<英語を学ぶ手段として人気が定着したオンライン英会話。従来型の通学制スクールのサービスと融合する動きが活発化している>
ビジネスシーンで求めらる英語力が多様化するなか、空前の英会話ブームの兆しが見えている。その一翼を担っているのがオンライン英会話だ。金額の安さや利便性だけが注目されがちだが、新たに通学制の英会話スクールの利点を取り入れることで、新しい英会話学習のスタイルが生み出されつつある。
画期的な料金体系で市場を拡大
インターネットの普及によって誕生したオンライン英会話。スカイプなどの無料オンライン通話ツールで世界各地にいる英語講師と生徒を繋ぎ、マンツーマンの英会話レッスンを受けることを可能にしたものだ。最大の特徴は、価格の安さとレッスンを受ける場所や時間に融通が利く利便性だろう。日本では2000年頃から登場し、利用する受講者数は右肩上がりに増えている。
このうち2007年に設立されたレアジョブはオンライン英会話の最大手。創業者の加藤智久氏と中村岳氏が、スカイプを利用したビジネスを考えていたときに、英語を公用語とするフィリピンの人を講師とした英会話レッスンというサービスの構想を思いついた。
実際にフィリピンを訪れると、最高学府である国立フィリピン大学を卒業した人たちでさえ就職するのが困難な雇用問題があり、優秀な彼らを講師にすることで、質の高いレッスンを提供できると確信したという。現在、50万人以上の個人顧客を抱え、1000社以上の企業への導入実績がある。
【参考記事】最新ビジネス英会話に求められる、ロジカルスピーキングと「おもてなし」
レアジョブが画期的だったのは、新しい料金体系を取り入れたことだ。設立された2007年は旧NOVAが経営破綻した年。レッスンを受ける度にチケットを購入したり、半年分の料金を一括して払ったりすることに消費者が抵抗を感じていたことを受け、月額制を取り入れた。
「25分を1レッスンとし、毎日1レッスンを受ける毎日25分プランをはじめ、4つの料金プランを用意」と、レアジョブ広報の荒川佳織氏が説明する。毎日25分プランの料金は月額で5800円(税別)で、1レッスンあたり200円未満。これは一般的な英会話スクールと比べると20分の1ほどの金額だという。
前述の通り講師の質も高い。講師の登録数は約4000人で、このうち約4割が国立フィリピン大学の卒業生か、または現役の学生。自分に合った講師を、さまざまな条件から選ぶことができるのは大きな魅力だ。
レアジョブはオンラインレッスンで画期的な料金体系を導入した(写真提供:レアジョブ)
通学制の利点を取り入れた新サービス
創業からの10年で、レアジョブの顧客にも変化が表れている。大学入試で英語のスピーキング力が重視される傾向が強まったことで中高生の受講者が増加。さらに、東京五輪の開催が決まってからはボランティアを目的とした主婦やシニア層も増えてきた。
一方で、顧客の中心となるビジネスパーソンの間では成果志向が顕著になってきている。企業活動のグローバル化によって、日常業務で英語を話すことを求められる人が急増していることの表われだ。
荒川氏は、「昔の英会話の市場では、必要に迫られてというよりも習いごとに近い感覚で学ぶ人が多かった。今は目的を持ち、それを達成するために英会話を始める人が増えた」と言う。このような背景によって、リーズナブルな料金でたくさん話すトレーニングが積めるオンライン英会話は急成長してきた。
【参考記事】早稲田大学ビジネススクールの魅力は、多様性の中でグローバルな経験を積める環境
その反面、オンライン英会話では、講師と対面していないために学ぶことができないことも多くある。また、オンライン英会話をうまく活用できるのは、自分でモチベーションを保ち続け、独学で英語力を上げることのできる層に限られる。こうした課題に対して、レアジョブでは新しいサービスを次々とスタートしている。
2年前からは日本人によるカウンセリングサービスをオプションで用意。さらに、2016年1月からは中上級者向けに「レアジョブ本気塾ワークショップ」をスタートさせた。これはオンラインレッスンと十数人のクラスによる通学制の英会話スクールを組み合わせたもの。週に1回外国人のファシリテーターが実践的なトレーニングをワークショップ形式で提供し、毎日のオンラインレッスンや宿題をこなすという3カ月間の短期集中によって、仕事で使える英会話力を身につける。また初心者に対しては、日本人のトレーナーが付いてマンツーマンで学習指導する「レアジョブ本気塾ハンズオン」も始めている。
これからの英会話市場を「オンラインだけではサービスの内容に限界があり、通学制だけではコストパフォーマンスが厳しい。実際に顧客にはオンラインと通学制を使い分けている人も多く、これからは両者のサービスが融合していくのではないか」と、荒川氏は分析している。そうしたサービス開発の元になるのが、レアジョブがこれまでに蓄積してきた2000万回以上のレッスンデータだ。
「日本人1000万人を英語が話せるようにする」をミッションとして掲げるオンライン英会話最大手のレアジョブは、新しいサービスの展開によって、通学制の英会話スクールとの融合を進めつつある。
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
ビジネスシーンで求めらる英語力が多様化するなか、空前の英会話ブームの兆しが見えている。その一翼を担っているのがオンライン英会話だ。金額の安さや利便性だけが注目されがちだが、新たに通学制の英会話スクールの利点を取り入れることで、新しい英会話学習のスタイルが生み出されつつある。
画期的な料金体系で市場を拡大
インターネットの普及によって誕生したオンライン英会話。スカイプなどの無料オンライン通話ツールで世界各地にいる英語講師と生徒を繋ぎ、マンツーマンの英会話レッスンを受けることを可能にしたものだ。最大の特徴は、価格の安さとレッスンを受ける場所や時間に融通が利く利便性だろう。日本では2000年頃から登場し、利用する受講者数は右肩上がりに増えている。
このうち2007年に設立されたレアジョブはオンライン英会話の最大手。創業者の加藤智久氏と中村岳氏が、スカイプを利用したビジネスを考えていたときに、英語を公用語とするフィリピンの人を講師とした英会話レッスンというサービスの構想を思いついた。
実際にフィリピンを訪れると、最高学府である国立フィリピン大学を卒業した人たちでさえ就職するのが困難な雇用問題があり、優秀な彼らを講師にすることで、質の高いレッスンを提供できると確信したという。現在、50万人以上の個人顧客を抱え、1000社以上の企業への導入実績がある。
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レアジョブが画期的だったのは、新しい料金体系を取り入れたことだ。設立された2007年は旧NOVAが経営破綻した年。レッスンを受ける度にチケットを購入したり、半年分の料金を一括して払ったりすることに消費者が抵抗を感じていたことを受け、月額制を取り入れた。
「25分を1レッスンとし、毎日1レッスンを受ける毎日25分プランをはじめ、4つの料金プランを用意」と、レアジョブ広報の荒川佳織氏が説明する。毎日25分プランの料金は月額で5800円(税別)で、1レッスンあたり200円未満。これは一般的な英会話スクールと比べると20分の1ほどの金額だという。
前述の通り講師の質も高い。講師の登録数は約4000人で、このうち約4割が国立フィリピン大学の卒業生か、または現役の学生。自分に合った講師を、さまざまな条件から選ぶことができるのは大きな魅力だ。
レアジョブはオンラインレッスンで画期的な料金体系を導入した(写真提供:レアジョブ)
通学制の利点を取り入れた新サービス
創業からの10年で、レアジョブの顧客にも変化が表れている。大学入試で英語のスピーキング力が重視される傾向が強まったことで中高生の受講者が増加。さらに、東京五輪の開催が決まってからはボランティアを目的とした主婦やシニア層も増えてきた。
一方で、顧客の中心となるビジネスパーソンの間では成果志向が顕著になってきている。企業活動のグローバル化によって、日常業務で英語を話すことを求められる人が急増していることの表われだ。
荒川氏は、「昔の英会話の市場では、必要に迫られてというよりも習いごとに近い感覚で学ぶ人が多かった。今は目的を持ち、それを達成するために英会話を始める人が増えた」と言う。このような背景によって、リーズナブルな料金でたくさん話すトレーニングが積めるオンライン英会話は急成長してきた。
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その反面、オンライン英会話では、講師と対面していないために学ぶことができないことも多くある。また、オンライン英会話をうまく活用できるのは、自分でモチベーションを保ち続け、独学で英語力を上げることのできる層に限られる。こうした課題に対して、レアジョブでは新しいサービスを次々とスタートしている。
2年前からは日本人によるカウンセリングサービスをオプションで用意。さらに、2016年1月からは中上級者向けに「レアジョブ本気塾ワークショップ」をスタートさせた。これはオンラインレッスンと十数人のクラスによる通学制の英会話スクールを組み合わせたもの。週に1回外国人のファシリテーターが実践的なトレーニングをワークショップ形式で提供し、毎日のオンラインレッスンや宿題をこなすという3カ月間の短期集中によって、仕事で使える英会話力を身につける。また初心者に対しては、日本人のトレーナーが付いてマンツーマンで学習指導する「レアジョブ本気塾ハンズオン」も始めている。
これからの英会話市場を「オンラインだけではサービスの内容に限界があり、通学制だけではコストパフォーマンスが厳しい。実際に顧客にはオンラインと通学制を使い分けている人も多く、これからは両者のサービスが融合していくのではないか」と、荒川氏は分析している。そうしたサービス開発の元になるのが、レアジョブがこれまでに蓄積してきた2000万回以上のレッスンデータだ。
「日本人1000万人を英語が話せるようにする」をミッションとして掲げるオンライン英会話最大手のレアジョブは、新しいサービスの展開によって、通学制の英会話スクールとの融合を進めつつある。
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部