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レディオヘッドにデビッド・ボウイ!? 新種生物に有名人の名前が付けられるワケ

ニューズウィーク日本版 2017年4月27日 13時15分

<新種のアリの名前は、なんとあのロックスターと一緒! ビヨンセという名の馬もいる>

アマゾンの森林で見つかった新種のアリが、かの有名なイギリスのロックバンドにちなんで、レディオヘッド(Radiohead)と名付けられた。

動植物専門メディアZooKeysに24日付けで掲載された研究で、キヌゲキノコアリ属レディオヘッド(Sericomyrmex radioheadi)がお披露目された。アリは中南米に生息する典型的なハキリアリの仲間と思われたが、レディオヘッドは新種だった。メスは絹糸のような繊維状の層を持ち、オスは茶色の目が特徴だ。

Crystal-Haired 'Radiohead' Ant Discovered https://t.co/oFmpHOyGzg pic.twitter.com/2vZFxZLfQ1— Live Science (@LiveScience) 2017年4月25日


レディオヘッドという名のアリ


Phys.orgの発表によると、アリが発見されたのはベネズエラのアマゾン。スミソニアン協会のアリ研究室に所属するアナ・ジェソブニク(Ana Jesovnik)とテッド・R・シュルツ(Ted R. Schultz)によって最近発見された3種類のキヌゲキノコアリ属の新種のうちの1つだ。

ジェソブニクとシュルツは、レディオヘッドにちなんだ名前を付けることで「メンバーの保護活動、特に気候変動問題への関心を高めようとする取り組みに感謝を示したかった」と話している。

レディオヘッドのリードボーカル、トム・ヨークをはじめとするメンバーは、気候変動に関するキャンペーンに長年携わってきた。2015年にパリで開催された第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)に合わせ、ヨークと他のミュージシャンらは温暖化対策を求めるオープンレター(公開状)に署名した。

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ビヨンセという名の馬

新種の命名に使われているのはレディオヘッドだけでない。最近発見された「 neon pink shrimp 」はイギリスのロックバンド、ピンク・フロイドに因んで名付けられた。2009年にマレーシアで発見された絶滅危惧種のクモはデビッド・ボウイ、2015年にオーストラリアのクイーンズランド州で見つかった馬はビヨンセだ。

これらの背景には有名人の名前をつけることで注目を集め、動植物の生態保護を啓蒙したいという考えがある。

Heteropoda davidbowie https://t.co/0DUHTOYcAy pic.twitter.com/TQkG3NWxp8— Mirko Ilic Corp. (@MirkoIlicCorp) 2016年5月18日


デビッド・ボウイという名のクモ


有名人の名前を付けることには否定的な意見もある。英デイリー・テレグラフ紙によれば、有名人の名前で注目を集めると過剰に保護されてしまい、生態系バランスを崩してしまう恐れがあるという。

ただ、人間の経済活動の拡大が自然環境を圧迫しているのは事実だ。デビッド・ボウイ(クモ)の発見者であるドイツのクモ専門家ペーター・ジャガーは、人間の活動が稀少生物の生息地を破壊すると指摘する。「アーティストなどの有名人の名前をつけることで、稀少動物に注意と関心を持ってもらう手助けになる」と語った。

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ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

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