<FBI長官コミーの解任劇を機に、かねてより失態の多かったショーン・スパイサー大統領報道官の更迭が噂されている。名前の挙がったキンバリー・ギルフォイルとは何者なのか>
トランプ米政権が揺れに揺れている。今に始まったことではないように思えるかもしれないが、連邦捜査局(FBI)のジェームズ・コミー前長官の解任劇を受け、弾劾や辞任といった言葉が盛んに飛び交うようになった。
ドナルド・トランプにとって、大統領就任以来、最大の危機といっていいだろう。
【参考記事】トランプ降ろし第3のシナリオは、副大統領によるクーデター
【参考記事】ニクソンより深刻な罪を犯したトランプは辞任する
【参考記事】トランプ勝利を予測した教授が説く「大統領弾劾」シナリオ
逆風が吹くなか、FBI長官の後任人事も難航しているようだ。報道によれば、有力候補とされた2人――共和党上院議員と連邦高等裁判所判事――が5月16日、指名受諾に消極的な姿勢を示したという。
一方で、もうひとつの職務では、後任候補の名が挙がり始めた。まだ現職は辞任していないにもかかわらず。
ショーン・スパイサー大統領報道官だ。閣僚ではないものの、今やアメリカ人なら誰もが知っているであろう政権スタッフである。報道官としての失態を何度も批判され、米NBCの人気コメディ番組「サタデー・ナイト・ライブ(SNL)」ではスパイサーのパロディが人気を博している。
【参考記事】サタデー・ナイト・ライブに「スパイサー報道官」が笑劇デビュー!
15日、FOXニュースのニュース・トーク番組「ザ・ファイブ」のホストの1人であるキンバリー・ギルフォイルが、自らがスパイサーの後任候補となっていることを明かした。ベイエリア・ニュースグループの取材に、ホワイトハウスの報道官、もしくは他の広報職にという可能性が「多くの人に取り沙汰されて」おり、トランプ政権とも話していると語ったのだ。
「私は愛国者だし、もし国に仕えることになれば名誉なことだ」と、ギルフォイルは言う。「興味深い仕事、やりがいのある仕事だと思う。強い決意があり、豊富な知識をもつ素晴らしいコミュニケーションの専門家がこの職務には必要だ」
FOXニュースといえば、トランプがひいきにしている保守系メディアだ。その人気番組の看板ホストがなぜこんなことを公言しているのか。
それはスパイサーが大統領からの信頼を失っているから。ほんの一部だが、スパイサーのこれまでの失態を振り返ってみよう。
・初めて開催したホワイトハウスでの記者会見で、メディアへの敵対姿勢をむき出しにし、「大統領就任式の観客数は過去最大だった」と嘘をついた。
・4月、シリアのアサド政権が化学兵器を使用したとされる問題に関連して、「ヒトラーでさえ化学兵器を使わなかった」と発言して世界を驚愕させた。
・コミー解任に関して記者らが外で待ち構えるなか、二転三転するドタバタの対応となり(米ニューズウィークは「スパイサーがメルトダウンを起こした」と形容)、さらには数分間、ホワイトハウスの植木に身を隠した。
スパイサーの仕事ぶりについては、CNNが2月、トランプが落胆していると報じており、更迭が取り沙汰されるのは今回が初めてではない。しかし報道によれば、トランプはコミー解任後の激しい抗議に関して、責任をスパイサーに押しつけようとしているという。
では、名前の挙がったキンバリー・ギルフォイルとはどんな人物なのか。
ギルフォイルがFOXニュースに加わったのは2006年。元サンフランシスコ市長であり、現在はカリフォルニア州副知事を務めるギャビン・ニューサム(民主党)の元妻としても有名だ(2006年に離婚)。
米ニューズウィークによれば、ギルフォイルはバラク・オバマ前政権時、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領のような独裁的なリーダーが必要だと発言したことがある。
FOXニュースの一員として、選挙期間中、何度もトランプにインタビューしている。彼女のツイートを見ても、トランプのツイートを頻繁にリツイートしており、おそらく覚えがめでたいのだろう(ただし、SNLのスパイサーのパロディ動画〔下〕もリツイートしているが)。
⚡️ "Melissa McCarthy cruises down midtown New York in Sean Spicer avatar"https://t.co/PgMcjKzFLB— Kimberly Guilfoyle (@kimguilfoyle) 2017年5月12日
トランプ政権の発足時にも広報チームに加わると噂になったことがあるが、ニューヨーク・タイムズの5月12日の記事によれば、トランプ自身が最近、ギルフォイルの名を挙げていたという。
ギルフォイル自身は15日、こうも語っていた。「ショーン・スパイサーはとても良い人で愛国者。公職に身を捧げている。彼の職務はとても難しい仕事だ。成功を願っている」
なるほど、模範的な回答だ。スパイサーよりはましなメディア対応ができるかもしれない。
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
トランプ米政権が揺れに揺れている。今に始まったことではないように思えるかもしれないが、連邦捜査局(FBI)のジェームズ・コミー前長官の解任劇を受け、弾劾や辞任といった言葉が盛んに飛び交うようになった。
ドナルド・トランプにとって、大統領就任以来、最大の危機といっていいだろう。
【参考記事】トランプ降ろし第3のシナリオは、副大統領によるクーデター
【参考記事】ニクソンより深刻な罪を犯したトランプは辞任する
【参考記事】トランプ勝利を予測した教授が説く「大統領弾劾」シナリオ
逆風が吹くなか、FBI長官の後任人事も難航しているようだ。報道によれば、有力候補とされた2人――共和党上院議員と連邦高等裁判所判事――が5月16日、指名受諾に消極的な姿勢を示したという。
一方で、もうひとつの職務では、後任候補の名が挙がり始めた。まだ現職は辞任していないにもかかわらず。
ショーン・スパイサー大統領報道官だ。閣僚ではないものの、今やアメリカ人なら誰もが知っているであろう政権スタッフである。報道官としての失態を何度も批判され、米NBCの人気コメディ番組「サタデー・ナイト・ライブ(SNL)」ではスパイサーのパロディが人気を博している。
【参考記事】サタデー・ナイト・ライブに「スパイサー報道官」が笑劇デビュー!
15日、FOXニュースのニュース・トーク番組「ザ・ファイブ」のホストの1人であるキンバリー・ギルフォイルが、自らがスパイサーの後任候補となっていることを明かした。ベイエリア・ニュースグループの取材に、ホワイトハウスの報道官、もしくは他の広報職にという可能性が「多くの人に取り沙汰されて」おり、トランプ政権とも話していると語ったのだ。
「私は愛国者だし、もし国に仕えることになれば名誉なことだ」と、ギルフォイルは言う。「興味深い仕事、やりがいのある仕事だと思う。強い決意があり、豊富な知識をもつ素晴らしいコミュニケーションの専門家がこの職務には必要だ」
FOXニュースといえば、トランプがひいきにしている保守系メディアだ。その人気番組の看板ホストがなぜこんなことを公言しているのか。
それはスパイサーが大統領からの信頼を失っているから。ほんの一部だが、スパイサーのこれまでの失態を振り返ってみよう。
・初めて開催したホワイトハウスでの記者会見で、メディアへの敵対姿勢をむき出しにし、「大統領就任式の観客数は過去最大だった」と嘘をついた。
・4月、シリアのアサド政権が化学兵器を使用したとされる問題に関連して、「ヒトラーでさえ化学兵器を使わなかった」と発言して世界を驚愕させた。
・コミー解任に関して記者らが外で待ち構えるなか、二転三転するドタバタの対応となり(米ニューズウィークは「スパイサーがメルトダウンを起こした」と形容)、さらには数分間、ホワイトハウスの植木に身を隠した。
スパイサーの仕事ぶりについては、CNNが2月、トランプが落胆していると報じており、更迭が取り沙汰されるのは今回が初めてではない。しかし報道によれば、トランプはコミー解任後の激しい抗議に関して、責任をスパイサーに押しつけようとしているという。
では、名前の挙がったキンバリー・ギルフォイルとはどんな人物なのか。
ギルフォイルがFOXニュースに加わったのは2006年。元サンフランシスコ市長であり、現在はカリフォルニア州副知事を務めるギャビン・ニューサム(民主党)の元妻としても有名だ(2006年に離婚)。
米ニューズウィークによれば、ギルフォイルはバラク・オバマ前政権時、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領のような独裁的なリーダーが必要だと発言したことがある。
FOXニュースの一員として、選挙期間中、何度もトランプにインタビューしている。彼女のツイートを見ても、トランプのツイートを頻繁にリツイートしており、おそらく覚えがめでたいのだろう(ただし、SNLのスパイサーのパロディ動画〔下〕もリツイートしているが)。
⚡️ "Melissa McCarthy cruises down midtown New York in Sean Spicer avatar"https://t.co/PgMcjKzFLB— Kimberly Guilfoyle (@kimguilfoyle) 2017年5月12日
トランプ政権の発足時にも広報チームに加わると噂になったことがあるが、ニューヨーク・タイムズの5月12日の記事によれば、トランプ自身が最近、ギルフォイルの名を挙げていたという。
ギルフォイル自身は15日、こうも語っていた。「ショーン・スパイサーはとても良い人で愛国者。公職に身を捧げている。彼の職務はとても難しい仕事だ。成功を願っている」
なるほど、模範的な回答だ。スパイサーよりはましなメディア対応ができるかもしれない。
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部