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早稲田大学ビジネススクールの魅力は、多様性の中でグローバルな経験を積める環境

ニューズウィーク日本版 2017年2月20日 14時0分

<国内ビジネススクールでトップクラスの人気を誇る早稲田大学ビジネススクールは、学生のレベルの高さと、英語でも専門知識を学べるグローバルな環境で差別化を図る>

増え続ける国内ビジネススクールの中でも、トップクラスの人気を誇る早稲田大学ビジネススクール(Waseda Business School=WBS)。多様なニーズに対応してグローバルな人材を育成する、新時代のビジネススクールの魅力に迫った。

選抜された学生の質の高さが最大の強み

平日の昼間を中心に2年間学ぶ「全日制グローバル」や、1年間の短期間で集中して学ぶ「1年制総合(全日制)」など、合計8つのプログラムを持つWBS。このうち3つは英語で履修するプログラムで、グローバルな人材を育成するニーズにも対応している。

ビジネスパーソンの志願者が最も多いのが、働きながら平日の夜間と土曜に通うことができる「夜間主総合」。1年目はMBAに関わる幅広い分野から好きな科目を選び、2年目に専門分野をゼミで学ぶ2年制プログラムだ。ジェネラルマネジメントについて学びつつ、自身の得意領域を構築することができる。

WBSと言えば、昨年春に「商学研究科ビジネス専攻」と「ファイナンス研究科」という大学院が統合し、「経営管理研究科」として新たにスタートしたことが記憶に新しい。これによって、経営分野だけでなくファイナンス(企業財務・金融)分野の科目を履修することができるようになり、経営を総合的に学びたい人にとってはより魅力的なプログラムとなった。

これに対して、社会での実務経験からすでに専門分野を持ち、さらに専門知識を深めていきたい人に向けたのが「夜間主プロフェッショナル」。「マネジメント専修」と「ファイナンス専修」に分かれ、前者は戦略や経営、起業などを、後者は企業の財務を専門的に学びたい人のために設けられている。2年間にわたってゼミで学ぶため、専門分野を極められるのが特徴だ。3つの夜間プログラムの募集定員は計140名で、多数の学生が通う規模の大きさも特徴の一つだ。

外国人留学生とのディスカッションで多様性を身に付けることもできる(写真提供:WBS)

【参考記事】MBAのトレンドは海外留学から国内ビジネススクールへ

そしてWBSの最大の強みは学生の「質」と言われている。「これまでの夜間主総合の倍率は2.5~3倍で、この数字は国内のビジネススクールではトップクラス。多数の志願者から学ぶ意志やMBA取得後のビジョンが明確な人を選抜するので、自ずと学生の質は高くなる。」と、入試・広報担当の岸雄太氏は説明する。国内外を問わず、ビジネススクールへ通う目的のひとつは、学生同士のネットワークづくりで、クラスの学生のレベルが高いほど学生の満足度も高まる。

約40人在籍する教員について、岸氏はバランスの取れた布陣になっていることを強調する。「実務家出身の教員と学究肌の教員とのバランスが考慮されている。トップレベルの実務家がそろっているのは強みですが、一方で学術として経営を理論的に勉強したいという学生も多いので、経営学会などで活躍されている教員の層にも厚みを持たせている。もちろん、両方のことを熟知している教員も多数いて、さまざまな視点からの意見や考え方に触れられることは、学生にとっても有益だ。」



多様性を体得できる様々な取り組み

では早稲田大学ビジネススクールの修了後は、どのようなキャリアビジョンが考えられるのだろうか。「MBAを取り巻く日本の状況はアメリカとは異なり、MBAを取得したからといってすぐに給料が跳ね上がるというわけではありません。WBSで実務に直結する力を身に付け、卒業後、所属企業でキャリアアップを実現する人が多い。」と岸氏が話すように、多くの人は現在勤務している企業でキャリアを積み重ねていく。

しかし、中にはWBSとシンガポールのトップ校であるナンヤンビジネススクールの両校のMBAを取得できる「早稲田‐ナンヤン ダブル MBA プログラム」を修了し、転職したIT企業で世界中を飛び回るという華麗なキャリアチェンジを実現した人もいる。

日本のビジネススクールの弱みとされる多様性に関しても、様々な取り組みが行われている。例えば、日本の社会人が多い夜間プログラムの学生と、留学生が7割を占める昼間プログラムの学生の両方が履修できる日英科目というものがある。これは日本語と英語の両方で授業が行われ、土曜日にも設置されている。

留学生といっても、中国やタイ、シンガポールといった母国での実務経験が2~3年以上ある人がメインなので、多様性に富んだ環境の中でディスカッションなどを経験することができる。

実務と学問のバランスが配慮された教員構成への評価も高い(写真提供:WBS)

【参考記事】「使えるファイナンス」をもつ人材が日本に足りない

このほか、海外集中授業では、世界各国の都市で1週間程度の短期集中型の授業を開講。夜間プログラムの学生が参加しやすいように、まとまった休暇が取りやすい夏期などに実施されている。また最近では、夜間プログラムの学生でも、提携先の海外のビジネススクールへ積極的に留学するケースが増えている。

交換留学という形を取るため、留学先大学に新たに授業料を払う必要はなく(渡航費や滞在費などは別途必要)、WBSへ学費を納めることでフランスのリヨン経営大学院やアメリカのUCLA経営大学院といった名門校で学ぶことができる。

もちろん、こうした取り組みは学生のネットワークにも反映される。「早稲田大学は留学生が多く、実はWBSの英語の科目以外に、早稲田大学の英語の科目も履修することができる。夜間のプログラムであっても、本当の意味での多様性に触れ、グローバルな視点を身につけられる環境が整っている。」と、岸氏は話す。国内のビジネススクールではグローバルな人材を育成しにくいという指摘もあるが、WBSは独自の取り組みによってそうしたニーズに応えている。

ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

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