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現代女性も憧れる「ダイアナヘア」はこうして生まれた

ニューズウィーク日本版 2017年8月31日 18時20分

<「 People's Princess」の異名で、世界中から愛された彼女の影響は計り知れず......トレードマークのショートヘアはこうして生まれた>

ダイアナに思いを馳せ、真先に思い浮かぶのはショートカットの髪型「ダイアナヘア」の彼女だろう。2014年に発表された、歴代のヘアアイコンに関する調査結果でダイアナの髪型は4位にランクインするなど、現代女性にとってもいまだに憧れの存在であることがわかる。



没後20年を迎えるも、その魅力は色褪せない REUTERS/Dylan Martinez DM/CMC/PN


「ダイアナヘア」の誕生は1990年に遡る。ダイアナはそもそも1981年の結婚当初は、肩につくくらいのミディアムヘアだったが、そのイメージを霞ませてしまうほど、「ダイアナヘア」は流行し、亡きあとも「アイコン」として定着した。

「ダイアナヘア」の生みの親は、スコットランド出身のヘアスタイリスト、サム・マックナイト。80年代からイギリス版ヴォーグ誌を中心に活躍し、ケイト・モスやアギネス・ディーンといったスーパーモデルのスタイリングを手掛けたことで知られる業界の重鎮で、数々の有名誌のカバーやハイブランドのショーに携わってきた。1990年に初めて一緒に仕事をして以来、ダイアナと親しく関わるようになる。

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モデルはサッチャーだと思っていたら...

1990年12月号の英版ヴォーグ誌の撮影現場は緊張で包まれていた。ファッションフォトの巨匠、パトリック・デマルシェリエのヘアメイクチームに所属していたマックナイトは、撮影の被写体を知らされておらず「重要な人物」が来るとだけ聞かされていた。ちょうど鉄の女マーガレット・サッチャー英首相の退任と重なるタイミング。マックナイトは、サッチャーが来ると思っていたと、後に明かしている。

しかしこの予想は外れ、撮影現場に現れたのはダイアナ妃だった。驚きの中、スタイリングに取り掛かったマックナイト。ここでの提案が「ダイアナヘア」を生み出すきっかけとなる。マックナイトは、ダイアナが着けたティアラの下で髪の毛を抑え、大胆なショートヘアに見えるようセットした。

#timelessstyle by #PrincessDiana's stylist Anna Harvey #newbookhttps://t.co/IIHuy5l3gH #vogue #fashion #style— Sherna Khambatta (@ShernaKhambatta) 2017年1月8日



ファッション誌バニティ・フェアによると、撮影後のダイアナはすっかり満足した様子で、去り際に「あなただったら、私の髪をどうする?」と尋ねた。マックナイトはすぐさま「短く切ってしまう」と答えると、なんとその場でカットすることになった。かの有名な「ダイアナヘア」誕生の瞬間だ。

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ダイアナを最後までサポート

ダイアナの信頼を獲得したマックナイトは、最後までヘアスタイリングを一任され、毎週ダイアナの元を訪問していた。

ファッション誌「W magazine」の2017年6/7月号のインタビュー記事でマックナイトは、これまでで最も記憶に残る3つの旅について明かしている。その最後に挙げたものはダイアナに同行したインドだ。コルカタのマザーテレサを訪ねた後、世界遺産タージ・マハルをプライベートで回った。「私は彼女の世界に踏み込める特権があった」と語っている。

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ダイアナとマザー・テレサが会う最後の機会となった。マザー・テレサはダイアナが事故にあった5日後に亡くなった(1997年6月18日)DATE IMPORTED-REUTERS


ダイアナのスピリットを今に伝える

ヘアスタイル以外に、ダイアナのファッションアイコンとしての評価も忘れることはできない。今年2月から、ケンジントン宮殿では、ダイアナのスタイルにフォーカスした展覧会「ダイアナ 彼女のファッションストーリー」展が開催され、愛用の衣装を展示。服装をコミュニケーションツールと捉えていたダイアナの「スタイル」に触れることのできる貴重な機会だ。

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さらに今年4月には同宮殿の庭に、彼女のライフスタイルにヒントを得た庭園「ホワイトガーデン」が開園した。ダイアナの命日に先立つ8月30日にここを訪れたのは、ダイアナの息子、ウィリアム王子とヘンリー王子、そしてキャサリン妃の3人。庭園には「ダイアナ 彼女のファッションストーリー」展で展示される衣装の色に合わせて、白い花を中心にダイアナが大好きだったバラやユリ、グラジオラスなど1万2000本が植えられた。

ダイアナが遺したものは、髪型からファッション、言葉まで、あらゆる分野に及ぶ。20回目の命日の今日(31日)は、その欠片に触れ、思いを馳せる良い機会ではないだろうか。

「見返りを求めず、ただ優しさを振りまくこと。そうすればいつか、あなたにも同じことを誰かがしてくれるから」―――ウェールズ公妃ダイアナ 

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ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

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