやさしい
 昭和のシンプル食生活』
 永山久夫 著
 CCCメディアハウス


※シリーズ第1回:ご飯を最後に食べる「会席料理式ダイエット」のすすめ
※シリーズ第2回:高野豆腐......凍り豆腐(高野豆腐)は植物性タンパク質の王様
※シリーズ第3回:1日おきに魚と肉......栄養のかたよりを防ぐ永山流食事法
※シリーズ第4回:甘酒......心の傷まで治してくれる、飲む点滴・甘酒

◇ ◇ ◇

②主食以外の自分流サプリメントを、毎日必ず食べる

 食事はご飯やめん類、パンなどの主食と、副菜のおかずから成り立っています。白いご飯が大好きで3食食べる人もいれば、肉系が好みで、肉でお腹をパンパンにして、ご飯はあまり食べない人もいる。人はさまざまです。

 健康の基本は、毎日しっかり主食とおかずを食べること。これに尽きるといっていいでしょう。しかし、健康で暮らすために、この主食以外に、さらに自分流のサプリメントを考案して欲しいのです。なぜなら、ほとんどの人は、どうしても自分が好きなものばかり食べがちで、理想的な食事をしている人は少ないからです。

 そこで、かたよった食事、貧しい食事を補うためにも、毎日の食事以外に自分流のサプリメントを考案しましょう。それが優れていれば、高価な食品など食べなくても、十分健康で、医者知らずでニコニコと過ごせるからです。

 私の経験からおすすめの、特に効果のあった"サプリメント食"は、生姜とニンニク。この二つが、今も85歳の私を支えてくれています。

 生姜は万能のサプリメントといってよく、実に役に立ちます。主に香辛料や薬味として用いられますが、辛みの主成分はジンゲロールやショウガオール。どちらにも強い殺菌作用や内臓機能の向上、食欲の増進、さらには発汗作用や血行を促進するなどの働きがあります。生姜といえば、なじみ深いのが寿司屋のガリですが、あれは生姜の甘酢漬け。



 一番知られている効用は発汗作用。体がポッカポカしてきて、冬でも汗が出てきますが、この発汗作用がいいのです。生姜は漢方薬の世界でも重視されている薬草です。

 私の場合は、毎日飲む「甘酒」に入れるだけでなく、あらゆる料理に加えています。千切りやすりおろしなど、生姜は永山家にとってなくてはならない健康増進サプリメント。今では料理に生姜が入っていないと、何か物足りません。冬の寒さによる手足の冷え、夏バテからくる食欲低下などに、テキメンの効果があります。

 そしてニンニク。とにかく、古くから世界で愛用されてきたこの植物は、「夢の、生涯現役パワー」を与えてくれる、ビンボー人必食のサプリメント。古代からその強力なパワーは知られていて、寺では「葷酒(くんしゅ)山門に入るを許さず」と持ち込み禁止。さらに吸血鬼ドラキュラでさえニンニクを恐れました。

 ヨーロッパでは、俗に「貧乏人の万能薬」と呼ばれたそうですが、ビンボー人だろうと金持ちだろうと、ニンニクは利用する人すべてに、そのすばらしい福音を与えてくれます。

 19世紀初頭、ロンドンで伝染病が流行したとき、「ニンニクを欠かさず食べ続けていたフランス人牧師だけが疫病にかからなかった」というエピソードも残っています。

 健康長寿の基本が、「自然治癒力」にあることはいうまでもありません。病気にならないから長寿だし、病気になっても初期の段階で治ってしまうから、長生きできるのです。まずは、病気にたいする強い免疫力と、強靭な体力・生命力をつけてください。

 ニンニクの強い辛さと臭気の素はアリシンで、強力な殺菌力に加えて、気力の回復に役立つビタミンB1の作用を5倍にも、6倍にも高める力があります。最近はガン予防の食べ物として注目されていますね。

 かんたんに食べるには、ニンニクの醬油漬けがいいでしょう。薄くスライスしたニンニクを数時間醬油に漬けておくと、手軽にニンニク漬けのでき上がり。そのまま食べてもいいし、野菜炒めやチャーハン、オムレツ、あるいは、細かく切ってみそ汁、ラーメン、うどんなど、何に入れても結構です。とにかく、どんな料理にでも利用可能なのです。

 さらに、生のニンニクをすりおろしたり、刻んで料理に加える。これを毎日続けていると、いつの間にか精力がつき、風邪にもかからなくなるからニンニクのパワーは偉大です。

 大事なことは、安易に高価な市販のサプリメントを買うのではなく、自分なりに探し、工夫して考案し、毎日必ず食べることです。そして重要なのは、①食べる時間、②食べる量、を決めて守ること。これをせずに、気まぐれに食べても効果は出ません。



 ここでは、生姜とニンニクをご紹介しましたが、他にも黒ごま、黒砂糖、クコの実、松の実、ナッツ類、オリーブオイル、ヨーグルト、梅干し、豆乳、甘酒、きな粉、塩麴、あるいはフルーツ類など、探せばたくさん見つかるでしょう。

「俺はハブ酒を飲んでいる」「私は毎日、手作りの野菜ジュースを飲んでいる」「必ず毎日大根おろしを食べている」「手作りのごぼう茶を飲んでいる」でもいいのです。105歳で有名な日野原重明医師は、大腸ガン予防のために、毎日オリーブオイルを大さじ1杯飲んでいると聞きました。

 古来から、滋養強壮のサプリメントとして愛されてきた食材が数多くあります。それらを財布と相談しながら組み合わせ、体に取り入れ続けるのです。


『ひと月1万円!体にやさしい
 昭和のシンプル食生活』
 永山久夫 著
 CCCメディアハウス




ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

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