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トランプ政権を去った人物リスト 在任10日はもう1人いた

ニューズウィーク日本版 2017年8月1日 18時46分

<出入りの激しすぎるトランプ政権。これまでホワイトハウスを後にしたのは、この人たち>

今年1月20日に誕生したトランプ米政権。半年ほどしか経っていないが、その迷走人事は世界で知られるまでになった。ニューヨーク・タイムズやロサンゼルス・タイムズなどを参考に、7月までにドナルド・トランプに別れを告げた主要人物たちを振り返りたい。

サリー・イエイツ
司法長官代理
在任10日、1月30日解任。
バラク・オバマ前大統領の指名を受け就任した。トランプ政権に移行して早々に、難民とイスラム教徒の多い国の出身者の入国を禁止する大統領令を擁護しないよう、司法省の弁護士に働きかけていたのをトランプに邪魔だと思われた。トランプ側は、イエイツが「裏切った」と声明を発表。一方イエーツは書簡で「大統領令が合法であるとの確信もない」としていた。

マイケル・フリン
米大統領補佐官(国家安全保障担当)
在任22日、2月13日辞任。
ロシア当局者との接触について嘘をついたとして、就任後1カ月も経たずに大統領補佐官( 安全保障担当)を辞任した。トランプはフリンを「いい奴なんだ」と言って、FBIに捜査中止を要請していた。フリンの政権入りについては、バラク・オバマ前大統領も採用しない方がいいと警告していたという。

ジェームズ・コミー
第7代連邦捜査局(FBI)長官
在任109日、5月9日解任。
出張先のロサンゼルスで、テレビに流れる自分の解任を伝えるニュースを耳にしたコミー。冗談と思ったようだが、これはリアルだった。もともと大統領選でロシア当局がトランプ陣営と結託して介入したのではないかという疑いで捜査を進めており、解任数日前に捜査の拡大を要請していたという。CNNなどマスコミは「トランプとロシアの癒着に関する捜査妨害だ」と報じた。

マイク・ダブキ
広報部長
在任85日、5月30日辞任を発表。
ショーン・スパイサー大統領報道官の業務を軽くするために、ホワイトハウスのプレスや広報関連業務を行う部門のディレクターを3月から務め、主にホワイトハウスのメッセージ戦略を担当していた。ダブキは声明で、「大統領や政権のために働くことはとても光栄だった」と発表したが、辞任の理由は明らかにしていない。

【参考記事】CIAを敵に回せばトランプも危ない
【参考記事】コミー前FBI長官が反トランプの議会証言 何がわかったのか



ショーン・スパイサー
大統領報道官
在任182日、7月21日辞任。
ホワイトハウスの大統領報道官と広報部長(一時期)を兼任しトランプ政権の顔として知られたスパイサー。ジョージ・W・ブッシュ政権でメディア・広報担当通商代表補佐官、共和党全国委員会でも広報部長を務めるなど、メディア対応ではベテランのはずだったが、度重なる失言がまずかった。政権発足当初から、就任式の参加者を実際の人数より多く発表して、炎上。「今後は嘘をつかない」と言っていたが、「ヒトラーでさえ化学兵器を使わなかった」発言で、大問題に。ワシントン・ポストによれば、安倍晋三首相を「安倍大統領」と間違えたこともある。

ラインス・プリーバス
大統領首席補佐官
在任189日、7月27日辞任。
関係筋によると、医療保険制度改革(オバマケア)改廃など、主要な政策課題の立法化が進まない事態を受けて、トランプがプリーバスに対する信用を失ったという。スカラムッチから「妄想障害」があると批判されたり、辞任前は散々な状況だった。事実上の更迭とされる。トランプは「ラインスはいい奴だ」とコメントしている。

アンソニー・スカラムッチ
大統領報道官
在任10日、7月30日解任を発表。
スパイサーの後任として、彗星のごとく現れ、そして消えていった。歯に衣着せぬ毒舌で、「理論的なトランプ」として注目を集めたが、政権内部を批判するスカラムッチの人事には反対の声もあったという。「私は時に乱暴な言葉を使う。トランプ氏の政策実行に向けた闘いは諦めない」と意気込んでいたが、その成果を見ることはなくなってしまった。後日談で、プリーバス氏の後任として大統領首席補佐官に就任したジョン・ケリー前国土安全保障長官が就任初日に、スカラムッチの解任を要請したことがわかった。

【参考記事】ホワイトハウス人材難 「変人」トランプと働きたい人なんていない
【参考記事】「ナチスでさえ化学兵器は使わなかった」レベルの大嘘を止める方法

ロシアとの癒着を巡る捜査が、自分の娘婿のジャレッド・クシュナー大統領上級顧問にまでおよび、窮地ともいえるトランプは、政権スタッフの刷新で政治的な打撃を避けようとしている。ただ、既存スタッフを辞めさせるのは簡単でも、一緒に働いてくれる有能な人材は果たして見つかるのだろうか。今後の交代劇も要注目だ。

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ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

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