<26日の香港行政長官選挙では、予定通り、中国政府の支持を得ていた林鄭月娥が当選。そもそも親中派が勝利する仕組みとなっており、一方で、民意を示すデモの動員人数も減っている。非親中派の活動家たちはこの状況をどう捉えているのか、新興政党「香港衆志」の周庭氏に聞いた>
2017年3月26日、香港で行政長官選挙が行われ、林鄭月娥(キャリー・ラム)氏が当選した。今年1月まで約5年間にわたり香港政府ナンバー2のポストである政務官を務めてきた人物だ。中国政府の支持も得ており、大本命が予定通りの圧勝という結果となった。
波乱がないのも当然だ。行政長官は普通選挙ではなく、1200人の選挙委員の投票によって選出される。うち中国寄りの建制派(親中派)は約800人と大多数を占めている。林鄭氏は777票を獲得しており、無難に親中派をまとめあげた。
しかし林鄭氏は、評判の悪い現政権の中枢にいた人物として香港市民の間で人気は低い。対立候補となったのが曽俊華(ジョン・ツァン)氏。林鄭氏よりはまだましだとして、世論調査の支持率も高く、中国政府に批判的な民主派は曽俊華支持を打ち出した。
もっとも曽氏とて長年、現香港政府ナンバー3のポストである財政官を務めてきた人物であり、その主張や手腕に林鄭氏と大した違いがあるわけではない。曽氏人気とはつまるところ林鄭氏の不人気の裏返しでしかなく、香港の選挙に強く介入した中国政府への当てこすりでしかない。
非親中派勢力の間では、「相乗りか白票か」が1つの論点となった。まだましな曽氏に相乗りすることで責任ある野党として行動するか、それとも不公正な選挙そのものに抗議する意味で白票を投じるか。どちらが正しい振る舞いかを判断することは難しいが、結局は林鄭氏が親中派をまとめきったことで、妥当かつ無風の選挙結果となった。
雨傘運動のように圧倒的民意を示せれば政治に影響を及ぼせる
相乗りか白票か。どちらを選んでも結局のところ政治には大して影響は与えられない。こうした非親中派の政治的苦境は主に制度に由来している。
行政長官選挙であれ議会(立法会)選挙であれ、中国寄りの建制派が勝利する制度が確立している。政治に影響力を与える方法があるとしたら、それは選挙ではなく、圧倒的な民意を集めることによって政府に「これは民の言うことを聞かないと危険だな」と圧力をかけることぐらいだろう。
その期待感が最大限に高まったのが2014年秋の大規模デモ「雨傘運動」だった。
2015年の山形国際ドキュメンタリー映画祭で上映された香港映画『革命まで』がこの状況をわかりやすく描いていた。同作は民主的な選挙を求めて金融街を占拠しようという「オキュパイ・セントラル」がどのように広まっていったのか、そして「オキュパイ・セントラル」が突発的な事件により「雨傘運動」に変化し、いかにして収束していったのかを記録した作品だ。
「オキュパイ・セントラル」はもともと香港大学准教授の戴耀廷氏が新聞コラムに書いたアイディアだ。アメリカの「オキュパイ・ウォールストリート」にヒントを得て、香港でもやってみてはという軽いノリで書いたコラムだったが、戴氏の想像を超えた反響を集め、現実の行動へと突き進んでいく。
この時、運動を広める推進者として活躍したのが「長毛」こと梁国雄・立法会議員だ。議会や街頭デモではトレードマークの長髪をなびかせ大暴れする、急進民主派の有名人である。ところが映画で舞台裏を話すシーンでは冷静そのもの。どうやって人々の注目を喚起できるか、話題をつくり続けなければいけないと客観的に語っていた。いつもの大暴れも、そしてオキュパイ・セントラルの呼びかけも、計算されたパフォーマンスというわけだ。
今回の行政長官選挙でも梁議員はあるパフォーマンスを行っていた。それが模擬投票だ。たった1200人の選挙委員で決める選挙などまやかしだと批判。ネットと街頭で一般市民の投票を受け付け、3万7000人以上の支持を集めた場合には自分が立候補すると表明した。
選挙制度そのものを批判する、興味深いパフォーマンスと言えるのではないか。雨傘運動の流れをくむ政党「香港衆志」(デモシスト)も呼びかけ、街頭活動に加わったが、香港市民の反応は鈍く、目標を大きく下回る2万人の支持しか得られずに無念の活動終了となった。
雨傘運動のような形で圧倒的民意が示されれば、政府とて無視し得ない。しかし民意を喚起するためのパフォーマンスやイベントが乱発されれば、政治疲れ、パフォーマンス疲れが広がり、人々の注目を集めることはできない。
香港市民の"疲労度"を如実に示すのが「七一游行」の参加人数だろう。毎年7月1日の香港返還記念日に開催される「七一游行」は香港最大の抗議活動として知られているが、2014年の参加者は主催者発表51万人、警察発表9万8600人だったのに対し、2016年には主催者発表11万人、警察発表1万9300人にまで激減している。
【参考記事】「民主主義ってこれだ!」を香港で叫ぶ――「七一游行」体験記
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一国二制度堅持の50年が終わる2047年までを見据えた長期戦略
不公正な選挙制度に乗っかっても現状は変えられない。圧倒的民意を集めようにも人々は政治疲れの只中にある。ある意味絶望的な状況にも思えるが、香港の非親中派の活動家は心が折れずにいられるのだろうか。
香港の政治的状況を見ていて感じる率直な感想だ。今をさかのぼること3カ月前、2016年12月末にこの質問を新興政党「香港衆志」の中心メンバーである周庭(アグネス・チョウ、20歳)副秘書長にぶつけてみた。
すると、「香港人の政治疲れというご理解は間違っていると思います。我々の活動には多くの支持が得られています」と、質問の前提そのものを否定する回答が返ってきた。
2016年7月1日、七一游行での「香港衆志」ブースにて演説する周庭副秘書長(筆者撮影)
周氏は2012年に中高生による政治団体「学民思潮」に加入。当時はまだ15歳だったが、後にはスポークスマンを務めるなど、黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏とともに中心メンバーとして活躍してきた。2016年の「香港衆志」立ち上げ後も副秘書長として活躍。日本語が堪能なこともあって、日本メディアでの露出も多い。スポークスマンとしての反射神経は鋭く、質問者にぴしゃりと反論することもしばしばだ。
それでも、デモ参加者などの客観的な数字を見れば雨傘運動当時と比べての退潮は明らかではと食い下がる私に、周氏は運動は長期戦になるとの見通しを伝えてきた。雨傘運動のリーダーとして世界的に名前を知られるようになった黄之鋒氏は、なんと30年後の2047年までの長期計画で戦い抜くとの構想を発表している。
香港は1997年に中国に返還された。その際、中国政府は2047年までの50年間は一国二制度を堅持する方針を示している。だが、その後のことはこれから決まる。2047年に香港が中国のたんなる一地方とならないように、香港の運命を香港人が自ら決められるように、短期的な政治的駆け引きではなく、根本的な制度改革を求めて支持を広げていくという遠大な構想だ。
30年も先の目標を唱えて求心力を維持できるのか。短期的な成果に拘泥しない態度で参加者のテンションを保てるのか。中国政府によるさまざまな圧力に押しつぶされはしないか。
実際、行政長官選挙の翌日には香港警察は戴耀廷氏ら雨傘運動の提唱者ら9人を逮捕する方針を発表している。また「香港衆志」の羅冠聡主席は昨秋立法会議員に当選したが、就任宣誓に不備があったとの理由で香港政府は当選無効を主張。現在、訴訟が進行しているが、失職する可能性もある。その場合、当選後に支払われた給与、経費の返還を求められることになり、「香港衆志」が経済的に破綻する可能性は高い。
彼らをめぐる厳しい状況を考えると、長期戦など可能なのかとこちらが心配してしまうが、彼らは彼らなりのやり方で運動に取り組んでいる。
長い長い道程を歩き続けるには、気を張りすぎないことが大切になる。その意味では周氏の肩肘張らぬ生活ぶりは、いわゆる活動家のイメージとは縁遠いものだった。
日常生活についてたずねると、スポークスマンの顔から一転、20歳の女子大学生の表情に変わった。副秘書長という肩書きはあるが、大学に通うために仕事としてはパートタイムという扱い。また、英語家庭教師のアルバイトもしているのだとか。
さらに自分が好きな日本のコンテンツの話になると、テンションと話すスピードは2倍になる。日本語が堪能な周氏だが、もともとは『きらりん☆レボリューション』(2006~2009年)という日本アニメにはまったことがきっかけだという。
その後はモーニング娘。や嵐などの日本アイドルのファンになり、気づけば香港政治についてすらすらと解説できるほどの日本語力を身につけたのだという。アイドル以外でも「有吉弘行のバラエティが好きですね。ユーチューバーだとはじめしゃちょーのファンです」とすらすら名前を列挙していた。
黄之鋒氏もガンダムオタクとして知られているほか、雨傘運動当時には「おまえの青春は輝いたか」というアニメ『ケロロ軍曹』の名台詞で人々を鼓舞するほどのアニメ好き。香港衆志のフェイスブックページではゲーム実況を披露するなどオタクぶりは本物だ。
運動だけに没頭するのではなく、自分の生活を確保しつつ肩肘張らずに30年後に向けて戦っていく。彼らの試みがどのような実を結ぶのか、注目していきたい。
[筆者]
高口康太
ジャーナリスト、翻訳家。1976年生まれ。千葉大学人文社会科学研究科(博士課程)単位取得退学。独自の切り口から中国・新興国を論じるニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運営。著書に『なぜ、習近平は激怒したのか――人気漫画家が亡命した理由』(祥伝社)。4月下旬に『現代中国経営者列伝 』(星海社新書)を刊行予定。
高口康太(ジャーナリスト、翻訳家)
2017年3月26日、香港で行政長官選挙が行われ、林鄭月娥(キャリー・ラム)氏が当選した。今年1月まで約5年間にわたり香港政府ナンバー2のポストである政務官を務めてきた人物だ。中国政府の支持も得ており、大本命が予定通りの圧勝という結果となった。
波乱がないのも当然だ。行政長官は普通選挙ではなく、1200人の選挙委員の投票によって選出される。うち中国寄りの建制派(親中派)は約800人と大多数を占めている。林鄭氏は777票を獲得しており、無難に親中派をまとめあげた。
しかし林鄭氏は、評判の悪い現政権の中枢にいた人物として香港市民の間で人気は低い。対立候補となったのが曽俊華(ジョン・ツァン)氏。林鄭氏よりはまだましだとして、世論調査の支持率も高く、中国政府に批判的な民主派は曽俊華支持を打ち出した。
もっとも曽氏とて長年、現香港政府ナンバー3のポストである財政官を務めてきた人物であり、その主張や手腕に林鄭氏と大した違いがあるわけではない。曽氏人気とはつまるところ林鄭氏の不人気の裏返しでしかなく、香港の選挙に強く介入した中国政府への当てこすりでしかない。
非親中派勢力の間では、「相乗りか白票か」が1つの論点となった。まだましな曽氏に相乗りすることで責任ある野党として行動するか、それとも不公正な選挙そのものに抗議する意味で白票を投じるか。どちらが正しい振る舞いかを判断することは難しいが、結局は林鄭氏が親中派をまとめきったことで、妥当かつ無風の選挙結果となった。
雨傘運動のように圧倒的民意を示せれば政治に影響を及ぼせる
相乗りか白票か。どちらを選んでも結局のところ政治には大して影響は与えられない。こうした非親中派の政治的苦境は主に制度に由来している。
行政長官選挙であれ議会(立法会)選挙であれ、中国寄りの建制派が勝利する制度が確立している。政治に影響力を与える方法があるとしたら、それは選挙ではなく、圧倒的な民意を集めることによって政府に「これは民の言うことを聞かないと危険だな」と圧力をかけることぐらいだろう。
その期待感が最大限に高まったのが2014年秋の大規模デモ「雨傘運動」だった。
2015年の山形国際ドキュメンタリー映画祭で上映された香港映画『革命まで』がこの状況をわかりやすく描いていた。同作は民主的な選挙を求めて金融街を占拠しようという「オキュパイ・セントラル」がどのように広まっていったのか、そして「オキュパイ・セントラル」が突発的な事件により「雨傘運動」に変化し、いかにして収束していったのかを記録した作品だ。
「オキュパイ・セントラル」はもともと香港大学准教授の戴耀廷氏が新聞コラムに書いたアイディアだ。アメリカの「オキュパイ・ウォールストリート」にヒントを得て、香港でもやってみてはという軽いノリで書いたコラムだったが、戴氏の想像を超えた反響を集め、現実の行動へと突き進んでいく。
この時、運動を広める推進者として活躍したのが「長毛」こと梁国雄・立法会議員だ。議会や街頭デモではトレードマークの長髪をなびかせ大暴れする、急進民主派の有名人である。ところが映画で舞台裏を話すシーンでは冷静そのもの。どうやって人々の注目を喚起できるか、話題をつくり続けなければいけないと客観的に語っていた。いつもの大暴れも、そしてオキュパイ・セントラルの呼びかけも、計算されたパフォーマンスというわけだ。
今回の行政長官選挙でも梁議員はあるパフォーマンスを行っていた。それが模擬投票だ。たった1200人の選挙委員で決める選挙などまやかしだと批判。ネットと街頭で一般市民の投票を受け付け、3万7000人以上の支持を集めた場合には自分が立候補すると表明した。
選挙制度そのものを批判する、興味深いパフォーマンスと言えるのではないか。雨傘運動の流れをくむ政党「香港衆志」(デモシスト)も呼びかけ、街頭活動に加わったが、香港市民の反応は鈍く、目標を大きく下回る2万人の支持しか得られずに無念の活動終了となった。
雨傘運動のような形で圧倒的民意が示されれば、政府とて無視し得ない。しかし民意を喚起するためのパフォーマンスやイベントが乱発されれば、政治疲れ、パフォーマンス疲れが広がり、人々の注目を集めることはできない。
香港市民の"疲労度"を如実に示すのが「七一游行」の参加人数だろう。毎年7月1日の香港返還記念日に開催される「七一游行」は香港最大の抗議活動として知られているが、2014年の参加者は主催者発表51万人、警察発表9万8600人だったのに対し、2016年には主催者発表11万人、警察発表1万9300人にまで激減している。
【参考記事】「民主主義ってこれだ!」を香港で叫ぶ――「七一游行」体験記
【参考記事】「政治冷感」の香港で注目を集める新議員、朱凱廸とは?
一国二制度堅持の50年が終わる2047年までを見据えた長期戦略
不公正な選挙制度に乗っかっても現状は変えられない。圧倒的民意を集めようにも人々は政治疲れの只中にある。ある意味絶望的な状況にも思えるが、香港の非親中派の活動家は心が折れずにいられるのだろうか。
香港の政治的状況を見ていて感じる率直な感想だ。今をさかのぼること3カ月前、2016年12月末にこの質問を新興政党「香港衆志」の中心メンバーである周庭(アグネス・チョウ、20歳)副秘書長にぶつけてみた。
すると、「香港人の政治疲れというご理解は間違っていると思います。我々の活動には多くの支持が得られています」と、質問の前提そのものを否定する回答が返ってきた。
2016年7月1日、七一游行での「香港衆志」ブースにて演説する周庭副秘書長(筆者撮影)
周氏は2012年に中高生による政治団体「学民思潮」に加入。当時はまだ15歳だったが、後にはスポークスマンを務めるなど、黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏とともに中心メンバーとして活躍してきた。2016年の「香港衆志」立ち上げ後も副秘書長として活躍。日本語が堪能なこともあって、日本メディアでの露出も多い。スポークスマンとしての反射神経は鋭く、質問者にぴしゃりと反論することもしばしばだ。
それでも、デモ参加者などの客観的な数字を見れば雨傘運動当時と比べての退潮は明らかではと食い下がる私に、周氏は運動は長期戦になるとの見通しを伝えてきた。雨傘運動のリーダーとして世界的に名前を知られるようになった黄之鋒氏は、なんと30年後の2047年までの長期計画で戦い抜くとの構想を発表している。
香港は1997年に中国に返還された。その際、中国政府は2047年までの50年間は一国二制度を堅持する方針を示している。だが、その後のことはこれから決まる。2047年に香港が中国のたんなる一地方とならないように、香港の運命を香港人が自ら決められるように、短期的な政治的駆け引きではなく、根本的な制度改革を求めて支持を広げていくという遠大な構想だ。
30年も先の目標を唱えて求心力を維持できるのか。短期的な成果に拘泥しない態度で参加者のテンションを保てるのか。中国政府によるさまざまな圧力に押しつぶされはしないか。
実際、行政長官選挙の翌日には香港警察は戴耀廷氏ら雨傘運動の提唱者ら9人を逮捕する方針を発表している。また「香港衆志」の羅冠聡主席は昨秋立法会議員に当選したが、就任宣誓に不備があったとの理由で香港政府は当選無効を主張。現在、訴訟が進行しているが、失職する可能性もある。その場合、当選後に支払われた給与、経費の返還を求められることになり、「香港衆志」が経済的に破綻する可能性は高い。
彼らをめぐる厳しい状況を考えると、長期戦など可能なのかとこちらが心配してしまうが、彼らは彼らなりのやり方で運動に取り組んでいる。
長い長い道程を歩き続けるには、気を張りすぎないことが大切になる。その意味では周氏の肩肘張らぬ生活ぶりは、いわゆる活動家のイメージとは縁遠いものだった。
日常生活についてたずねると、スポークスマンの顔から一転、20歳の女子大学生の表情に変わった。副秘書長という肩書きはあるが、大学に通うために仕事としてはパートタイムという扱い。また、英語家庭教師のアルバイトもしているのだとか。
さらに自分が好きな日本のコンテンツの話になると、テンションと話すスピードは2倍になる。日本語が堪能な周氏だが、もともとは『きらりん☆レボリューション』(2006~2009年)という日本アニメにはまったことがきっかけだという。
その後はモーニング娘。や嵐などの日本アイドルのファンになり、気づけば香港政治についてすらすらと解説できるほどの日本語力を身につけたのだという。アイドル以外でも「有吉弘行のバラエティが好きですね。ユーチューバーだとはじめしゃちょーのファンです」とすらすら名前を列挙していた。
黄之鋒氏もガンダムオタクとして知られているほか、雨傘運動当時には「おまえの青春は輝いたか」というアニメ『ケロロ軍曹』の名台詞で人々を鼓舞するほどのアニメ好き。香港衆志のフェイスブックページではゲーム実況を披露するなどオタクぶりは本物だ。
運動だけに没頭するのではなく、自分の生活を確保しつつ肩肘張らずに30年後に向けて戦っていく。彼らの試みがどのような実を結ぶのか、注目していきたい。
[筆者]
高口康太
ジャーナリスト、翻訳家。1976年生まれ。千葉大学人文社会科学研究科(博士課程)単位取得退学。独自の切り口から中国・新興国を論じるニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運営。著書に『なぜ、習近平は激怒したのか――人気漫画家が亡命した理由』(祥伝社)。4月下旬に『現代中国経営者列伝 』(星海社新書)を刊行予定。
高口康太(ジャーナリスト、翻訳家)