<昨年11月から鳥インフルエンザの猛威に見舞われた韓国で、5日口蹄疫が発生した。鳥インフルエンザでは初動の遅れが史上最大の感染数につながったため、韓国政府は全国全ての畜産農家に対し30時間の移動停止を決定。この決定が感染拡大を防げればいいのだが......>
韓国中央部の忠清北道の農場で5日、結成型O型の口蹄疫感染が確認され、さらに100キロ以上離れた全羅北道でも口蹄疫感染の疑いが申請された。韓国の聯合ニュースによると、韓国農林畜産食品部は即座に忠清北道の感染が発生した農場の乳牛195頭を殺処分し、半径3キロ以内で口蹄疫に感染する恐れのある家畜を飼育する酪農家99軒1万頭に以降制限を出した。また口蹄疫感染の疑いが出ている全羅北道も含めて、牛・豚など生きているすべての偶蹄類の家畜の搬出が7日間禁止された。
鳥インフルに苦しむ韓国、今度は口蹄疫が発生 (c) YTN / Youtube
さらに農林畜産食品部は今日午後6時から8日0時まで30時間、韓国国内すべての牛・豚などの移動を停止する命令を下した。対象となるのは全国の畜産農家、屠畜場、飼料工場、畜産車両など22万か所にのぼるという。酪農家の移動はもちろん、畜産に関係する車両は移動を取りやめ、洗浄と消毒をしなければならない。これまでにも韓国では口蹄疫の発生はあったが、全国規模で移動停止命令が出されるのは史上初めてのことだ。
農林畜産食品部はこれまでの経験から口蹄疫が全国的に広がる可能性は低いと見ているが、それでも今回こうした全国規模の移動停止措置をとったのは、忠清北道と全羅北道という100キロ以上離れたところで同時期に発生したためと、昨年末から続く鳥インフルエンザの苦い経験がある。
韓国メディアのヘラルド経済によると、韓国全土を襲った鳥インフルエンザの影響で、卵の価格は30個入りパック平均5000ウォン(約495円)だったものが、9000ウォン(890円)にまで跳ね上がった。鳥インフルエンザによる殺処分のために韓国全土で鶏卵用の鶏が30%以上減ってしまったが、それによる品薄以上に便乗値上げによって価格が暴騰したという。現在、韓国では食品用粉末鶏卵に加えて、食用の鶏卵も海外からの緊急輸入が行われているが、牛乳に関しては冷蔵する必要があることなどコスト面から海外からの輸入は難しいというのが業界関係者の見方だ。
195頭の牛が殺処分となった忠清北道の防疫当局は、いくつかの農家でワクチン接種が適切に行われていなかった可能性があるとみて、口蹄疫が発生した農場のあるエリアを中心に繁殖農家1037軒(57,000頭)を対象にワクチン接種を実施しており、さらに鳥インフルエンザのための拠点消毒施設28か所を口蹄疫の消毒もできるように切り替えた。
昨年11月に鳥インフルエンザの感染が確認され始めた頃は、ちょうどパク・クネ大統領を取り巻く一連の疑惑騒動で影響で初期対応が遅れ、一気に感染が広がったという苦い経験をもつ韓国政府。それだけに今回は口蹄疫が確認されて2日目で全国規模の迅速な対応を見せた。これで感染の拡大が抑えられるかどうか、今後の展開が注目される。
※内容を追加しました。
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
韓国中央部の忠清北道の農場で5日、結成型O型の口蹄疫感染が確認され、さらに100キロ以上離れた全羅北道でも口蹄疫感染の疑いが申請された。韓国の聯合ニュースによると、韓国農林畜産食品部は即座に忠清北道の感染が発生した農場の乳牛195頭を殺処分し、半径3キロ以内で口蹄疫に感染する恐れのある家畜を飼育する酪農家99軒1万頭に以降制限を出した。また口蹄疫感染の疑いが出ている全羅北道も含めて、牛・豚など生きているすべての偶蹄類の家畜の搬出が7日間禁止された。
鳥インフルに苦しむ韓国、今度は口蹄疫が発生 (c) YTN / Youtube
さらに農林畜産食品部は今日午後6時から8日0時まで30時間、韓国国内すべての牛・豚などの移動を停止する命令を下した。対象となるのは全国の畜産農家、屠畜場、飼料工場、畜産車両など22万か所にのぼるという。酪農家の移動はもちろん、畜産に関係する車両は移動を取りやめ、洗浄と消毒をしなければならない。これまでにも韓国では口蹄疫の発生はあったが、全国規模で移動停止命令が出されるのは史上初めてのことだ。
農林畜産食品部はこれまでの経験から口蹄疫が全国的に広がる可能性は低いと見ているが、それでも今回こうした全国規模の移動停止措置をとったのは、忠清北道と全羅北道という100キロ以上離れたところで同時期に発生したためと、昨年末から続く鳥インフルエンザの苦い経験がある。
韓国メディアのヘラルド経済によると、韓国全土を襲った鳥インフルエンザの影響で、卵の価格は30個入りパック平均5000ウォン(約495円)だったものが、9000ウォン(890円)にまで跳ね上がった。鳥インフルエンザによる殺処分のために韓国全土で鶏卵用の鶏が30%以上減ってしまったが、それによる品薄以上に便乗値上げによって価格が暴騰したという。現在、韓国では食品用粉末鶏卵に加えて、食用の鶏卵も海外からの緊急輸入が行われているが、牛乳に関しては冷蔵する必要があることなどコスト面から海外からの輸入は難しいというのが業界関係者の見方だ。
195頭の牛が殺処分となった忠清北道の防疫当局は、いくつかの農家でワクチン接種が適切に行われていなかった可能性があるとみて、口蹄疫が発生した農場のあるエリアを中心に繁殖農家1037軒(57,000頭)を対象にワクチン接種を実施しており、さらに鳥インフルエンザのための拠点消毒施設28か所を口蹄疫の消毒もできるように切り替えた。
昨年11月に鳥インフルエンザの感染が確認され始めた頃は、ちょうどパク・クネ大統領を取り巻く一連の疑惑騒動で影響で初期対応が遅れ、一気に感染が広がったという苦い経験をもつ韓国政府。それだけに今回は口蹄疫が確認されて2日目で全国規模の迅速な対応を見せた。これで感染の拡大が抑えられるかどうか、今後の展開が注目される。
※内容を追加しました。
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部