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アサンジ、エクアドル大使館退去も近い?

ニューズウィーク日本版 2018年7月30日 18時15分

<対欧関係の悪化を恐れるエクアドルは早く追い出したがっている。次にアサンジを待つものは何か。遂にアメリカに移送されるのか>

告発サイト「ウィキリークス」の創設者であるジュリアン・アサンジの立場は厳しくなりつつあるようだ。スウェーデン当局から性的暴行容疑で起訴されたアサンジは、2012年以降ずっと在ロンドンのエクアドル大使館に居座っている。

だがエクアドルのレニン・モレノ大統領はスペイン訪問中の7月27日、アサンジは将来的に大使館を出なければならないだろうと述べた。

6月に英サンデー・タイムズは、エクアドルとイギリスの高官がアサンジの処遇について協議し、いったん認めた亡命をエクアドル政府が取り消した後に大使館からアサンジを退去させる方法について検討したとも伝えている。

アサンジに近い筋もロイター通信に対し、状況はアサンジにとって思わしくないと語っている。

スウェーデンでの性的暴行をめぐる起訴はすでに取り下げられているにもかかわらず、アサンジは大使館からの退去を拒んでいる。保釈条件を破ったためにイギリスの警察から追われる身であることに変わりはないからだ。この問題をめぐりアサンジはイギリスの裁判所で戦おうとしたものの、判事から「自分は法律を超えた存在だと」思っていると言われて敗訴している。

アメリカへの移送の可能性ははっきりせず

アサンジはかつて、国家機密や電子メール、CIA(米中央情報局)のハッキングツールに関する情報を暴露したことに関する尋問を目的にアメリカに移送されることがいちばん怖いと述べていた。ウィキリークスはロシアのハッカーが入手したアメリカの機密文書を暴露したとして非難されているが、このリークは16年の米大統領選の結果に影響を与えたとされている。

アサンジの弁護士は、アメリカからの移送要請があるかどうかについて英政府は肯定も否定もしようとしないと述べている。またアサンジも、自分の身柄を拘束するために「情報の隠蔽」を行っているとして英政府のトップを非難している。

3月に英政府は、アサンジのインターネットへのアクセスを遮断した。これに先立ちアサンジはツイッターで、スペインのカタルーニャ自治州の独立を求める政治家の逮捕に意見を述べたり、イギリスで起きたロシアの元スパイとその娘に対する毒殺未遂事件に対するロシア政府の関与に疑問符を投げかけたりしていた。



当局がネット接続の遮断を決断したのがそうしたツイートのせいかどうかははっきりしない。だがアサンジはエクアドル政府に「外国の問題への介入を試みたりしない」との誓約書を提出しており、こうしたツイートの多くは誓約違反に当たると伝えられている。

「アサンジの行為は、ソーシャルネットワークを介したメッセージとともに、(エクアドルが)イギリスを初めとするEU(欧州連合)諸国や他の国々と維持している良好な関係を危機に陥れるものだ」と、エクアドル政府は声明で述べている。

具体的な時期には触れず

ネット接続を遮断されたのを受け、アサンジの支持者たちはソーシャルメディア上で、接続の回復を求めるキャンペーンを開始。英当局に対し決定の見直しを求めた。

モレノ大統領はかつてアサンジのことを「ハッカー」呼ばわりし、前政権から「持ち越された問題」だとも述べていた。だが大使館を退去させる意向を示したとはいえ、それがいつ頃になるかには触れていない。

(翻訳:村井裕美)


プリサ・ポール

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