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レギンスパンツで搭乗は不適切? ユナイテッド航空の「塩対応」が大炎上

ニューズウィーク日本版 2017年3月28日 16時40分

<アメリカではレギンスでの登校を禁止する中学もあるほど、しばしば注目される少女の「レギンス着用問題」。ユナイテッド航空がレギンスの女の子の搭乗を拒否したことから、ネット上での論争に発展>

ユナイテッド航空がレギンスパンツを履いた少女の搭乗を拒否したことが「性差別」だとして、ネット上で批判が高まっている。

米紙ニューヨーク・タイムズによれば26日、デンバー国際空港でミネアポリス行きのユナイテッド航空215便の搭乗手続きが進む中、2人の少女が、着用していたレギンスが「不適切」として係員に搭乗を許可されず、空港に置いて行かれた。

ここに偶然居合わせたのは、女優で銃規制を訴える活動家のシャノン・ワッツ。ワッツは、自身のツイッタ―で「スポーツウェアを着た女性は乗せないの?」と、ユナイテッド航空に向けて投稿。3万4000人(3月27日現在)を超えるフォロワーを擁するワッツのツイートは瞬く間に拡散された。

1) A @united gate agent isn't letting girls in leggings get on flight from Denver to Minneapolis because spandex is not allowed?— Shannon Watts (@shannonrwatts) 2017年3月26日



炎上に気付いたユナイテッド航空はワッツとツイッタ―上でやり取りを開始。ユナイテッド航空側は当初「適切な服装でない乗客に対して搭乗を拒否する権利はあってしかるべき」と、自社の判断を強弁するコメントをし、これが火種となって状況はさらに悪化。「性差別」とする怒りのコメントの反撃を受けた。

@shannonrwatts In our Contract of Carriage, Rule 21, we do have the right to refuse transport for passengers who ... https://t.co/52kRVgaCyb— United (@united) 2017年3月26日



ユナイテッド航空側は、今回の措置が「従業員特典の利用者に定められた規定に基づいた判断で、通常の利用者に適用することはない」と説明。その後、少女たちの搭乗券が「ユナイテッド・パス」と呼ばれる、航空職員やその扶養家族に支給される優待チケットで、これに一定の服装規定があると釈明した。ツイッタ―上では、「従業員はこの規定を認知している」として、弁護する声もあった。

不適切の定義はなかった

確かにユナイテッド航空は、ユナイテッド・パスの利用規定で服装について明記しているが、「不適切な服装」という表現になっている。レギンスが「不適切」に該当するかどうかの記載はなく、この件ではユナイテッド航空職員がレギンスを「不適切な服装」と判断したことになる。

.@united I read the Contract of Carriage. Am I missing something? How do you define "properly clothed"? Wide berth for discrimination here. pic.twitter.com/w2IXjKd4NY— Charles Clymer (@cmclymer) 2017年3月26日


(5、裸足または不適切な服装)



実はレギンス問題は今に始まったことではない。アメリカでは「体のラインが目立ちすぎる」という理由から、10代の少女のレギンス着用がしばしば論争を起こしていた。ABCニュースによれば、2013年にカリフォルニア州のある中学校で「男子生徒の気が散る」という理由で、女子生徒にレギンス禁止令が出たことで本格的に問題視され始めた。

しかし今回、デンバー空港で置き去りにされたのは10歳の女の子。遊ぶことが仕事と言っても過言でない育ち盛りの子どもにとって、動きやすいレギンスは少なくとも不適切ではない。

ユナイテッド航空が「不適切な服装」を具体的に明記せずとも、レギンス着用者全員を不適切と判断するのであればまだ納得できるが、そうではないらしい。有名ブロガーのチャールズ・クライマーによれば、レギンスやヨガパンツを履いた男性は、子供でも大人でも搭乗できたという。

I'll bet my life savings that a grown man in yoga pants--let alone a boy--on a "traveler's pass" wouldn't have been denied entry.#United— Charles Clymer (@cmclymer) 2017年3月26日



加速する炎上にユナイテッドはこう出た

多くの有名人がコメントを寄せるなか、特に怒り心頭の様子だったのが女優のパトリシア・アークエット。2015年に『6才のボクが、大人になるまで。』でアカデミー助演女優賞に輝いた彼女は、同賞の受賞スピーチで男女の賃金格差是正を訴えたことで知られる。「搭乗客のうち少なくとも半分を不愉快にさせてるって理解してる?」と辛辣なツイートをした。

毒舌なことで知られるコメディエンヌで女優のサラ・シルバーマンは、搭乗予定のユナイテッド航空の便を他の航空会社に変更すると宣言。

Hey @united I fly a LOT. About to go on tour all April and changing all my @united flights to other airlines— Sarah Silverman (@SarahKSilverman) 2017年3月26日



事態の終息を図りたいユナイテッド航空は27日、自社HPにお知らせを掲載。「レギンス大歓迎!」と呼びかけた。

To our customers...your leggings are welcome! Learn more about our company's pass travel privilege: https://t.co/5e3euG1H9G.— United (@united) 2017年3月27日



しかしユナイテッド航空は、世間が批判したポイントを理解できていなかったようだ。レギンス大歓迎なのは、あくまで通常利用客に限定したまま、ユナイテッド・パスを利用する「不適切」な服装の搭乗者については姿勢を変えていない。絶妙にかみ合わないユナイテッド航空の発表に、ワッツも思わず本音でツイートしてしまったようだ。

So close @United... but no cigar.https://t.co/fShnaevy76— Shannon Watts (@shannonrwatts) 2017年3月27日


「惜しいわユナイテッド... 残念」

ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

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