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クリントン陣営、激戦州3州で票の再集計に参加

ニューズウィーク日本版 2016年11月28日 16時49分

<ハッキングなど外からの不正工作はなかったことを確認済みだったクリントン陣営だが、票の数え直しには改めて参加を表明。もっとも、激戦州で選挙人を奪い返すのは厳しい>

 米大統領選で民主党候補だったヒラリー・クリントンン陣営は、選挙に不正行為は見つからなかったと認めたうえで、ウィスコンシン州を含めた激戦州3州で票の再集計を支持する方針を固めた。

 クリントン陣営の顧問マーク・エリアスが、オンラインメディア「ミディアム」に寄稿。ドナルド・トランプ次期大統領が制したウィスコンシン州、ペンシルベニア州、ミシガン州の3つの激戦州について、第3党「緑の党」の大統領候補だったジル・スタインが求めている票の再集計に、クリントン陣営も参加する義務があると述べた。ウィスコンシン州では25日に緑の党の要請が受理されたが、残る2州でも同様に再集計の実施に持ち込むには期限が迫っている。ペンシルベニア州は28日、ミシガン州は30日がタイムリミットだ。

不正はなかったが

「選挙に不正行為があったとする様々な主張を調査するため、時間や労力を費やしてくれたすべての人々に感謝している」とエリアスは書いた。「我々はそうした努力を通じて不正はなかったと考えている。だが実際に再集計が行なわれることになった今、ヒラリー・クリントンに投票した6400万人超のアメリカ人のためにも、正当な集計結果が確実に公表されるよう、我々には一連の再集計に参加する義務がある」

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 フロリダ州パームビーチのゴルフリゾート「マー・ア・ラゴ」で週末を過ごしていたトランプは声明を発表し、再集計は「詐欺」だと一蹴した。

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 クリントンは一般投票でトランプを200万票近く上回ったが、トランプが大統領選の勝利に必要な270人の選挙人を超える290人を獲得したのに対し、クリントンは232人しか獲得できず敗北した。クリントンは一般投票の総得票数でトランプを上回ったとはいえ、再集計により3つの激戦州すべてで結果が覆り、クリントンが選挙人を奪い返す可能性は極めて低い。ウィスコンシン州では2万7000票差、ミシガン州では1万1000票差、ペンシルベニア州では7万票差でクリントンが負けている。エリアスは再集計がクリントンを逆転勝利に導くチャンスはほとんどないと認めつつ、次のように書いた。「各州で選挙結果が覆る可能性があるかどうかに関わらず、再集計の手続きを監視するためには、法廷手続きや再集計の現場において、我々の陣営が法的な代理人を立てることが重要になってくる」



 エリアスはクリントン陣営が「選挙結果がハッキングに遭った可能性を示す異常を見つけ出すため、弁護士やデータ科学者やアナリストらに綿密に調査させた」うえで、「報告されたあらゆる理論を可能な限り、体系的に分類して捜査するよう試みた」が、不正な選挙結果を示唆する証拠は何も見つからなかったと述べた。

「ハッキング被害や投票システムの操作を狙った外部からの不正行為は見つからなかったため、当初は再集計を要求する計画はなかった」とエリアスは書いた。「ウィスコンシン州で再集計が始まった今、我々は選挙手続きがすべての当事者にとって公平な手順で行われることを確認するため、再集計に参加する意向だ。もしジル・スタインが公言した手順に則り、今後ペンシルベニア州とミシガン州でも再集計を求めるなら、我々の陣営もそれら2州で同様の対応を取ることになる」

動機は売名?

 トランプは声明のなかで、ウィスコンシン州でステインが再集計を求める背景には、別の動機があるからだと批判した。

「この再集計は、大統領選で1%以下の得票数しか得られず、そもそも多くの州で候補者名簿に名前すら掲載されなかったジル・スタインが、自分の資金集めのために仕掛けたものだ」

「再集計はすでに敗北宣言がなされた選挙に対する、緑の党の詐欺だ。選挙結果は尊重されるべきで、異議申し立てや侮辱を受けるものではないのに、ジル・スタインがやっているのはまさにそういうことだ」とトランプは述べた。

 再集計へ参加する意向を固めたクリントン陣営の決定についても、トランプはツイッターに「悲しい」と投稿。「どんなにカネと時間をかけても、結果は同じだ」と牽制した。


ニコラス・ロフレド

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