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運転もさせないほど女性軽視だったサウジ、次の手はセクハラ対策

ニューズウィーク日本版 2017年10月2日 19時0分

<世界で唯一、自動車運転を禁じるほど女性の人権が制限されていたサウジアラビア。次の照準はセクハラ対策のようだが、飛躍しすぎではないか......>

女性の自動車の運転が解禁となるサウジアラビアで今度は、セクシャルハラスメントを犯罪とする法案が成立する見込みだ。

地元メディアがこのニュースを伝えた9月28日(現地時間)は、女性の運転を認める法改正の国王令が出されてからわずか2日後。サルマン国王が内務相に、セクシャルハラスメントを犯罪とし加害者に罰則を課す法案の作成を命令。現地大手メディアのオカ―ズ新聞によると、サルマン国王は60日以内に法律を起草するよう指示したという。

【参考記事】国王が譲位!? 若き皇太子と揺れ動くサウジアラビア

深刻なセクハラ被害

政府の勅令とみられる文書によるとこの法案は、性的嫌がらせなどの行為を断罪し、さらにその行為を抑制するために罰則を設けるようだ。

実はサウジアラビアは過去にもセクハラ対策に乗り出していた。アメリカの中東情報サイト「アル・モニター」によると、2014年に女性への口頭での嫌がらせや身体的嫌がらせに対処する法案が検討されていたという。この草案では、最大50万リヤル(約1500万円)の罰金、最長5年間の懲役が検討されていた。

ニュースサイト「Sabq news outlet」が掲載した2014年の調査の結果によると、18~48歳のサウジアラビア人女性の80%近くがセクハラ被害を経験している。国際研究機関インスティテュート・フォー・インターナショナル・リサーチ(ロンドン)のデータでは、サウジアラビアでセクハラ被害に遭った女性の割合が2014~2016年に11.4%増加したと報告されている。

新しい法案の罰則がどの程度になるかなど、詳細は明らかになっていないが、サウジアラビアの女性たちはユーモアを交え喜びの声を上げている。

#الملك_يامر_بنظام_ضد_التحرشMood: pic.twitter.com/bD2elJtwnY— زهرا غندوره♎ (@zahra20a) 2017年9月28日


(セクハラ対策法案を起草する報道を受け、SNSに多くの投稿が)

قتلتني#الملك_يامر_بنظام_ضد_التحرش pic.twitter.com/k3rH7h2Ahy— منال مسعود الشريف (@manal_alsharif) 2017年9月29日


(男性方へ、「ハエは覆われたキャンディにはたからない」とか馬鹿なことばかり言ってると、女性がヒジャブを着ても着ていなくても、あんたたちがうるさいハエだと思われるわよ)



驚きのルールはまだある

それでもまだ、サウジアラビアには女性の行動を制限するルールが多く残る。

■試着室を含め、店舗で服を試着してはいけない

■公共の場で食事をする場合、服の下に食べ物を隠して食べる

■旅行に出る際には父や夫など保護者である男性の許可が必要

■相続の際、女性の取り分は男兄弟の半分だけ

■女性は家族専用エリアがないレストランで外食してはいけない

*2017年10月10日号「サウジ女性の自由を奪う12の掟」より抜粋。

これ以外にも、女性の人権を侵害するような掟が存在するというのが現状だ。自動車運転にセクハラと、出し抜けにでも対策に乗り出したのは大きな一歩だろうが、女性にとってはまだまだハードルが多そうだ。

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ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

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