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トランプ自慢の別荘「マールアラーゴ」から客が流出

ニューズウィーク日本版 2017年11月20日 17時56分

<かつてはパームビーチ社交界の頂点にあったリゾート施設だが、トランプが白人至上主義を擁護するような態度を見せてからまともな客は去り、おかしなのが増えている>

フロリダ州パームビーチにあるドナルド・トランプ米大統領の別荘「マールアラーゴ」から客が流出し、パームビーチのライバルリゾートにシフトしている。

きっかけはこの夏、バージニア州シャーロッツビルに集まってデモをした白人至上主義者をトランプが非難しなかったこと。赤十字やベセスダ慈善病院など19の有力慈善団体がマールアラーゴでの催しをキャンセルし、一部は競合リゾートのブリーカーズに移ってしまったと、米ワシントンポストは11月18日に報じた。

豪華なマールアラーゴはかつて、パームビーチ社交界の頂点に君臨していた。オーナーが米大統領となればなおさらだった。だがマールアラーゴのリゾート会員は今、トランプのせいで友達を呼んでも来てもらえなくなり、よそのリゾートに予約せざるを得なくなっている。

「高額のパーティーチケットを買い、ダンスシューズを履いて夜遊びに行きたい人は今でも大勢いる。ただ、マールアラーゴではなくブリーカーズに行くようになった」と、パームビーチ・デイリー紙のシャノン・ドネリーは言う。ブリーカーズはマールアラーゴのライバルだ。

マールアラーゴ側は、経営にトランプの言動の影響などないと言う。「ビジネスは好調だ。良いシーズンになるだろう」と、支配人は地元紙に語った。

銃乱射は「なかった」と信じる人々

パームビーチの富裕層がより政治的に中立な場所に移動していくにつれて、マールアラーゴにはトランプ支持者が大挙して集まるようになった。

この冬マールアラーゴでパーティーを計画している者のなかには、右派のテレビ伝道師パット・ロバートソンや、トランプを支持する裕福な女性の会「トランペッツUSA」などがある。

先週開かれた青年共和党全米連盟のパーティーでは、トランプの応援団長を自任する歌手ジョイ・ヴィラがスピーチをした。ヴィラは陰謀論者でアメリカ第一主義者で、2012年にコネチカット州サンディフック小学校で28人が殺された銃乱射事件は「なかった」と言うテレビ番組ホスト、アレックス・ジョーンズの支持者でもある。

「私はアレックス・ジョーンズから目が離せない」と、ヴィラはビデオで言う。「私たちはポピュリスト。私たちはナショナリスト。アメリカのことを第一に考え、誰をも恐れない」



テレビ伝道師パット・ロバートソンのクリスチャン・ブロードキャスト・ネットワークも、マールアラーゴで孤児のための慈善パーティーを開く。マールアラーゴで何かをやるために立てた企画だという。

トランペッツUSAを率いるトニ・ホルト・クレイマーは、来年1月にマールアラーゴでディナーの会を催す。一枚300ドルのチケットの売り上げのほとんどは、マールアラーゴに寄付される。

2月には、親イスラエル団体が700人を招待して「イスラエルに関する真実」パーティーを開く。チケットは一枚600ドル。主催者は、親イスラエルのトランプのリゾートだからこそマールアラーゴを選んだという。

何と言ってもマールアラーゴは、外国首脳と食事をしている最中に北朝鮮が弾道ミサイルを発射したときの慌ただしい対応を目撃できる他にない名所だ。公共のレストランでディナー中だったトランプと日本の安倍晋三首相の慌てぶり、テーブルに広げられた国家機密などを、他の食事客は大興奮で写真を撮り、ネットに垂れ流した。

トランプは21日からの6日間、感謝祭でマールアラーゴに滞在する。トランプ支持者にはまたチャンスが巡ってくるかもしれない。


ニコル・グッドカインド

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