<FBI長官解任に続くアメリカ大統領の信じられない振る舞いに、情報機関の職員や安全保障関係者が一斉に反発>
ワシントン・ポスト紙が5月15日付けで報道したところによると、ドナルド・トランプ米大統領は5月10日、ロシアの政府高官に対し、テロ組織ISIS(自称イスラム国、別名ISIL)に関する高度な機密情報を漏らした。このことにより、今後の戦略と重要な情報源が脅かされる可能性があるという。
匿名の政府高官や元高官の話として同紙が伝えたところによると、トランプが機密情報を明かしたのは、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相とセルゲイ・キスリャク駐米大使との会談の場。トランプは自慢げに「私には重要な機密情報が手に入る。重要な情報について毎日ブリーフィングを受けている」と語ったという。
【参考記事】ニクソンより深刻な罪を犯したトランプは辞任する
同紙によれば、トランプが漏洩した内容は、機密性の高い情報であるという合意に基づいて同盟国から得られたもので、トランプには、ロシア政府はもちろん、米政権関係者の一部に対してすら、そうした情報を開示する権限はない。
同紙はさらに、トランプがロシアに対するテロ計画の詳細を明かし、計画が発覚したISIS支配下の都市名を挙げたことも報じている。そうした情報開示によって、このテロ計画を暴いたアメリカの同盟国が今後、機密情報の収集に支障を来すかもしれないという。
同盟国より多くをロシアに喋った
ホワイトハウス大統領執務室で行われたロシア側との会談後、米政府高官は、悪影響をできるだけ抑えるため、国家安全保障局(NSA)と中央情報局(CIA)に事態を報告した。
【参考記事】トランプ降ろし第三のシナリオは、副大統領によるクーデター
ある政府高官はワシントン・ポスト紙に対し、「これはコードワードの情報(最高機密のうち、閲覧できる人間が限られている情報)だ」と指摘し、トランプは「ロシアの大使に対して、私たちが同盟国と共有するよりも多くの情報を明かした」と述べている。
報道によれば、トランプはまず、ロシア外相と駐米大使に対し、機内持ち込みのノートパソコンを使ったISISの攻撃計画についての情報を説明し始めた。違法ではないが、極めて異例だ。
【参考記事】トランプとロシアの「疑惑文書」を書いた英元情報部員の正体
トランプはそれに続けて、同盟国が収集した特定の機密情報を詳しく話し始めたという。ただし、使われた情報収集の方法は明かさなかったようだ。ニューヨーク・タイムズ紙はこの情報の開示について、違法ではないものの、アメリカ政府と同盟国との関係に悪影響が及ぶ可能性があるとしている。
政府高官2名はバズフィードの取材に対しこの件を認め、そのうちの1名は次のように述べた。「これまで報道されているよりも、事態ははるかに深刻だ」
トランプのこうした行動に対して、諜報機関の職員を中心に、ただちに反発が起きた。ワシントン・ポスト紙の取材に応えた元諜報部員はこう述べている。「トランプは思慮に欠けているようだ。自分が扱っている事の重大さを理解していない。とりわけ、機密情報と国家安全保障のことを何もわかっていない」
トランプがロシア高官との会談したことは、連邦捜査局(FBI)のジェームズ・コミー長官を解任した翌日だったこともあって議論を呼んでいた。トランプがコミーを解任したのは、大統領選の際にトランプ陣営とロシア政府が共謀したのではないかという疑惑をめぐる捜査を妨害するためだと主張する人もいる。
本誌はホワイトハウスにコメントを求めたが、回答は得られていない。ただしホワイトハウスは、ワシントン・ポスト紙の報道は真実ではないと否定した。
ホワイトハウスが公表した国家安全保障担当次席補佐官ディナ・パウエルの声明にはこう記されている。「この報道は虚偽だ。大統領は、(アメリカとロシア)両国が直面する共通の脅威に関して話し合っただけだ」
(翻訳:ガリレオ)
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ハリエット・シンクレア
ワシントン・ポスト紙が5月15日付けで報道したところによると、ドナルド・トランプ米大統領は5月10日、ロシアの政府高官に対し、テロ組織ISIS(自称イスラム国、別名ISIL)に関する高度な機密情報を漏らした。このことにより、今後の戦略と重要な情報源が脅かされる可能性があるという。
匿名の政府高官や元高官の話として同紙が伝えたところによると、トランプが機密情報を明かしたのは、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相とセルゲイ・キスリャク駐米大使との会談の場。トランプは自慢げに「私には重要な機密情報が手に入る。重要な情報について毎日ブリーフィングを受けている」と語ったという。
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同紙によれば、トランプが漏洩した内容は、機密性の高い情報であるという合意に基づいて同盟国から得られたもので、トランプには、ロシア政府はもちろん、米政権関係者の一部に対してすら、そうした情報を開示する権限はない。
同紙はさらに、トランプがロシアに対するテロ計画の詳細を明かし、計画が発覚したISIS支配下の都市名を挙げたことも報じている。そうした情報開示によって、このテロ計画を暴いたアメリカの同盟国が今後、機密情報の収集に支障を来すかもしれないという。
同盟国より多くをロシアに喋った
ホワイトハウス大統領執務室で行われたロシア側との会談後、米政府高官は、悪影響をできるだけ抑えるため、国家安全保障局(NSA)と中央情報局(CIA)に事態を報告した。
【参考記事】トランプ降ろし第三のシナリオは、副大統領によるクーデター
ある政府高官はワシントン・ポスト紙に対し、「これはコードワードの情報(最高機密のうち、閲覧できる人間が限られている情報)だ」と指摘し、トランプは「ロシアの大使に対して、私たちが同盟国と共有するよりも多くの情報を明かした」と述べている。
報道によれば、トランプはまず、ロシア外相と駐米大使に対し、機内持ち込みのノートパソコンを使ったISISの攻撃計画についての情報を説明し始めた。違法ではないが、極めて異例だ。
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トランプはそれに続けて、同盟国が収集した特定の機密情報を詳しく話し始めたという。ただし、使われた情報収集の方法は明かさなかったようだ。ニューヨーク・タイムズ紙はこの情報の開示について、違法ではないものの、アメリカ政府と同盟国との関係に悪影響が及ぶ可能性があるとしている。
政府高官2名はバズフィードの取材に対しこの件を認め、そのうちの1名は次のように述べた。「これまで報道されているよりも、事態ははるかに深刻だ」
トランプのこうした行動に対して、諜報機関の職員を中心に、ただちに反発が起きた。ワシントン・ポスト紙の取材に応えた元諜報部員はこう述べている。「トランプは思慮に欠けているようだ。自分が扱っている事の重大さを理解していない。とりわけ、機密情報と国家安全保障のことを何もわかっていない」
トランプがロシア高官との会談したことは、連邦捜査局(FBI)のジェームズ・コミー長官を解任した翌日だったこともあって議論を呼んでいた。トランプがコミーを解任したのは、大統領選の際にトランプ陣営とロシア政府が共謀したのではないかという疑惑をめぐる捜査を妨害するためだと主張する人もいる。
本誌はホワイトハウスにコメントを求めたが、回答は得られていない。ただしホワイトハウスは、ワシントン・ポスト紙の報道は真実ではないと否定した。
ホワイトハウスが公表した国家安全保障担当次席補佐官ディナ・パウエルの声明にはこう記されている。「この報道は虚偽だ。大統領は、(アメリカとロシア)両国が直面する共通の脅威に関して話し合っただけだ」
(翻訳:ガリレオ)
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ハリエット・シンクレア