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3秒ルールは「アリ」、食べ物によっては30分放置もOK

ニューズウィーク日本版 2017年3月22日 16時0分

食べ物を床に落として「3秒以内に拾えば食べても大丈夫!」という「3秒ルール」を適用したこと、ないだろうか? 食べ物を床に落として果たしてどれだけのバクテリアが食べ物に付くかを真面目に調べた科学者が、「3秒ルールはアリ」と結論付けた。

87%の人が床に落ちた食べ物を食べた経験あり

なんの根拠があるのか分からないこの「3秒ルール」、秒数の違いはあれど、実は世界各地に似たようなルールが存在する。英語圏では「5秒ルール」が一般的だ。

デイリー・メールが報じた、英国バーミンガムにあるアストン大学のアントニー・ヒルトン教授が500人を対象に行なった調査によると、87%の人が床に落ちた食べ物を食べたことがあると答えた。また、5秒ルールを適用しているのは女性の方が多いということが分かった。

ヒルトン教授はこの5秒ルールの有効性を科学的に検証しようと、さまざまな種類の床にさまざまな種類の食べ物を落として実験。その結果を、バーミンガムで若者向けに行われた科学、技術、工学、数学のイベント「ザ・ビッグ・バン・フェア」で発表した。

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柔らかい食べ物は急いで拾おう

インディペンデントが伝えたヒルトン教授の説明によると、床の表面素材、落とした食べ物の種類、食べ物が床に落ちていた時間が、食べ物にどれだけバクテリアが移るかに影響することが分かったという。

ヒルトン教授は、「目に見えて埃にまみれてしまったら食べるべきではないが、明らかにバイ菌に汚染されていなければ、室内の床に数秒落ちたくらいでは、食べ物に有害なバクテリアが付く可能性は低いということが科学で示された」とインディペンデントに語った。

また、BBCのラジオ番組に出演したヒルトン教授は、1000万個のバクテリアの中に、トーストを落とした実験について説明。床から3秒で拾い上げた時は25〜30個のバクテリアが付いたが、30秒で拾い上げても、それ以上のバクテリアが付くことはなかったという。

ただし、だからと言って何でもそうであるわけではなく、調理済みのパスタを落とした場合、トーストと比べ10倍のバクテリアが付いた。これはパスタの粘性が原因で、30秒後に拾った場合はバクテリアの数はさらに10倍になっており、柔らかい食べ物の場合、床に放置された時間が長ければ長い方がバクテリアの数も増えたという。

また床の種類では、バクテリアが移る可能性が1番低いのはカーペットで、ラミネート加工された床やタイルの方が、リスクが大きかった。



食べ物によっては30分も!?

一方前述のデイリー・メールは、ビスケットやトーストなど表面が硬い食べ物であれば、30分は放置しても大丈夫だという調査結果を紹介している。

ヒルトン教授は、バーミンガム在住の40組の家族や生徒の自宅で台所、ダイニングルーム、居間の床のバクテリアをそれぞれ調査。学生の床の方が汚れてはいたものの、有害なバクテリアはあまり見つからなかったという。

この調査をもとに、デイリー・メールは「5秒ルールを適用した方がいいもの」と「30分床に放置しても大丈夫なもの」を掲載した。教授によると、乾燥している食べ物や硬い食べ物は、時間が経っても汚染されるリスクは低い。しかし一方で、より粘性が高く水分のある食べ物は、5秒ルールを適用した方がいいとのことだ。

例えば、「5秒以内に拾うべき食べ物」は、グミなどのベタベタしたアメ、調理済みパスタ、フライドポテト、ドーナツ、バターを塗った面を下にして落ちたトーストなど。一方で「30分放置しても大丈夫な食べ物」は、サンドイッチ、ポテトチップス、トースト(何も塗っていないもの)、ビスケット、チョコレートとなっている。

教授は、大部分のばい菌は、ブドウ球菌のように人間の肌から付く場合の方が多く、「家の床に落とした食べ物を食べたから体調を崩すといった危険性は限りなく小さい」としている。室内が土足の住環境である英国でそうであれば、室内では靴を脱いで生活している日本の住環境なら、余計リスクは低いかもしれない。ということで、今後は3秒ルール、時には30分ルールを適用して、食べ物を無駄にすることなく堂々と食べよう...ただし自己責任で。



松丸さとみ

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