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イクメン夫を見分ける6つの条件

ニューズウィーク日本版 2017年11月21日 18時40分

<フルタイムで共働きでも家事・育児は妻に任せきり――未来の夫選びで失敗しないためのポイントとは>

自分と同じように古い映画が好きでハイキングが趣味の男性を、スマホのデートアプリを使って探す――。人生のパートナー探しという意味ではそれもいいだろう。でも、良きパパにもなりそうな男性を探したいなら、「洗濯物の半分を畳んでくれるかどうか」という視点が重要になるはずだ。

アメリカでは、家事と育児の大部分が相変わらず女性の役目だ(女性の同性カップルのほうがもっと公平に分担している)。フルタイムの共働き世帯で、家の補修や芝刈りなどの仕事まで家事に含めた場合でも、だ。

最近の父親たちはその父親や祖父の世代に比べれば、育児や家事に参加する。それでも十分と言うにはまだまだ程遠い。

筆者は15年、当時勤務していたオハイオ州立大学で、フルタイムの共働きカップル182組を対象に調査を実施。その結果、結婚当初は平等だった家事分担が、子供が生まれた後に変化していた。

1週間に家事をする時間は男性が5時間減少し(女性は変わらず)、育児をする時間は男性が14時間に対して女性は22時間だった。この結果と一致するように、全米調査報告の推計でも妻は夫に比べて育児に約2倍、家事に1.9倍の時間を費やしている。

では、家事をより公平に分担してくれるイクメン男性を選ぶには、どこに注目すればいいのだろう。男女の家事分担についての数十年来の研究成果に基づき、男性のイクメン度を見極めるための6つのポイントを紹介しよう。

1. 教育水準が高い

高学歴(大卒以上)の男性のほうが、長時間働いているにもかかわらず子育てを妻と平等に分担する傾向がある。

理由の1つは、高学歴の男性ほど早めに仕事を切り上げて子供を迎えに行くなど融通の利く働き方ができるから。また、中流や中流の上の男性のほうが子供の教育を優先しなければという意識が強く、子供の興味や才能を引き出すために時間をかけることに意欲的でもある。

2. 役割分担についてどう考えているか

男女の役割分担についての男性の考えが、実際の家事分担の公平さを大きく左右する。例えば、夫が育児をもっぱら母親の役目だと考えている場合、妻は働く機会が減り、働いても勤務時間が短くなる。逆に、妻の側が家事分担は平等にすべきだと考えていても、夫の家事や育児への貢献度にはあまり影響しない。

実際、ほとんどの男性は進歩的な考えを持ち、家事を公平に分担すべきだと考えている。私たちが15年に実施した調査では、最も高学歴の男性グループは子供が生まれたら育児を公平に分担するつもりだと答えた。

興味深いのは、家事と育児の公平な分担を大いに重視すると答えた男性がこぞって、実際以上に貢献している気になっていた点だ。例えば、1日に家事と育児に費やす時間は自己申告では合計約4時間15分だったが、実際の記録では約1時間45分だった。自分の貢献度を過大評価する傾向は女性にも見られたが、男性ほどではなかった。



3. 稼ぎ頭はどっち?

夫婦間の収入バランスは家事の分担率を大きく左右する。フルタイムの共働き世帯の場合、男性は自分が稼ぎ頭である場合のほうが家事や育児を平等に分担しなくていいと答え、実際も妻任せにしがちだ。

一方、女性が稼ぎ頭の場合はより平等で、妻より収入が少ない、あるいは働いていないなど妻の稼ぎに頼っている男性は、そうでない男性に比べてはるかに育児を担う時間が多い(それでもまだ妻よりは少ない)。

4. 妻の仕事も重要

妻が長時間働き、学歴も収入も夫より上という世帯のほうが、男性が育児をする時間は増える。だが家事となると事情が違い、妻の収入が多いほど夫の家事分担が大幅に増えるわけではなく、妻がこなす家事が大幅に減る。

例えば、掃除や食事の後片付けで手抜きする、食事をテイクアウトにしたりお手伝いさんを雇ったりする、といった具合だ。夫が家事を引き受ければ理想的かもしれないが、「外注」という方法でも女性の家事が減るのは格差解消に役立つだろう。

5. 「女の仕事」をしている夫のほうが家庭で協力的

夫の職業も重要だ。ノートルダム大学のエリザベス・マクリントック教授によれば、看護や人事など女性中心の職種で働く男性は、男女混合あるいは男性中心の職種で働く男性に比べて家事分担率が最も高い。

女性中心の分野で働くことを選ぶ男性のほうが、男女の役割について進んだ考えを持っているからかもしれない。1日中女性に囲まれて仕事をしているので、妻への思いやりが増すせいとも考えられる。

6. ママが留守だとパパが頑張る

労働者階級でよくあるように、夫は夜勤、妻は昼間働くなど、夫婦で仕事の時間がずれる世帯のほうが、夫がお弁当を作ったり食器を洗ったりする時間が大幅に増える可能性が高い。夫が家にいるときは妻は仕事でいないため、「男手一つ」で子育てをする時間もそうでない男性よりはるかに多い。

労働者階級の男性のほうが男女の役割について保守的な考えを持ちがち(かつ特に男社会の業界で働きがち)ではあるが、現実問題として託児所やベビーシッターを利用すれば高くつく。結局、経済的なニーズこそが男女平等を実現する最大の武器なのかもしれない。

というわけで、家事と育児を平等に分担してくれそうな男性の特徴をあれこれ頭の中で考えてみれば、理想的なイクメンの条件は次のようになる――高学歴で進歩的な考えを持ち、女性中心の職種で働き、妻より稼ぎが少なく、妻が仕事に出ているときに家にいる時間が長い。

この条件にぴったり当てはまる男性はほとんどいないかもしれない。それでも男性がさまざまな面で家庭のことに参加する機会が増えるにつれて、洗濯物の少なくとも半分は畳む男性が増えると思いたい。

(筆者は父親と母親の役割分担、および職場での格差と差別を専門に研究している)


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