<これまでの超音波画像よりはるかにリアルな胎児の画像が見られる。この新技術が新生児の命を救うとの期待もある>
出産を控えたカップルから自慢げに「わが子」の写真を見せられた経験がある人は多いはず。しかし、おなかの中の胎児を映し出す超音波画像はどうにもパッとせず、親戚や友人がどういう顔をすればいいか困惑することも多い。
もっとリアルで「かわいい」画像が見たい――そんな願いが近い将来、現実になるかもしれない。
ブラジル・リオデジャネイロの病院「クリニーカ・ジ・ジアグノスティコ・ポール・イマジェム」の研究チームは、MRIと超音波を使い、胎児とへその緒と胎盤の正確な3Dモデルを作ることに成功した。バーチャル・リアリティー(VR)用のヘッドセット「オキュラス・リフト2」を装着すると、VRで子宮の中の胎児の様子を見ることができる。
これが普及すれば、おなかの中の赤ちゃんがパパに似ているかママに似ているかといった会話が弾むかもしれない。ただし、恩恵はそれだけではない。妊娠初期の段階から胎児の形態異常を見つけられることも期待されている。
【参考記事】「より多く女性を生かしておく」ように進化したウイルス。その理由は?
「親たちに新しい経験を提供できることに加えて、いくつかの病理上の問題について専門分野を超えた議論をする上でも役立つ」と、胎児医学の専門家でこの研究のリーダーでもあるエロン・ウェルネル医師は言う。
例えば、胎児の気道が何らかの理由で塞がれていて命が脅かされる危険があっても、早い段階で察知できる。将来、テクノロジーがさらに進歩すれば、重要な臓器の3D画像もVRで見られるようになる見込みだという。ウェルネルは先月、北米放射線学会の年次総会でこれからの成果を発表した。
ウェルネルはこれまでに、この新技術を使って胎児10人の3Dモデルを作成してきた。それをチェックすることにより、先天性の異常が見つかった赤ちゃんもいた。
3Dモデルによって医師は母親のおなかの中の赤ちゃんをモニタリングし、顔面や口の異常など呼吸を妨げる要因がないかを前もって確認できるようになると、小児放射線学会の胎児画像委員長を務めるベス・M・クラインファスは言う。「事前に準備しておくことで、分娩時にすぐに気道にチューブを挿入できる」
この新しいテクノロジーは、パパとママを楽しませ、超音波写真を見せられて反応に困っていた親戚や友人たちを救うだけではない。新生児の命も救える可能性があるのだ。
[2016.12.27号掲載]
ジェシカ・ファーガー(ヘルス担当)
出産を控えたカップルから自慢げに「わが子」の写真を見せられた経験がある人は多いはず。しかし、おなかの中の胎児を映し出す超音波画像はどうにもパッとせず、親戚や友人がどういう顔をすればいいか困惑することも多い。
もっとリアルで「かわいい」画像が見たい――そんな願いが近い将来、現実になるかもしれない。
ブラジル・リオデジャネイロの病院「クリニーカ・ジ・ジアグノスティコ・ポール・イマジェム」の研究チームは、MRIと超音波を使い、胎児とへその緒と胎盤の正確な3Dモデルを作ることに成功した。バーチャル・リアリティー(VR)用のヘッドセット「オキュラス・リフト2」を装着すると、VRで子宮の中の胎児の様子を見ることができる。
これが普及すれば、おなかの中の赤ちゃんがパパに似ているかママに似ているかといった会話が弾むかもしれない。ただし、恩恵はそれだけではない。妊娠初期の段階から胎児の形態異常を見つけられることも期待されている。
【参考記事】「より多く女性を生かしておく」ように進化したウイルス。その理由は?
「親たちに新しい経験を提供できることに加えて、いくつかの病理上の問題について専門分野を超えた議論をする上でも役立つ」と、胎児医学の専門家でこの研究のリーダーでもあるエロン・ウェルネル医師は言う。
例えば、胎児の気道が何らかの理由で塞がれていて命が脅かされる危険があっても、早い段階で察知できる。将来、テクノロジーがさらに進歩すれば、重要な臓器の3D画像もVRで見られるようになる見込みだという。ウェルネルは先月、北米放射線学会の年次総会でこれからの成果を発表した。
ウェルネルはこれまでに、この新技術を使って胎児10人の3Dモデルを作成してきた。それをチェックすることにより、先天性の異常が見つかった赤ちゃんもいた。
3Dモデルによって医師は母親のおなかの中の赤ちゃんをモニタリングし、顔面や口の異常など呼吸を妨げる要因がないかを前もって確認できるようになると、小児放射線学会の胎児画像委員長を務めるベス・M・クラインファスは言う。「事前に準備しておくことで、分娩時にすぐに気道にチューブを挿入できる」
この新しいテクノロジーは、パパとママを楽しませ、超音波写真を見せられて反応に困っていた親戚や友人たちを救うだけではない。新生児の命も救える可能性があるのだ。
[2016.12.27号掲載]
ジェシカ・ファーガー(ヘルス担当)