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セックス、ピストル、ストリップ──ベルリン警察が公共の場で乱行

ニューズウィーク日本版 2017年7月3日 16時30分

ドイツのハンブルクで7月7日・8日の両日に開催されるG20(20カ国・地域)首脳会議の警備にあたるためにドイツ全国の支部から警官がハンブルク入りしていたが、ベルリン警察の一部が公共の場で不適切な行為を行ったため、220人以上の警官がハンブルク当局によって解任され、ベルリンに送り返される事態となった。

早朝シフトの部隊が午前3:30からの任務につくなか、非番のベルリン警察の酒宴は午前6:30まで続いた。エスカレートした一部の警官たちが、机上でピストルを振り回しストリップ、宿舎の外部フェンスに放尿、果てはフェンスのところで性交などの乱行を繰り返した。

スキャンダル続きのベルリン警察

旧ハンザ同盟国の美しい港町ハンブルクは、同時にドイツ屈指の赤線地帯があることでも知られている。歓楽街のレーパーバーンは、無名時代のビートルズが不眠不休で数々のステージをこなしていたことで有名だ。サミットを目前に控え、ハンブルクには1万5千人の警察官が集結していたが、そんなハンブルクの娯楽事情もあってセキュリティが強化されていた。

全国から集まった警官たちは、ハンブルク北部約70キロの村にある旧難民収容施設に宿泊していた。ベルリン警察のパーティー好きの噂は事前に知れ渡っていたようだ。ハンブルク当局は宿舎の警備員に、ベルリン警察に特別な注意を向けておくよう要請。問題の週末は少なくとも2人の警官の誕生日祝いで、300人近くが屋外で騒いでいたという。乱行が始まると地元住民からの苦情が相次ぎ、またシュピーゲルによると、ノルトライン・ヴェストファーレン州(ケルン、ボン、デュッセルドルフなどのある州)の警察部隊が事態を報告した。

警官たちは前述のとおり公共の場で不適切な行為を行ったほか、宿舎の器物破損も報告されている。宴の後、プレハブの簡素な小屋の外には椅子が乱暴に積み上げられ、酒の空き瓶が散乱していた。実際に淫行に耽ったのが何人かは不明だが、ハンブルク当局は3部隊の約220人の全員の任務を解き、即刻ベルリンに送り返した。

ベルリン警察ではこのところスキャンダルが相次いでいる。数ヶ月前には警察学校内である兄弟がドラッグを販売し、その後は訓練生が監視カメラを盗んで転売しようとしたことが発覚した。さらに研修生がポルノビデオに出演し免職になるなど、数々の失態をベルリナー新聞が特集している。

【参考記事】ナチスに心酔するドイツ軍兵士がシリア難民になりすましてテロを計画

市民は意外と好意的?

送還された警官はタブロイド紙に「何も壊れなかった。誰も怪我しなかった。誰にも迷惑もかけていないし暴力もふるっていない。翌日は全員勤務可能だった」とし、なぜ大騒ぎになるのかわからないとコメントしている(シュピーゲル)。



また、フェイスブックのベルリン警察のページでは、くだけた口調で、警官も制服の中身は「人間」であるとし、ふだん激務に励む若者の心境を想像するよう訴えかけている(ちなみに追伸でノルトライン・ヴェストファーレン警察に謝罪している)。言い訳がましく聞こえるが、コメント欄をみると市民が警官の人間的な側面に意外と理解を示していることがわかる。

とはいえ、公共の場でセックスしたり、職務用の武器を振り回したりすることは「息抜き」の範囲とは言えないだろう。

火曜日にはベルリン警察のスポークスマン、トーマス・ノイエンドルフがTVニュースチャンネルN24のインタビューで、「テレビがなくて退屈だった」と理解を示しながらも「狂ったように騒いで、公共の場でヤルことは許されない」と、スラングを用いて困惑を表した。一方、ベルリナー・モルゲンポストは「修学旅行ではない」と糾弾し、サミットの警護という最高レベルの激務についているその他大勢の警察官への同情を見せている。

送り返された警察官たちはベルリンで再び職務についている。


モーゲンスタン陽子

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