<トランプ米政権のマティス国防長官が2日に韓国、3日に日本を訪問する。思い出されるのは、8年前のオバマの外遊だ>
8年前、就任間もないオバマ前米大統領が行った2度の外遊は、一部で「謝罪ツアー」と揶揄された。実際、オバマの各国訪問は、前任者のジョージ・W・ブッシュ大統領との違いを印象付けると同時に、アメリカが同盟国や世界の国々を軽んじたり、ばかにしたりしないと安心させることを目的にしていた。
今週のマティス国防長官の日韓歴訪は、オバマの謝罪ツアーを思い出させる。国防長官が新政権発足早々に両国を訪れる目的は、「両国との不朽の同盟に対するアメリカのコミットメントを再確認し、3カ国の安全保障上の協力を一層強化する」こととされている。端的に言えば、トランプ大統領の選挙戦での発言を「謝罪」するのが狙いだ。
トランプは選挙戦中、日本と韓国に自主防衛と核武装を促すような発言をした。アメリカとの強固な同盟を通じて北朝鮮や中国の脅威に対処したい両国は、これを快く思わなかった。
このトランプ発言を放置すれば、由々しき結果を招く恐れがある。アメリカが日韓との連携を弱めた状況で地域情勢が緊迫すれば、両国で核武装論が高まっても不思議はない。そうなれば、ただでさえ緊張を増している地域が一触即発になる。つまり、日韓を核武装に向かわせないために新政権が同盟堅持を約束することは、アメリカの安全保障上の国益と世界の秩序を守ることにつながる。
そこでマティスは、アジアへ旅立った。トランプの選挙戦での発言と「アメリカ第一主義」の主張を微修正し、重要閣僚が今も両国との関係を重視していることをアピールしなくてはならない。トランプがTPP(環太平洋経済連携協定)を実質的に葬り去った今、その必要性はさらに強まっている。
今週、マティスの肩にかかっている責任は重い。
【参考記事】次期米国防長官の異名を「狂犬」にした日本メディアの誤訳
From thediplomat.com
アレックス・ウォード(ブレント・スコウクロフト国際安全保障センター副所長)
8年前、就任間もないオバマ前米大統領が行った2度の外遊は、一部で「謝罪ツアー」と揶揄された。実際、オバマの各国訪問は、前任者のジョージ・W・ブッシュ大統領との違いを印象付けると同時に、アメリカが同盟国や世界の国々を軽んじたり、ばかにしたりしないと安心させることを目的にしていた。
今週のマティス国防長官の日韓歴訪は、オバマの謝罪ツアーを思い出させる。国防長官が新政権発足早々に両国を訪れる目的は、「両国との不朽の同盟に対するアメリカのコミットメントを再確認し、3カ国の安全保障上の協力を一層強化する」こととされている。端的に言えば、トランプ大統領の選挙戦での発言を「謝罪」するのが狙いだ。
トランプは選挙戦中、日本と韓国に自主防衛と核武装を促すような発言をした。アメリカとの強固な同盟を通じて北朝鮮や中国の脅威に対処したい両国は、これを快く思わなかった。
このトランプ発言を放置すれば、由々しき結果を招く恐れがある。アメリカが日韓との連携を弱めた状況で地域情勢が緊迫すれば、両国で核武装論が高まっても不思議はない。そうなれば、ただでさえ緊張を増している地域が一触即発になる。つまり、日韓を核武装に向かわせないために新政権が同盟堅持を約束することは、アメリカの安全保障上の国益と世界の秩序を守ることにつながる。
そこでマティスは、アジアへ旅立った。トランプの選挙戦での発言と「アメリカ第一主義」の主張を微修正し、重要閣僚が今も両国との関係を重視していることをアピールしなくてはならない。トランプがTPP(環太平洋経済連携協定)を実質的に葬り去った今、その必要性はさらに強まっている。
今週、マティスの肩にかかっている責任は重い。
【参考記事】次期米国防長官の異名を「狂犬」にした日本メディアの誤訳
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アレックス・ウォード(ブレント・スコウクロフト国際安全保障センター副所長)