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白人至上主義と反対派の衝突事件に陰謀説が浮上?

ニューズウィーク日本版 2017年8月14日 18時50分

<白人至上主義への批判、トランプの毎度の失敗を伝える報道が目立つが、今はフェイクニュースの時代。1つの意見に流されることを危険視する声も>

バージニア州シャーロッツビルで8月11日夜から続いた白人至上主義者と反対派の衝突は、多数の負傷者を出し、州知事の非常事態宣言発動にまで発展するなど、アメリカに混乱を巻き起こしている。いつものようにドナルド・トランプ米大統領の対応を批判する報道が続いているが、その影で衝突事件への陰謀説まで出てきているようだ。

定番のトランプの粗相?

シャーロッツビル当局によれば、この衝突で人だかりに車が突入し1人が死亡。警戒中の州警察のヘリが墜落し警官2人も死亡した。トランプは12日に会見で、衝突について「ひどい憎悪、偏見、暴力」を非難したが、当時、現場に集まっていた白人至上主義団体「KKK(クー・ クラックス・クラン)」やオルト・ライト(オルタナ右翼)、ネオナチといった過激派の名指しは控えた。

We must remember this truth: No matter our color, creed, religion or political party, we are ALL AMERICANS FIRST. pic.twitter.com/FesMiQSKKn— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) 2017年8月12日

(トランプの会見)


死亡した女性が反対派に参加していたことから、民主党はもちろん与党・共和党内部からも批判を招いた。ホワイトハウスは13日になって、トランプの声明は「白人至上主義者やKKK、ネオナチなど全ての過激派グループが当然含まれている」と釈明した。

しかし、世論の怒りは収まらない。トランプの長女イバンカ・トランプはツイッタ―でレイシズムやネオナチを非難するメッセージを発したが、市民の反応は辛辣だ。「対応が遅すぎる」、「あなたは大統領でも、ファーストレディでもない」など怒りのコメントが溢れた。

1:2 There should be no place in society for racism, white supremacy and neo-nazis.— Ivanka Trump (@IvankaTrump) 2017年8月13日

(「社会にはレイシズム、白人至上主義、ネオナチの場所はない」)


【参考記事】黒人を助け、同性愛者の入会もOK? 差別結社KKKの本当の正体
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フェイクニュースに踊らされるな

しかしながら、分断と対立の国アメリカでは様々な意見が出ている。ラジオ番組の人気ホストで右派のアレックス・ジョーンズは、世論が極右への批判一辺倒に偏ることに疑問を投げかける。ジョーンズは9.11同時多発攻撃を内部関係者の犯行だと主張するなど、政府の陰謀説を説くことで知られている。

そして今回の襲撃もリベラル派の策略だと指摘している。ジョーンズは、12日に群衆の中へ自動車で突っ込んだとして逮捕された、オハイオ州モーミー在住のジェームズ・フィールズが、米中央情報局(CIA)に送り込まれたという。

「CIAが群衆めがけて車を進ませた」、「(死亡した警察官が乗っていた)ヘリを墜落させたのはCIA」など、ネット掲示板4chanには、リベラル派の関与を疑う声が溢れている。今回の襲撃事件はリベラル派が仕掛けた、極右への批判の風潮を強めるための策謀という見方のようだ。

【参考記事】オルト・ライト(オルタナ右翼)とは何者か
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オバマのメッセージ

トランプ批判や陰謀説で騒がしいところに、バラク・オバマがメッセージを発信した。衝突の同日、前回のツイートから24日ぶりに突如投稿したのは、反アパルトヘイト闘争の「象徴」の故ネルソン・マンデラ南アフリカ大統領の言葉を引用したものだった。

"No one is born hating another person because of the color of his skin or his background or his religion..." pic.twitter.com/InZ58zkoAm— Barack Obama (@BarackObama) 2017年8月13日

(「肌の色や育ち、宗教で、他人を憎むために生まれた人間などいない。人は憎むことを学ぶのだ。もし憎しみを学べるのなら、愛も学べるだろう。愛は憎しみよりも自然に人間の心に届く。――ネルソン・マンデラ」)


様々な憶測が飛び交っているが、3人が犠牲になったことは事実だ。そしてその3人が戻ることはない。オバマのメッセージが党派や人種を超えて届くよう祈るばかりだ。


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ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

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