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【動画】イスラエル発の「空飛ぶロボットタクシー」、初の自律飛行に成功

ニューズウィーク日本版 2016年11月22日 16時45分

 イスラエルの企業が、自律飛行機能を備えた垂直離着陸(VTOL)機の本格的な飛行テストに成功した。ヘリコプターに比べて狭いスペースで離着陸でき、将来的には山間部の戦場などに物資を輸送したり、負傷兵を乗せて帰ったりする軍事利用も想定しているという。

500kg超の物資や人員を輸送でき、最大速度は時速180km

 開発元のアーバン・エアロノーティクス社が今月14日に発表し、ポピュラー・サイエンスなどが報じている。同社はこのVTOL機を、9年前に構想を発表したときには「エア・ミュール」と呼んでいたが、今回「コーモラント(Cormorant:鵜の意)」と名称変更した。

 資料によると、コーモラントの全長は6.2メートル。幅2.15メートルの胴体の下部に揚力を生むローター(回転翼)を2基備える。後部には前方への推進力を生む小型のローター2基を搭載。後部ローターを含めた幅は3.51メートル、車輪を含む全高は2.3メートルだ。

 機体重量は918kgで、500kg超の物資や人員を輸送できる。最大速度は時速180kmで、たとえばペイロードが300kgの場合、400kmの距離を2.6時間で飛行できるという。

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センサー群を活用する自律飛行

 コーモラントは、複数のレーザー高度計、慣性センサー、電子光学ペイロードカメラといったセンサー群からのデータがフライトコントロールシステム(FCS)に送られ、自律飛行を制御する。FCSによる決定は、フライトマネジメントシステム(FMS)によってチェックされ、飛行経路のずれなどがないかが確認される。

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 動画では、滑走路を離陸したコーモラントが、左に大きく旋回した後に滑走路上空に戻り、多少ふらつきながら着陸するまでの約2分間の飛行が確認できる。報道資料の説明によると、着陸前の揺れは、レーザー高度計が高度を読み誤り、着陸の操作に早く入りすぎたために起きたとしている。



将来想定される軍事用途

 アーバン社は、将来想定される軍事用途を説明するCG動画も公開している。この動画では、戦闘が続く山間部の狭い平地に、物資を搭載した自律飛行のVTOL機が着陸し、負傷兵を乗せて飛び立つ様子が描かれる。




 ポピュラー・サイエンスは、自律型航空機で回転翼を本体下部に搭載するコンパクトな設計はユニークだが、飛行時の機体制御が難しいと指摘。それでも、アーバン社がこの課題を解決すれば、ロボット輸送機が都市部のビル群の間をぬって飛行したり、戦場でパイロットを危険にさらすことなくホバリングしたりといったことが実現するだろうとコメントしている。


高森郁哉

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