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人生がうまくいかないとき、質問してはいけない相手は...

ニューズウィーク日本版 2018年9月13日 16時0分

<なぜ人生に満足できていないのか? 人生、このままでいいのか? 多くの人は他人に答えを求めるが、それではいけないと「質問家」の河田真誠氏は言う。自分自身の答えを引き出す質問のコツとは>

あなたは今の自分に「いいね!」ができるか?----そう問われて、躊躇なく「できる」と答えられる人はどれだけいるだろうか。

PGF生命(プルデンシャル ジブラルタ ファイナンシャル生命保険)が2017年に実施した「人生の満足度に関する調査」(回答2000人)によると、「これまでの人生に満足している」と答えた人は全体で43.7%、「満足していない」が23.8%、「どちらとも言えない」が32.7%だった。

4割強が満足しているのは悪くないようにも思えるが、その内訳は「やや満足している」が38.1%であり、「非常に満足している」と答えた人は全体のわずか5.6%に過ぎない。特に30代男性の満足度が低く、「非常に満足」は2.5%で、「やや満足」と合わせても3割に満たない。

冒頭の問いは河田真誠氏の新刊書籍に帯に書かれている惹句だが、まさに、人生に満足感を得られていない世の大半の人々に向けて投げかけられたものだと言える。本のタイトルは『人生、このままでいいの?――最高の未来をつくる11の質問』(CCCメディアハウス)。

他人の「いいね!」はヒント、答えは自分の中にしかない

なぜ人生に満足できていないのか。自分の人生には何が欠けているのか。人生、このままでいいのか......そうした疑問に対する何らかの答えを求めて本書をめくると、拍子抜けすることになる。なぜなら、この本には何ひとつ「答え」が書かれていないからだ。

著者の河田氏は、企業研修や学校での授業において、生き方や考え方、働き方といった人々の悩みや問題を、質問を通して解決に導く専門家で、その肩書きは、ずばり「質問家」。

世の多くの講師やコンサルタントが「こうするといい」という答えを与えることを仕事にしているのに対して、河田氏は「どうするといいと思うか?」と相手に問いかけることで、本人自身の答えを引き出していくという。

本書でも、「僕から何かを教えることはこの本でもしたくない」として、紹介される11の質問に答えていくことで、自分なりの気づきや学びを得てほしいと述べている。

満足のいく人生を送るには、そもそも自分の人生についてしっかり考える必要があるが、何をどこから考えればいいか分からない。そこで多くの人は、他人に答えを求める。だが結局のところ、「みんなの『いいね!』は、あなたの『いいね!』ではない」。ヒントにはなれど、答えは自分の中にしかない。

じゃあ、どうすればいいのか、どこから考えたらいいのか......という無限ループにはまりそうなところを引っ張り上げてくれるのが「質問」だ。



「考えを促す」「新たな視点を与えてくれる」質問の力

自分の心と対話するための一番の方法が、自分に質問することだと河田氏は言う。なぜなら、「昨日の夕飯は何を食べた?」と質問されると自然と答えを探してしまうように、質問をされると考える、という習性が人にはあるからだ。

このように質問には「考えを促す」という力がある。だから、たくさん自問をすることで考えることがうまくなり、自分で答えを見つけられるようになる、というわけだ。

同時に「いい質問は、いい答えを導き出す」。脳科学者によれば、人は無意識を含めて、1日に2万回も自問を繰り返しているそうだ。「質問家」として日々多くの人に質問している河田氏でも、自分自身に質問するほうが圧倒的に多いという。その質問の質が良くなれば、当然、答えの質も良くなる。

また、質問には「新たな視点を与えてくれる」という力もある。

例えば「なぜ仕事がうまくいかないのだろう?」と考えても、なかなか答えは出てこない。それどころか「自分のここがダメだから......」などと自己嫌悪に陥って、だんだんやる気も自信も失っていく。だが、これは「誰にでもある思考の限界」だ。

そこで落ち込んでしまわずに、自分に問いかける質問を変えるように河田氏は勧める。例えば「どうすればうまくいくだろう?」と自問してみる。すると、「こうしてみよう」「あれをしてみよう」と何かしらの解決策が浮かんできて、気持ちも明るくなっていく。

そうした良質な質問のレパートリーを持っていれば、簡単に視点を変えられるようになる。「どう考えるか」を変えれば、当然、出てくる答えも変わる。そこから人生が変わっていくかもしれない。

そんなに簡単にうまくいくものだろうかと疑問に思う人もいるだろうが、実際、河田氏が質問すると、悩みを抱える人や何かを叶えたい人も、自分自身で答えを見つけ出し、驚くような成果を出していくという。河田氏は質問しているだけなので、やはりすごいのは「質問」なのだ。

 人生は、どんな質問を自分に投げかけているかでできているといっても過言ではない。自分の思考を整理し、時には見えていないものを見せてくれる上質な質問を自分に投げかけよう。(36ページ)



わがままでいい、自己満足を考えたほうがいい

答えを自分で見つけられずに他人に求めてしまうのは、その場の空気を読みすぎたり、必要以上に他人の目を気にしたりする私たちの悪い癖なのかもしれない。そこで河田氏は、もっと「わがまま」になればいいと勧める。

「わがまま」という言葉は、「他人の都合を考えず、自分の好きなように行動すること」といった意味で説明されるが、それと「自己中心的」であることとは違うと河田氏は言う。わがままというのは、「自分を大切に物事を考えること」だ。

同時に、「自己満足」も大切になる。幸せというのは非常に個人的なものであるから、誰かの満足のためではなく、自分自身を満足させることを考えるべきだ。

自分の人生について考えるときは特に、わがままになって、自己満足を考えたほうがいい。それは言い換えれば「自分らしく自分を幸せにする」ということ。それが実現できれば、結果的に、周りの人に幸せを与えることにもつながっていくのだ。

 自分の心は、いつも会話をしておかないと、すぐに迷子になってしまう。だからこそ常に自分の気持ちに耳を澄ませておこう。(中略)自問すると、たくさん自分と会話ができ、自分の生きる道が自然と見つかっていく。誰かに与えられた道ではなく、自分が心から望む道だ。(29ページ)


『人生、このままでいいの?――最高の未来をつくる11の質問』
 河田真誠 著
 CCCメディアハウス




ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

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