<プーチンが3月に発表した無敵の核兵器は、3・11も上回る大津波を発生させる可能性があると専門家が警告>
ロシアが誇る最も高度な最新兵器の1つ、魚雷を搭載した水中ドローン(無人機)は、放射能に汚染された津波で米沿岸部一帯を壊滅させるおそれがあると、今週専門家が警告した。
全面的な兵器刷新計画の一環としてロシアが開発したこのシステムは、この種の兵器としては威力、速度ともに最高で、画期的な性能を持つとされる。核魚雷が発射されれば、その衝撃波で2011年に日本の東北地方を襲った大地震と津波に匹敵するか、それ以上の惨事が起きるおそれがある。東日本大震災では、死者は1万6000人近く、福島第一原子力発電所の1〜3号機がメルトダウンする史上最悪クラスの核災害が起きた。
「海岸近くで20〜50メガトン級の核兵器を発射すれば、2011年の津波に匹敵するか、条件しだいではそれをはるかに上回るエネルギーを生み出せる」と、核兵器に詳しい物理学者のレッックス・リチャードソンは4月24日、米ニュースサイトのビジネスインサイダーに語った。「海底を大きく隆起させることで、高さ100メートルにも及ぶ津波を起こせる」
これには否定的な見解もある。ローレンス・リバモア国立研究所(カリフォルニア州)の核物理学者グレッグ・スプリッグスは、核爆発で津波を起こすという考えは「全くもってバカげている」と以前に語っていた。ただ、スプリッグスも、米政府が2月に発表した「核態勢の見直し」(NPR)とロシアのウラジーミル・プーチン大統領が3月1日に議会で行った年次教書演説の内容を受けて、津波を起こすための核の使用は「無駄」だとしながらも、「起こすことは可能だろう」と認めた。
3月1日の年次教書演説でプーチンが使ったシミュレーション動画
「都市バスター」の破壊力
プーチンは3月の年次教書演説で、原子力推進の水中ドローンを軍事目的で開発したと公式に認めた。既存の原子力潜水艦と比べ、原子炉のサイズは100分の1だが、威力はより大きく、最高速度は200倍にも達するという。
プーチンによると、水中ドローンは「大陸間の極めて深い海中を潜水艦の何倍もの高速で移動できる」。「静かで、操作性が高く、敵につけこまれるような脆弱性は皆無と言ってよく、これに耐えうるものは今の世界には存在しない」
愛称公募で「ポセイドン」と名付けられたこのシステムは、以前から専門家や当局者が推測していた通り、「通常弾頭だけでなく核弾頭も搭載でき、軍用機の発進拠点、沿岸の防衛施設、インフラなど多様なターゲットを攻撃できる」と、プーチンは述べた。
こうした兵器の開発計画は、2015年9月、米ニュースサイト・ワシントン・フリー・ビーコンが初めて報じた。同サイトは米国防総省筋の話として、ロシアが「何十」メガトン級もの爆発力があり、長距離を高速で移動できる、「都市バスター」と呼ばれる核魚雷搭載の潜水艦を建造中だと伝えた。米国防総省はこの計画を「カニヨン」と呼んでいた。
威力を世界にアピール?
2カ月後の2015年11月、ロシアの国営テレビNTVが「ステータス6海洋型多目的システム」という標題が付いた、核弾頭を搭載できる水中ドローンの開発資料を放映した。その後、ロシアのドミトリー・ペスコフ大統領報道官は、プーチンが軍幹部との協議のためにソチを訪問したことを伝えるニュースの中で、誤って資料が画面に映り込んだと認めたが、計画の詳細には触れなかった。
「機密情報の一部をカメラがとらえたのは事実だ。こうしたミスが二度と起きないよう、しかるべき対策をとる」と、ペスコフは当時、ロシアの通信社インタファクスに語った。もっとも、これについては、ロシア当局が開発中の兵器の威力をアピールするため意図的に公開したとの見方もある。
2017年にロシアの軍事コメンテーターであるビクトル・バラネツ元大佐が、ロシアの大衆紙コムソモリスカヤ・プラウダに、アメリカのグローバルなミサイル防衛に対する報復として、ロシアは米沿岸部の海中で核爆弾を起爆することを計画中だと述べた。
ビジネスインサイダーによると、その後この計画に関する記事は削除されたという。ロシア政府はこうした計画については真っ向から否定している。
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トム・オコナー
ロシアが誇る最も高度な最新兵器の1つ、魚雷を搭載した水中ドローン(無人機)は、放射能に汚染された津波で米沿岸部一帯を壊滅させるおそれがあると、今週専門家が警告した。
全面的な兵器刷新計画の一環としてロシアが開発したこのシステムは、この種の兵器としては威力、速度ともに最高で、画期的な性能を持つとされる。核魚雷が発射されれば、その衝撃波で2011年に日本の東北地方を襲った大地震と津波に匹敵するか、それ以上の惨事が起きるおそれがある。東日本大震災では、死者は1万6000人近く、福島第一原子力発電所の1〜3号機がメルトダウンする史上最悪クラスの核災害が起きた。
「海岸近くで20〜50メガトン級の核兵器を発射すれば、2011年の津波に匹敵するか、条件しだいではそれをはるかに上回るエネルギーを生み出せる」と、核兵器に詳しい物理学者のレッックス・リチャードソンは4月24日、米ニュースサイトのビジネスインサイダーに語った。「海底を大きく隆起させることで、高さ100メートルにも及ぶ津波を起こせる」
これには否定的な見解もある。ローレンス・リバモア国立研究所(カリフォルニア州)の核物理学者グレッグ・スプリッグスは、核爆発で津波を起こすという考えは「全くもってバカげている」と以前に語っていた。ただ、スプリッグスも、米政府が2月に発表した「核態勢の見直し」(NPR)とロシアのウラジーミル・プーチン大統領が3月1日に議会で行った年次教書演説の内容を受けて、津波を起こすための核の使用は「無駄」だとしながらも、「起こすことは可能だろう」と認めた。
3月1日の年次教書演説でプーチンが使ったシミュレーション動画
「都市バスター」の破壊力
プーチンは3月の年次教書演説で、原子力推進の水中ドローンを軍事目的で開発したと公式に認めた。既存の原子力潜水艦と比べ、原子炉のサイズは100分の1だが、威力はより大きく、最高速度は200倍にも達するという。
プーチンによると、水中ドローンは「大陸間の極めて深い海中を潜水艦の何倍もの高速で移動できる」。「静かで、操作性が高く、敵につけこまれるような脆弱性は皆無と言ってよく、これに耐えうるものは今の世界には存在しない」
愛称公募で「ポセイドン」と名付けられたこのシステムは、以前から専門家や当局者が推測していた通り、「通常弾頭だけでなく核弾頭も搭載でき、軍用機の発進拠点、沿岸の防衛施設、インフラなど多様なターゲットを攻撃できる」と、プーチンは述べた。
こうした兵器の開発計画は、2015年9月、米ニュースサイト・ワシントン・フリー・ビーコンが初めて報じた。同サイトは米国防総省筋の話として、ロシアが「何十」メガトン級もの爆発力があり、長距離を高速で移動できる、「都市バスター」と呼ばれる核魚雷搭載の潜水艦を建造中だと伝えた。米国防総省はこの計画を「カニヨン」と呼んでいた。
威力を世界にアピール?
2カ月後の2015年11月、ロシアの国営テレビNTVが「ステータス6海洋型多目的システム」という標題が付いた、核弾頭を搭載できる水中ドローンの開発資料を放映した。その後、ロシアのドミトリー・ペスコフ大統領報道官は、プーチンが軍幹部との協議のためにソチを訪問したことを伝えるニュースの中で、誤って資料が画面に映り込んだと認めたが、計画の詳細には触れなかった。
「機密情報の一部をカメラがとらえたのは事実だ。こうしたミスが二度と起きないよう、しかるべき対策をとる」と、ペスコフは当時、ロシアの通信社インタファクスに語った。もっとも、これについては、ロシア当局が開発中の兵器の威力をアピールするため意図的に公開したとの見方もある。
2017年にロシアの軍事コメンテーターであるビクトル・バラネツ元大佐が、ロシアの大衆紙コムソモリスカヤ・プラウダに、アメリカのグローバルなミサイル防衛に対する報復として、ロシアは米沿岸部の海中で核爆弾を起爆することを計画中だと述べた。
ビジネスインサイダーによると、その後この計画に関する記事は削除されたという。ロシア政府はこうした計画については真っ向から否定している。
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